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4E201

TES大好き、もきゅがスカイリムの物語をお届けします

◆Chapter 2-37 ウインドヘルム襲撃

2022
27


氷の洞窟に足音が響く。
グーンラウグたちと別れた一行はイーストマーチの地下、永久凍土の下に掘られた密輸トンネルを進んでいた。もう陽が落ちて暫く経つ、外はさぞかし冷え込んでいるのであろうが、地下の温度は氷であるにもかかわらず一定以下には下がらない。加えて吹雪に悩まされることもない。足取りは捗り、彼女たちは着実にウインドヘルムに近づきつつあった。


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物資が散乱しているのは過去の名残だろうか、所々に箱や樽など人の営みの痕跡が残されている。密輸商たちが使っていたというだけあり、竪穴や横道などが時折現れては彼女たちを迷わせた。しかし氷の通路に刻まれた轍のあとを手がかりに、彼女たちは着実にエランディルの後を追っていった。
かるく一刻は歩いただろうか。いまのところ何かの兆しが現れる様子は無かった。


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帝国軍陣地で夕食にありつけなかった一行は、途中、短い休憩のために立ち止まり食事をとることにした。普通の食事は吸血鬼の彼女にとっては口慰みにしかならないが、人間だった頃の習慣はそうそう忘れるものではない。一つのパンをブラッキーと分け合っていると、イェアメリスは若き傭兵が自分たちのことを見ていることに気がついた。


「アルフさん、どうしたの?」


「いや、メリスちゃんとブラッキーを見ていると、まるでホントの盾の姉妹みたいだなって思ってさ」


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「盾の姉妹?」


「同胞団が仲間を呼ぶ時に使う言葉さ」


ホワイトラン暮らしの彼は、ジョルバスクルにもよく顔を出していた。そこで同胞団のアエラやファルカスたちに相棒のことをそう呼ぶと聞かされていた。


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「そう・・・、ようやく盾の姉妹が揃ったんだな」


「なに兄さんが感動しちゃってるのさ」
感慨深げにつぶやくアルフレドを、ブラッキーが茶化している。
この傭兵もイェアメリスたち姉妹にとっては縁が深い。姉を探すためにソリチュードで行動するブラッキーにとってアルフレドは兄貴分だった。本人もそのように感じ、そして任じていた。散々すれ違ってようやく再会を果たした二人を見たとき、彼も人目を憚らず涙したものだ。


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「ブラッキー、散々おまえの話を聞いてたからな」


「はは、ボクそんなに言ったっけ?」
同胞団でも今では作戦に合わせて相棒を変えたりもするが、初期の頃はそれこそ寝食を共にする家族や義兄弟に近かったという。


「それにしてもアルフのにいさん、ケイド並みに詳しいね」
ブラッキーの返事は照れ隠しだったが、その言葉が最後のほうで籠もって消えるのにイェアメリスは気がついた。


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「500の同胞団の一員、”帰還の歌"に出てくる女戦士フロアとグロスタが最初の盾の姉妹と言われて・・・」説明しているアルフレドの言葉にも上の空なのがよく分かる。


(ケイドくん・・・)


彼女は妹にどう声をかけてよいか分からなかった。
ブラッキーにとってのもう一人の相棒、若者ケイド。ソリチュードではぐれて以来、彼の行方は杳として知れない。


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「さて、次は俺が先頭だな」


ブラッキーの微妙な様子には気付かずに蘊蓄を披露し終わった傭兵は、パンくずを払うとベアトリクスと交代しに立った。このまま斥候役を引き受け先頭を担うようだ。手がかりとしている地面の轍や注意点など、彼が女騎士から申し送りを受けている様子をイェアメリスはぼんやりと眺めていた。


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その後すぐに一行は行軍を再開した。徹夜になるが時間は貴重だ。ここでエランディルに引き離されるわけには行かない。イェアメリスもその意気込みで歩くが、やはり疲れは襲ってきた。夜間は吸血鬼の時間のはずだが、なんとなく怠さが抜けないのだ。
そんな重苦しい空気を振り払うかのように、少女が話題を振ってきた。


「ところでねぇちゃん、まだ首輪してるんだね?」


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言われてイェアメリスは首元に手をあてた。
「そういえば、そうね」


サルモールの囮になって敵を引きつけるという決意のもと再び身につけたが、闘技場時代から数えればもう半年にもなる長い付き合いだ。最初は自らを縛る枷であったが、着脱自由になってからもなんとなく手放せなくなっていた。


「なんだか癖になっちゃってるわ。魔法が使えないけど、もともと得意じゃないし・・・色々不便だけど、これのお陰でモヴァルスに首筋やられなくて済んだ。お守りみたいなものかしら」


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「そうだね、ボクとしてもねぇちゃんがそれをしててくれた方が都合がいいんだ」


「どういうこと?」


「ないしょ」


「なによそれ」
ブラッキーの不思議な返事。イェアメリスは首を傾げたが、妹はこれ以上答えるつもりはなさそうだ。


「ところで・・・、今度は鍵自分で持ってるんでしょ?」


「うん」


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ブラッキーはニヤニヤした。
「ねぇちゃん、いくら離れたくないからって自分で拘束されて鍵を預けるとか、あんちゃんに飼われるとかってのはなんだかケンゼンじゃないよ。もっと自然にオツキアイしたら?」


アスヴァレンに鍵を預けていることを言っている。
”また引き離されるぐらいなら、首が絞まって死ぬ方を選ぶ”などと大見得を切ったことを思い出すと、急に恥ずかしさがこみ上げてきた。


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「な、な、なによ。あたしにそんな趣味はないわ」
イェアメリスはオロオロした。離れた後ろを歩くアスヴァレンを何度もチラチラ振り返る。


「ははっ、赤くなってんの」


「んもう・・・」


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すると近くを歩いていたテルミンが手を上げて制した。
「おい、口を閉じろ。何か聞こえねぇか?」


姉妹は黙り込む。しばらくすると通路の奥から、パスファインダーとして先行していたアルフレドが戻ってきた。


「敵だ。見張りがいる」


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傭兵の言葉に緊張が走る。通路の先、曲がり角の先から声が聞こえるという。幸いにしてまだ気づかれていない。彼らは武器をいつでも抜けるよう準備しながら、気配を落として接近した。


ブラッキーが角からそぉっと覗き込み、見張りの様子を伺う。


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「どう?」
イェアメリスが小声で尋ねると、少女は頷いた。詰め所のような場所があり、そこに二人の見張りがいるという。姿格好からして魔術師のようだと少女は説明した。死角を使ってギリギリまで近寄った彼女たちにも話し声が聞こえてくる。


「お前見たことあるか? エランディルの連れていた連中を」


少女はさっそく飛び出そうとしたが、アスヴァレンに引き留められた。「エランディルがどうとか言っているぞ」
一行は耳を澄ませてもう少しだけ様子を見ることにした。


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「でも一人、普通なのも混じってたよな。俺たちと変わらないというか・・・魔術師なんだろうが魔法が強いでもなし、何故あんなやつを側に置いてるんだ?」


「あの人の考えることはわからん。だが【銘有り】だ。意図があるのだろう。何か強い特徴があるとか・・・」

こんなところには誰も来ないと高をくくっているのだろう。くつろいだ様子で雑談を交わしている。


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死霊術士の一人が声を落とした。
「ここだけの話、あの側近たち、もう死んでいるらしいぞ」


「デイゴン! ・・・と言うことは、ゾンビなのか?」そう言うと相方の男はため息をついた。「俺たちはあの側近達の手駒だと思ってたが、あいつら自身もエランディルの手駒なんだな。てぇことは、ああ、なんてこった。ナミラの衣にかけて俺たちはゾンビに命令されてるって訳か」


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「そういうことになる。生きた死霊術師の我々にはできない役割があるようだ。知りたいとは思わんがね」エランディルは自身の手がけたゾンビ達の中から、特に選りすぐったものに銘を付けて寵愛し、好んで使役しているらしい。


「ふぅ、これではどちらが死霊術師か分からんな。我らもせいぜい死なないようにせねば」


「それはあるまい。ここは寒い以外は不都合はない。誰も訪れてこないだろう、死者達以外は」


「ああ、そうだったな。エランディルは運び出すって言ってた。すぐにここも第二陣で賑やかになるか・・・ま、通り過ぎるだけだが」


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氷室に集められていた死者達のことを言っているのだろう。


「そういえば、お前はどうしてここにいるんだ? たしか、あのビフロンズ家に仕えてたんだろ?・・・なんでエランディルに鞍替えしたんだよ? 払いが悪かったのか?」


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ビフロンズはイェアメリス達が旅してきたかつてのヘラーチェン・クリークの西側を治める地方貴族で、今でも続いている旧家であった。ホールドとしてはペイルに属するのだが、スカルド首長の呼びかけにも応じず、ストームクロークとは距離を置いているという。人付き合いは悪いが、周囲の街道衛兵なども供出しており、とくだん話題に上るような特徴は無かった、はずだ。
・・・しかしそれは表向きで、その道の者の間では強力な死霊術師として知られている一族であった。


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「ああ、あそこの坊っちゃん、最近気が触れて出奔しちまってな。残った当主や奥方が荒れてんのさ。なんでも、狼の女王が復活したとかしないとか、それに当てられて狂気に汚染されたとかで」


「それって、まさかあのポテ・・・」


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男は遮られた。


「その名を口にするな。狼の女王は狼の女王だ。それ以外の何ものでも無い」

アルフレドは驚いて仲間と目を見合わせた。彼らはまさにその討伐隊としてポテマその人と相対し、あまつさえ傀儡に憑依した彼女と斬り結んできたのだ。


若き傭兵は囁いた。
「あいつらは知らないんだな。女王が滅ぼされたことを・・・」


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禁じられた名を呼ぶと悪霊を呼び寄せるというのは一般的な童話にも綴られている。しかし童でもない大の大人、それも死霊術師たちが口憚るのは些か滑稽に見える。


「連中は普通の貴族ならまだしも俺たちと同じ死霊術師だ。それも力のある・・・とばっちり食らう前に飛び出してきたんだよ」


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「それは正解だったな。知ってるか? 最近ペイルの番人の間が襲撃されて焼け落ちたんだが、あれ、ビフロンズ家の連中が吸血鬼をけしかけたらしいぞ。今ステンダールの番人たちがピリピリしてる」


「へぇ、こんな地下にいると、表のことには疎くなってしまうな」


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「大丈夫、完全に話に夢中になってるね」

ブラッキーは聞き耳を立てながら自分のメイスを弄っている。「やっちゃう?」


気付かず、男たちは話し続けている。


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「そういうお前こそどうなんだ」


「俺か? おれには人が聞いて面白がるような過去はねぇよ。大学にも行けねぇ流れの魔術師としてそれなりに、カスタブ砦の教祖の元で術を研鑽していたんだが、あそこはもうすぐ戦場になりそうな雰囲気だったんだ。気ままに死霊術を試したり死体を調達したりするのに苦労しはじめてた。だから教祖がエランディルに着いていくと決めたとき、おれも誘いに乗ったんだ。エランディルもイルダリも恐ろしく払いがいいのは知っているだろ?」


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エランディルに集められた死霊術士達も、様々な出自のようだ。


「教祖はなんでも地上に死霊達の王国を築くとかなんとか大層なことを言ってたが、おれは稼げりゃいいさ。契約が終わったら誰にも邪魔されない小島を一つ買って、自分の塔を建て心ゆくまで死霊術を極めるのさ」


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そろそろいいだろう。アスヴァレンの合図を受けると、ブラッキーとアルフレドが音も立てずに二人に忍び寄る。


「夢があるな。俺ぁてっきり、あのイルダリとかいう魔女の誘惑にでも屈したのかと思ったぜ」


「そんなわけねぇだろ、だが、ああ・・・あの尻はいいな。へへっ」


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「じゃぁその尻にあげるよっ!」


そう言うとブラッキーは一人の臀部に重メイスを叩きつけた。尻どころか骨盤まで粉砕された男は体幹を保つことが出来なくなり、そのまま崩れ落ちる。続いて少女は横を見たが、傭兵の方に手助けは必要なさそうだ。そちらでもアルフレドが難なく見張りを切り捨てていた。尻を砕かれた男は地面にへたり込んだまま、何が起きたか把握できずに目を見開いている。


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「手ごたえまったくなかったね・・・」


ブラッキーが武器をしまいかけるのを、今度はベアトリクスが制した。

「まだ終わってねぇ」


「侵入者か?!」


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詰め所の奥から更なる声が聞こえてくる。交代要員だろうか。首尾良く片付けたと思ったブラッキーは、落胆してメイスを握り直した。


「あれぇ?! 2人じゃなかったの!」


「ハハ、甘ぇなお前たち」


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ベアトリクスとテルミンが進み出ると、新たな一人が姿を見せた。この男も死霊術師だ。先ほどの二人と違い、最初から戦闘態勢を取っている。そしてその見張りを守るように四体ものスケルトンが続いて現れた。見た感じ、このスケルトン達はさきほどの荷役用のスケルトンとは違う。明らかに戦闘用だ。


「気をつけろ、あれは只のスケルトンでは無い」


アスヴァレンが警告する。一行の前に立ち塞がったのは、戦闘用に調整されたスケルトン・ガーディアンであった。


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対して強い相手では無いが逆に耐久性に特化しており、死霊術師などによって拠点の防衛用として好まれるアンデットであった。そして厄介なことに魔法も効きにくい。

少女とアルフレドに加えて、ベアトリクスとテルミンが骨の戦士達を迎え撃つ。4対4だが中にはやたら大きな一体も混ざっており、死霊術師を入れると数でも不利だ。アスヴァレンと共に後衛に位置していたイェアメリスはちらりと相手を見た。そして彼が頷くのを見ると首輪を外し、自分も前衛に加わりにいった。


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アルフレドとブラッキーが大型を相手にし、テルミン、ベアトリクスがそれぞれ一体を受け持っている。後衛の死霊術士に注意しながら、余った一体に向かってイェアメリスは突進した。闘技場で何度も味わった、一合目を斬り結ぶまでのこの緊張感。久しぶりの感覚に身震いが身体を突き抜ける。脇を締めろ・・・訓練士ユカイムの口癖だった言葉が蘇る。


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スケルトンガーディアンが振りかざすメイスをしっかり見定めると、彼女は自分も剣を構えた。化け物だろうが人型をしていれば関節の動きは人と同じだ。相手の攻撃を受け流そうとしたり、切り返そうとしたりせず、進んで一撃を加えろ・・・何度も自分に刻み込んだ動きだ。よし、できる。


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相手の振り下ろす武器よりも先に一歩踏み出したイェアメリスは、大きく腰を落とすと斜め下からスケルトンの顎に剣を突き入れた。


・・・筈だった。


(えっ・・・?!)


踏み込みが甘かったか、メイスをくぐるはずがくぐり切れていない。頭めがけて落ちてくる相手の凶器を急いで剣で受け止めると、重い金属音と共にしびれが手首を襲った。


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「くっ!」

相手を追い払うように横に薙ぐ。剣はスケルトンの肘に浅めに当たってよろめかせ、彼女は辛うじて仕切り直す余裕を得た。


「このっ!」
今度はこちらから仕掛けるが、その一撃はスケルトンに軽く弾かれてしまった。しかも腕ごと剣を跳ね上げられるような良くない形で。勢いで尻餅をついたイェアメリスは無防備な姿をさらしてしまった。そこに骸骨戦士の二撃目が迫る。


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(うそっ、やられるっ!!)


すると横からベアトリクスの剣が突き出され、スケルトンの一撃は辛うじてそらされた。自分の受け持った一体を易々と破壊し、加勢に来てくれたのだ。


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そして女騎士はイェアメリスが体勢を持ち直す間にスケルトンに強烈な蹴りを食らわせる。吹き飛ばされ洞窟の壁に叩きつけられたスケルトンは、そのまま砕け散るように分解してしまった。どうやら頭蓋に損傷を与えると殺せるらしい。


その瞬間、女騎士の後方から飛来する何かをイェアメリスは認めた。死霊術士の放ったアイススパイクの魔法だ。


「危ない!」


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ベアトリクスの前に身体を割り込ませたイェアメリスは、スペルカウンターを展開する。彼女の憶えている数少ない防御呪文の一つだ。光の幕が二人を包み込むが、氷の礫は着弾するとイェアメリスを吹き飛ばした。


(どうして?!)


直撃は免れたものの、衝撃で地面に叩きつけられた彼女はぶつけたこめかみに手を当てた。ニマルテンの廃墟では竜司祭のスゥームさえもはじき返した呪文のはずだが、大したようには思えない死霊術士のアイススパイクに押し負けてしまった。


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「おい、しっかりしろ」


ベアトリクスに乱暴に引き起こされると、死霊術士が既に二撃目の準備に入っているのが目に入った。少し距離のある相手にどう対処すべきか、考える間もなく横を飛翔音が通り過ぎ、二人の視線の先で死霊術士が倒れた。アスヴァレンが矢を放ったのであった。


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死霊術士が倒れると程なく戦いは終息に向かった。テルミンは自分の受け持ちを自慢の戦鎚で破壊すると、アルフレド達が足止めする大型の一体にも力任せに叩き込む。頭蓋を粉砕された大型スケルトンはあっけなく沈黙した。




・・・




「おいおい、今までのはまぐれだったのかよ。こんな骨に圧されるとかありえねぇぜ?」


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イェアメリスを助けたベアトリクスは、頭を振ってはっきりさせようとしている彼女に呆れた目を向けた。「てめぇ、自分が不死身だからって、ちぃと戦い方が雑過ぎんじゃねぇか?」


「そんなつもりじゃ・・・」
女騎士に指摘されて、イェアメリスは唇を嚙んだ。おかしい、状況だけは良く見えているのに身体がついてこない。彼女は例えようのない倦怠感に苛まれ、立っているのがやっとという有り様だった。


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まわりに敵が居ないことを確認していたブラッキーやアルフレドも戻ってくる。集まってきた仲間たちは、力が抜けたように放心しているイェアメリスを心配そうに覗き込んだ。


立ち尽くしていると、その肩にアスヴァレンの手が載せられる。座れ、と言うように少し圧がかけられる。イェアメリスはそれに抗しようとして身体から力が抜けるのを感じ、芯がなくなったかのようにへなへなと崩れ落ちた。


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「ねぇちゃん!」
「メリス!」


へたり込んでしまったイェアメリスをブラッキーとテルミンが支えるが、アスヴァレンはその様子を冷静に見下ろしていた。
「少し休んだ方がいい。身体に限界が来ているのだろう」


「でもここで時間を取っては!」
身体の疲労に加え、敵に一歩先を行かれ続ける精神的焦燥も重なっている。しかしせっかくエランディルに迫っているというのに、休んでなどいられない。足を引きずってでも進まなければ・・・。


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「さっきの有り様では戦えんだろう」


彼の言うとおりだった。彼女は本陣で殺されかけて肉体に大きな損傷を受け、回復にその力の大半を使い果たしてしまっていた。リ・サードから血液の薬を入手していたが、あの程度の量では到底補える物ではなかった。


モラグ・バルに魂の片割れである魄のエネルギーを差し出してしまった吸血鬼は、その名の通り血によってしかその力を補うことが出来ない。彼女は何日も連続で徹夜したかのように熱っぽい身体を引きずりながら、なんとか仲間に遅れまいとここまでやってきたのだった。


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ブラッキーも頷いている。
「動きにぜんぜん切れが無いし、ヴァーミルナに取り付かれたみたいにふらふらしてるじゃん」現に、先ほどの戦いでも精彩を欠いていた。「帝国軍のところで日光まで浴びせかけられたんだろ」


「あれはベアトリクスさんが助けてくれたから」


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「それに船下りてからほとんど何も食べて無いじゃん」


「うっ・・・」


妹の言うとおり、野営地では井戸に吊され灰になりかけた。日光を浴びせられた火傷は大したこと無かったが、その後も吸血鬼にとって致命的な光線が降りそそぐ日中、ここに来るまで動きっぱなしだった。その間体力は漏れ出す一方だ。人の食事で腹は満たされるが、体力までは戻らない。


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「やっぱり血が足りていないんじゃ・・・」


「そんなことない。あたしは大丈夫よ!」
言われたくない一言を言われてしまい、彼女はむきになって否定する。
しかしその必要性は彼女自身が一番よく分かっていた。


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”この道を選んだのであれば肝に銘じろ” ・・・ファルサの言葉が思い出される。イェアメリスはブラッキーにつかまりながら、なんとか立ち上がろうとした。彼女は怒りを含んだ声で、絞り出すように言った。


「動いて! 動きなさいよ、あたしの足!」
しかしその足は痙攣するようにぶるぶると震えている。
どう声をかけていいか分からないのだろう。黙り込んでしまった仲間たちの視線がひどく痛い。


(ここまできて・・・!)


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ブラッキーは姉を支えながら、倒したばかりの死霊術師達を見ていた。
「あんちゃんの言うとおり、ちゃんと回復しないとエランディルとは対決できないよ。ボクも直接見たけど、あいつおっかないんだ」そして少女は控えめに付け加えた。「ボクは大丈夫だよ。きっとみんなも。ただの食事・・・食事だよ」


「簡単に言わないで」


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同意を求めるように仲間たちを見るが、皆ブラッキーに賛同して首を縦に振っている。彼女は打ち震えた。リサードに貰った血の味を思い出す。渇きと共に感じる恐怖。理性では抑えられない。心まで夜の獣になってしまう恐ろしさ。
気持ちとは裏腹にその目は倒した死霊術師の身体から流れ出る血に釘付けになっていた。


「そんな。あたし、獣になりたくない・・・」


「血を補給しておけ、メリス」


「アスヴァレンまで!」


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しかしダンマーはにべもなく言い放った。
「この前、お前が血を飲んで万全ならば山道でストームクロークの接近に気付けたかもしれん。それに山賊たちの気配も。アルフやブラッキーも襲われなくて済んだはずだ」


「おいアスヴァレン、それは言い過ぎじゃ・・・」


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聞いていたアルフレドは錬金術師に抗議しようとするが、彼はそれを制してさらに追い打ちのように正論を被せてきた。


「吸血鬼の感覚が正常なら間違うはず無いからな」


イェアメリスは、パートナーの言葉を信じられないといった面持ちで見返した。こんな冷たいことを言う人だったなんて・・・。反射的に言い返そうとして、ハッと息を呑む。


(あっ・・・)


また自分は失敗してしまった。


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吸血鬼として生きる覚悟をしたのに、頑なに血を飲まなかった結果がこれか。マーラの目の池にあと少しまで迫ったのに、途中血を飲まなかったせいで吸血鬼の知覚を発揮することができず、敵の存在を見落としてしまった。最終的にこうして合流できたから良かったものの、仲間を危険に晒して分断されてしまった。


離ればなれになったのは決して彼女のせいだけではない。そんなことはイェアメリスにも分かっていた。しかしそれを言い訳に感情にまかせても空しいだけだ。


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分かっているからこそ、アスヴァレンはわざと突き放すような言葉を放ったのだ。心に最も効果的な一撃を喰らったイェアメリスは黙り込んでしまった。
もうバレている。感情よりも合理性を説く方が効くと。悔しいがその通りだ。のぼせた頭が急速に冷静になるのを彼女は感じた。


これはイェアメリスに必要な通過儀礼。成長の儀式、イニシエーションであると彼は言外に言っているのだ。


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彼女はもう一度パートナーをみた。するとアスヴァレンはブラッキーを引き寄せる。


「こいつの言ったとおり。只の食事だ。オレは気になどならん」
声のトーンが変っている。いつもの、優しく落ち着いた低い声に。


「アスヴァレン・・・」


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見守るアルフレドとテルミンが交互に元気づける。
「アタイたちだって見捨てたりするもんか。な、にいさん」
「当たり前だ。でなければこんなとこまで着いてくるはず無いだろ」


「テルミン・・・、アルフさん」


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少し離れて立つベアトリクスは、そんなイェアメリスたちの様子を面白そうに見ている。
「オレはお前が弱いんだったら遠慮無く見捨てるぜ。番犬になるとは言ったが、強い奴しか認めねぇ。弱ければ主人にだって噛みつく狂犬だって言っただろう」


「ベアトリクスさん・・・」


「イェアメリス、覚えておけ。言っても聞かない奴のために武力がある。大抵の市民は法と衛兵がいりゃぁおとなしくなる。他人の迷惑を考えて節度を守る。だがコイツラ死霊術師みてぇに法を顧みない奴も世の中には一定数居る」


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女騎士は愛剣で瀕死の死霊術師を引きずってきた。
ブラッキーに腰を砕かれた男は逃げようにも逃げられない。それを見下ろしながら彼女は続ける。


「意思を通すには力が必要。タロスにかけて、法も無法も要は力だ。お前だってもう充分すぎるぐれぇ分かってるんだろ。それを求めたからこそ、力を求めて吸血鬼にまでなったんだろ。ちがうのか?」


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イェアメリスは女騎士を見返した。
「・・・そういう考え方をしたことはなかったわ。あたしはただ、死にたくなかった。命を失いたくない、その思いでこの世界に足を踏み入れたから・・・」


「大げさなんだよ。死ぬ死ぬ言うけど、お前傷はもう完全に治ってるじゃねぇか」ベアトリクスは自身の首の親指を当てると、首を刎ねるような仕草をして見せた。野営地で首を切断されかかったことを言っているのだ。


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「血が足りてねぇのなんの抜かしてるが、要は腹が減ってるだけなんだろ?」


「んぐっ・・・」


「まてまて、ちょっと待てって!」暴言を吐いて胸を張る女騎士の前に、まさかのテルミンがいなし役として割り込んだ。「お前荒っぽいよ。メリスだっていろいろ考えて・・・」


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  しかしベアトリクスは無視して続けた。「いいからゴチャゴチャ言わずに飲めよ、血」そう言って足元の死霊術師に顎をしゃくってみせる。イェアメリスは血の臭いに唾を飲み込むと、死霊術師を直視した。


”生きるために必要な唯一の食料。きれい事でも何でもなく、道端に転がる山賊だろうが戦場に転がる死体だろうが、搾り取ってでも血を手に入れろ” 吸血鬼の先輩であるファルサに言われた言葉が反芻される。しかし言葉で言われるのと、実際にその現実に直面するのでは大きく違う。彼女は吸血鬼という業に打ちのめされていた。


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「メリス、お前、従徒は欲しいか?」
躊躇するイェアメリスに、アスヴァレンは以外な質問を浴びせてきた。


「えっ? そ、そんなもの欲しくないわ」


すると錬金術師はエオルンドの剣を抜いて死霊術師の前に立った。そして「直接の恨みはないが、お前たちに情けや時間を掛けている余裕はない。恨むなら雇い主か自身の運のなさを恨め」と言ってとどめを刺した。


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「ひっ!」
思わず目を背けるイェアメリスにアスヴァレンは言った。
「この死者からは魂が去ろうとしている。もう少し待てばどこかの神の元に召される。そのあとこれはただの、血の詰まった肉袋だ」


「オブリビオンの間違いじゃないか?」
アルフレドが愚にも付かない指摘をすると錬金術師は薄く笑った。こうやって茶化すのは自分の気を少しでも紛らわそうとしてくれているのだ。努めて冷静を装っているアルフレドに彼女は内心感謝した。


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「こいつらに崇める神があれば、だがな」


イェアメリスは渇望の表情、苦悶の表情、そして最後に葛藤の表情を浮かべると目を閉ざした。


「ねぇちゃん・・・」見守るブラッキーはかける言葉が見つからずに途中で黙り込んだ。ベアトリクスも黙って見守っている。


「あたし・・・怖いの。血が喉を通るたび、恐ろしい快感が身体を突き抜けるの。最初の時よりも、この前の方がずっと強くそれを感じたわ」彼女は肩を抱いた。「そして止まらなくなる。自分で自分が制御できなくなって、どんどん人じゃ無くなっていってしまうの・・・」


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「周りがすべてお前から去っても、俺が最後までお前を見届けてやる」
 
「俺たちが、だろ」


「ああ、そうだな」
イェアメリスは目を閉じたままだ。
その脳裏にはこれまですれ違ってきた人々の顔がよぎっていた。


〈なんじゃメリス。勢い余って島を飛び出しよって。用事を済ませてすぐに帰って来るんじゃなかったのか?〉後見人のエドウィンが問いかける。
〈わが主よ、槌の守護者の使命を果たす機会を与えてはくれぬのか。もう帰ってこないと・・・?〉


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〈おじさん・・・ごめんなさい。カグダンさん、ごめんなさい。あたし・・・〉


・・・


〈おいおいメリスちゃん、あんだけ身体大事にしろって言ったのに。とうとうそんな姿になっちまったのかよ〉


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〈仕方ないでしょ、呪いを解くのに必要だったのよ!〉
アーセランの突っ込みに憎まれ口で返す。


・・・


〈なんだよ、イェアメリス。情けねぇな。サルモール相手に啖呵切るだけ切ってこの様か?〉
〈飯も食わずに剣をふるえるわけ無かろう〉


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闘技場の主ラニスタ、そして剣の師匠である訓練士ユカイムの声を彼女は聞いた。


・・・


〈古代の星の輪、そしてアーケイにかけて、お前をモラグ・バルの軛から解放する事を誓おう〉
〈もう帰ってこないのか? ならば約束通り俺はお前を狩りの対象と見なすしかないな〉


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ファリオンとファルサの記憶・・・彼女は空耳のようなそれらの声に耳を傾けた。


・・・


モーサルで別れたウォーヒン・ジャースも語りかけてきた。
〈イェアメリスくん、私はまだ・・・君の話を書き足りていないのだが・・・。君の物語はここで終わりなのかね? ほんとうに?〉


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(いいえ、まだ・・・ここでは終われないわ・・・!)


瞼を開くと、仲間たちが目に飛び込んでくる。力づけるような顔、心配するような顔、入り交じっているが、ひとつとして否定的なものは無かった。


「見知らぬ死体の血を飲むのが嫌なら・・・、俺のを・・・だが従徒は要らなかったな」アスヴァレンが少し冗談めかして尋ねてきたのにイェアメリスは微笑み返した。灯りの消えかかっていた目が輝きを取り戻す。


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ブラッキーが、枝分かれした通路の先を示した。

「えーっと、隣の方の通路に、小部屋があるのみつけたんだけど。その・・・」語尾がもごもごと消える。


「ブラッキー、気を遣わなくていいわ。これは必要なことなの。慣れないとね」
イェアメリスは死体運びを代わると自ら小部屋の方に引きずり始めた。気にしないとは言うが、食事をする姿を仲間に見せるのはさすがに憚られる。


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「メ、メリスちゃん、手伝おうか?」


「いいのアルフさん、無理しないで」
倒した見張りの死体は三人分ある。彼女は力を振り絞って運びはじめた。


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「悪いが一人は残しておいてくれ」
アスヴァレンの不思議な注文が飛ぶと、彼女は動きを止めて振り返った。


「どういうこと?」


「一人はこちらで使わせて貰う。魂が去る、その前に可能な限りの情報を搾り取る」


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「それってまさか・・・」
聞いていたアルフレドの顔が青ざめる。


「お前たちも体験済みだと聞いているが」そう、彼は倒した見張り達を死の従徒で呼び戻し、尋問しようというのだ。「アルフ、まさか止めたりはしないだろうな。今までこいつらがやってきたことだ。される立場になっても気にはせんさ」


「あ、ああ・・・」
攫われたイェアメリスたちの行方を聞き出すために、ソリチュード財務官の墓を暴き、死霊術を施したのは記憶に新しい。


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「できたら一人は捕虜を取りたいと思っていのたが・・・」


「ねぇちゃんのごはん用にって、下ごしらえしちゃったの、あんちゃんじゃないか」


「料理みたいに言うな。うむ、だがお前の言うとおりだ。少し早まったかもしれんな・・・」


手際よく呪文をかけるアスヴァレンを、ベアトリクスとテルミンは興味が尽きないと言った様子で覗き込んでいる。「へぇ、死霊術ってのも便利なもんだな」そう感想をもらしたのはどちらだろうか。


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歯に布着せぬ感想に、アルフレドが嫌そうな顔で返した。
「やめてくれよ。アーケイの捻じくれた杖にかけて、ただでさえおかしなことが続いているんだ。生き死にをそんな風に言われると常識が崩壊していく気になるだろ」


「いいじゃねぇか。俺たちは同胞団みたいな、お話に出てくるような格好いい戦士団じゃねぇんだ。女吸血鬼に率いられて死霊術師の軍団と戦いに行く闇の集団だぜ」


アスヴァレンが情報を聞き出していると、となりの部屋から物音が聞こえる。いや、漏れ聞こえる声だ。


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「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」と微かな嗚咽。


どう見ても無理している。ブラッキーとテルミンはいたたまれない顔になり、冗談を言い合っていたベアトリクスとアルフレドも微妙な表情で互いを見やった。


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「さて、こちらも取りかかろう」


その沈黙を破るように、アスヴァレンが居住まいを正す。
彼は拳を握りしめると努めて冷静を装い、作業を続けるのだった。




・・・




アスヴァレンの呪文によって死者が起き上がると、仲間たちは一歩後じさった。


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何度見ても慣れることなど出来そうにない光景だ。起こされた死霊術師は虚ろな目を開くと懇願した。


「うう~、開放・・・して、く・・・れ」


「して欲しければ、俺の質問に答えろ」
死の従徒をかけられた男は、解放してほしさにエランディルと話した内容の断片を語り始めた。


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その言葉の中には、エランディルの実験の話もあった。

彼はアスヴァレンにやらせたのと同じように、ウインドヘルムの街中で薬を撒くつもりだという。


しかしウインドヘルムはエリンヒルとは較べようも無く大きい。そこで今回は予め用意した死者の行進を使って、混乱が発生した城内に攻め入りながら薬を散布する算段だそうだ。


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しばらくするとアスヴァレンは従徒の額に指を当て、解放の呪句を呟く。

「ああ・・・これで、やっと・・・」


再び死体に戻った死霊術師は動きを止めた。険しい顔でそれを見送りながら、アスヴァレンは黙り込んでいる。


エリンヒルの街を滅ぼしたのはウインドヘルムに向けてのリハーサルであった。破壊の規模と、必要な薬の量を調べる目的もあったという。


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こんなところでそんな事実を再確認させられた錬金術師は、憮然とした顔で拳を握りしめ怒りに震えていた。しかしその素振りは一瞬だけで、次の瞬間にはもういつものアスヴァレンに戻っていた。


得られた情報はほぼ予想通りで、エランディルの目的は帝国軍とストームクロークの衝突に乗じてテロを行い、両陣営に壊滅的な損害を与えることだった。そしてそれはもう既に半分起きてしまっている。


「サルモールのことは何も言ってなかったな」


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「うむ。メリスはエランディルの独断だと言っていたが、これだけの規模のことを起こすのに個人というのも考えにくい。ここの連中は知らされていないだけだと考える方が妥当だろう」


「だからこの辺りのならず者を糾合して使ってるんだな」


グーンラウグの証言もある。彼らの想像通り、エランディルは帝国軍に対しては表向きサルモールの特務官として接し、裏で破壊工作を行う時にはこういったスカイリムのはぐれ者たちを使役していた。


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「自分で殺しちゃってたけどね・・・」


ブラッキーは囚われていたとき、エランディルが協力者であるならず者達をアーティファクトの実験台にして殺害していたことを思い出させた。「あの複製の杖、恐ろしかったね」


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「お前のだって大概だろ?」
アルフレドは少女の持つサングインの薔薇を思い出させた。


「うう・・・やっぱり、今回も要るよね」


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この通路の先はウインドヘルムの港、そこに建ち並ぶ倉庫の一つに続いているという。別れたグーンラウグの言っていたことと一致する。


エランディルは死霊術師達を指揮して港の倉庫に死体を運び込み、頃合いを見計らって死者の行進を起こしてウインドヘルムに攻め込むつもりらしい。
彼を止めねば街を破壊して住人を虐殺、ウルフリックをはじめ、ストームクローク幹部も根絶やしにされてしまう。


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「ところで、側近がどうとか言ってたな。俺たちの知らない敵がまだ居るってことか」


アルフレドとブラッキーはその一人に心当たりがあった。氷室に囚われていたとき、エランディルは何人か死霊術師らしき男たちを連れていた。その中に荷役用のスケルトンを大量に呼び出した男がいた。


「うへぇ、あんなのが何人も居るのかぁ」


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ブラッキーは仲間たちを見回した。「でもこっちだって負けちゃいないよね」テルミンとベアトリクスは任せろと言うように笑って見せた。


エランディルはわずか数時間前にここを通って先に進んだらしい。思わぬ足止めを食ったが、彼らが向かう先が間違っていないことも再確認出来た。そろそろ行かなければ、そう話がまとまりかける頃、イェアメリスが姿を現した。


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「心配かけてごめんなさい」


ベアトリクスがイェアメリスを検分しながら頷く。どす黒く顔に浮かび上がっていた血管はなりをひそめ、青白い肌は艶を増し、そしてその目は金色に、爛々と輝いている。


「いい目になったな・・・いいねぇ。実にいい。これこそ戦いに挑む獣の顔ってやつだ」


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力を取り戻した女吸血鬼の姿を満足そうに眺めた女騎士は、荒っぽくどやしつけた。


「やめてその獣って言うの」


「いいじゃねぇか獣になったって。死んでまで生にしがみつく、敵と定めた仇を付け狙い、その喉に刃をうずめることを夢見る、そして好いた男に股を開く、そういうドロドロした混ざり物こそ人間の本質じゃねぇか。悪くねぇ、そういうの嫌いじゃねぇぜ。人こそ獣だ」


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「ま、股を開くって・・・」


「そこかよ!」
拍子抜けしたようにおどけたベアトリクスは、一つ肩をすくめると、アルフレドとテルミンに顎をしゃくる。


応じた二人は女騎士と並んで先頭を歩き始めた。


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これ以上の見張りは置かれていないらしく、彼女たちは遮るもののないトンネルをひたすら急いだ。ウインドヘルム=マーラの目の池間は方角こそ違えど、距離で言えばカイネスグローブとそう変わらない。ウインドヘルムまでは急げば数時間の距離だ。夜明け頃には着けるかも知れない。


彼らは帝国軍、ストームクロークの下をくぐってイーストマーチの地下を進んだ。


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途中、再び死霊術師たちの待ち伏せにあったが、今度はイェアメリスも危なげなく立ち回り、時間が惜しいとばかり押し通った。
そして臭気が強くなってくると、一行はトンネルの最後が近いことを予感した。氷と低温によって抑えられてはいるが隠しきれるものではない。この匂いは戦場に行ったことがある者には馴染み深いもの。すなわち・・・死臭であった。


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「ここだな」
アルフレドが最後の扉を開けると、洞窟ではない建造物が現れた。
密輸商のトンネルを踏破した一行は、ウインドヘルム港の倉庫へと足を踏み入れたのであった。




・・・



同じ頃・・・


ウインドヘルムの河川港は氷と静寂に包まれていた。
水面にランタンの明かりが反射している。まだ夜明けには時間があり、明けたとしても今日は暗いままだろう。港の空には蓋をしたように灰色の雲が被さっていた。ホワイト川に向けて突き出す石の桟橋は凍り付いており、その周囲では川面に浮かぶ氷の膜がさざ波に揺れ綽々という音を立てている。


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こんな時間だが港では既にアルゴニアンの役夫達が働き始めていた。


帝国軍の河口封鎖の影響で、ウインドヘルムに停泊した船は海に戻ることができなくなっており、足止めを喰らっている。こんなときこそ彼らのかき入れ時であった。停泊中の船の吃水に纏わり付くフジツボをこそぎ落とし、防腐防水の外壁塗装をする仕事などほとんど誰もやりたがらない。アルゴニアンである彼らはそのような仕事を請け負うことによって、港の中で住居や一定の権利を確保して生活しているのであった。


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アセンブリッジに住まう役夫の一人、ネートレナザは鱗に覆われた顔を上げて空を見ると顔をしかめた。鼻腔を通り過ぎる空気に腐臭を感じたのだ。ここ最近港に漂い皆を悩ませているあの悪臭だ。今は冬だから良いが、暖かくなる前になんとかしてもらわないともっと酷くなりそうな予感がする。


作業に戻ろうかと思った彼は、凍り付いた桟橋に響く複数の足音を聞いた。こんな時間に人がやってくるのは珍しい。しかも現れたのはノルドたちだ。東帝都社の事務所倉庫が閉鎖され、内戦が激化してからは彼らはほとんど港に現れなくなってしまった。川を泳いで対岸のブランディ・マグ農場に買い出しに行ったと仲間のシャーヴィーが喋っていたが、そこで仕入れた噂によれば帝国軍はもう間近に迫っているらしい。そんな折りにノルドが来たと言うことは、この河川港ももうすぐ戦場になるということでろうか。


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「あんたたち。いまはどこに行く船も出てないぞ」
挨拶代わりに声をかけてやるが、軽く片手を上げてあしらわれてしまった。彼は端から相手にされていなかった。


「そろそろ潮時かもなぁ」


数人のノルドは雑談をしながら歩いてくる。どうやら船に用があるわけではないらしい。城壁内の街の住人にしてはガラが悪い。彼らは、シャッターシールド家に仕える傭兵達であった。先日から港で異臭がするという苦情が出ており、それを調査するために派遣された男たちだ。


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「これが終わったらハルムズ・フォリーの実家に戻ろうと思ってるんだ。トールビョルンには世話になったが、このままここにいても先が無さそうだしな」


ネートレナザはいい気味だと心の中で呟いた。アルゴニアンの労働者は“ノルドの労働者”の10分の1の価値にすぎないなどと言っている連中だ。モロウウインドでダンマーの奴隷になり、このスカイリムではノルドに奴隷同然の扱いを受ける、そんな境遇にはほとほと嫌気が差していた。


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彼らの雇い主であるトールビョルン・シャッターシールドはウインドヘルムでは東帝都社と勢力を二分する貿易会社を営んでいたが、東帝都社のオルサスは船で去ってしまい、その後港が閉鎖されると自身の事業も傾きはじめた。ライバルがいなくなったのはいいが、船を出せなくては商売ができない。使用人である傭兵達も、そろそろ身の振り方を考えねばならない時期に差しかかっていたのだった。


「なんでまた俺たちがこんな調査を? こんなの灰色ネズミか、トカゲ野郎どもにやらせりゃぁいいじゃねぇか」


「さぁな。まぁ、はした金でも給料が出るだけましさ。スカイリムを出るんだったら、先立つものはあるに越したことはないだろ」


「それもそうだ」


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街中に住むノルドたちにはあまり興味の無い話であったが、港に嫌な匂いが漂っているという噂はもうずいぶん前から続いている。肉の腐ったような、甘く重い臭いらしい。最初は嗅覚の鋭いアルゴニアンの戯言ぐらいにしか受け止められていなかったが、半年も続けば苦情の件数もそれなりに貯まる。おそらく東帝都社の商人たちが放棄していった倉庫のどれかに、食料品が残ったままになっているのだと予測されていたが、当の帝都社はもはや誰も残っていない。そこで代わりに港の管理をしているシャッターシールド家が調査を派遣することになった。


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「どうせ保管に失敗した鯨肉とかいう落ちにきまってらぁ。俺は荒事担当であって清掃人じゃねぇぞ」ノルドたちは寒風の下に澱のように留まる異臭を感じながら、その発生源と目されている倉庫に向かう。


「はは、スキーヴァとか集(たか)ってるんじゃね?」


「ああ、やだやだ・・・」


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彼らは雑談しながらアルゴニアンの役夫達を通り過ぎ、目的の倉庫前に辿り着いた。
「さぁ、ここだ。臭ぇモンあふれ出してくるかも知れねぇから、覚悟しろよ」


傭兵の一人が倉庫の扉に手をかけ扉を開ける。そして踏み込んだ先で見たものは・・・


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「うぷっ・・・こ、これは・・・」


倉庫の中一杯に積み上げられていたのは、鯨肉ではなかった。それは、人の死体であった。
イェアメリスたちがマーラの目の池の氷室で見たのと似た光景。しかし氷室と違い倉庫の温度では氷漬けは維持されず、溶け出してきていた。すさまじい異臭の原因はそこから漏れていたのだった。


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とにかくただ事ではない。傭兵達は吐き気に耐えながら互いを見やった。


「ま、まずトールビョルンさんに連絡して・・・」言いかけた傭兵は、倉庫の奥に動くものを認めた。

「おい、そこに居るのは・・・何をして・・・」


傭兵が最後に見たのは、膨れ上がった腕が棍棒を振り上げる光景であった。

脳漿を飛び散らせ傭兵が一人倒れると、その殺人者が姿を表した。


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巨体・・・そしてそれは異形としか言いようのない姿をした男であった。


右腕がない、代わりに左腕は異様に筋肉が発達し、太ももの何倍もの太さを持っていた。その手にした棍棒は大きさそのものが武器であるとでもいうべき無骨なもので、今しがた叩き潰した傭兵の血が滴っている。


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そしてその脇からは新たに人影が姿を表した。


ノルドの戦士と魔術師らしき女が二人。やけに血色が悪く、表情のないその顔は脳腐病の末期患者を思わせた。


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そして仮面をつけた魔術師風の男も二人。

同じく無言で佇んでいる。


ブラッキーかアルフレドがいたら、一人はエランディルに付き従っていた死霊術師でと言い当てていただろう。


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そして最初に現れたバランスの狂った体躯の大男・・・。


傭兵たちは戦いになるなどとは全く思っておらず、ただただ度肝を抜かれた。そもそもこんな腐臭漂う倉庫に居ること自体が普通ではないが、それを廃しても余りある不気味な集団であった。


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「野郎、よくも!」


気を取り直した傭兵たちが一斉に武器に手を伸ばす。しかし大男は何かを感じ取ったかのように、急におとなしくなるとキョロキョロしはじめた。まるで見世物小屋から逃げ出したトロルのようだ。


「悪臭のする倉庫というのはここかね?」


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傭兵たちは急に後ろから声をかけられて身体を強張らせた。倉庫に新たな訪問者が現れたのである。慌てて振り向くと、黒ずくめの男と派手な装飾を身に着けた女が立っている。大男はこの二人に反応しておとなしくなったようにみえた。


男は魔術師、いや錬金術師だろうか。ダンマーの女は真冬にもかかわらず前の大きく空いた服を着ている。灰色ネズミらしいふしだらな格好だと傭兵の何人かは顔をしかめた。


「困っていると聞いたのでな。原因を取り除いてやろうというのだよ」
現れたのは、エランディルとイルダリであった。


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奇妙ななりではあるが、それでも眼前の5人よりはマシに見える。傭兵達はエランディルに対して口々に質問を投げかけた。
「あんたたちもシャッター・シールドの者か? トールビョルンに頼まれたのか? 気をつけろ、ここには化物が・・・」


「シャッター・・・なんだ? そんな者は知らん」
エランディルは首をかしげた。「ところで君たち、覚悟はできているのだったな?」


「なっ・・・何だよあんた」


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すると、今までおとなしかった異形の大男が唸り声をあげた。


「グルル・・・?」


「やめよ、ウルーモルス。損傷が酷いと使い物にならなくなる」


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膨れ上がった左手を持つ大男は、おとなしくなると主人の命令を待つように武器を降ろした。フードとマスクに隠されているので見えないが、あれは本当に人間なのだろうかと思わせる、知能の欠如がそこにはあった。まるでドーンガードで研究が進んでいるという調教された武装トロールとでもいうような仕草だ。


「なに似合わないことやってるのよ」
横槍を入れてきたのはダンマーの女魔術師であった。彼の協力者である魔女イルダリは、退屈で仕方のないと言った様子でエランディルを揶揄した。


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「いや・・・あまりの歓喜、慣れぬ芝居に興じてしまうところであった」


「あっそ、早くはじめたらどう?」


エランディルは頷いた。ノルド傭兵たちの不振の目を一斉に受けて、肩をすくめる。
「ふぅ・・・、やはり蒙昧なノルド共を相手にするのは吾には無理だ」


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「なんだって?」


「そう、悪臭の原因はお前たちのルドだ。くさい・・・耐え難き臭さだ。吾はお前たちの匂いが、存在が耐えられぬ」

顔に張り付いた温和な表情をかなぐり捨てると、彼は傭兵たちを凝視した。


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「ぐっ・・・!」
「うぁっ!」
「ひっ・・・」


急に傭兵たちが苦しみだす。


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ある者は喉をかきむしり、ある者は叫びを上げ。彼らは一様に胸が締め付けられるような激痛に襲われたのであった。そして数秒後、事切れて床に崩れ落ちた。氷室でブラッキーたちが見たのと同じ技、即死の邪眼であった。


「どうだ、吾ならば壊さず、綺麗に死体を作ることができる」
エランディルは、どこから取り出したのか、薬品の瓶を弄びながら満足気に傭兵たちの死体を見下ろした。


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「綺麗だけど中身は・・・心臓はぐちゃぐちゃでしょうに」
イルダリが肩をすくめると、エランディルは殺したばかりの死体に薬品をふりかけはじめた。
死体が煙を上げながら変貌してゆく・・・ロルカーンの涙だ。


「君たちにも栄誉を与えよう。吾が死者の行進の列に連なるという栄誉を。どうだね、最高じゃぁないか」


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調査に訪れた傭兵たちは変異させられ、死者の行進の尖兵として加えられた。


彼は次いで五人の僕たちを横に下がらせると、倉庫内の死体に薬を撒いていった。狭い倉庫内に煙が充満し、次から次へとアッシュ・スポーンが生まれてゆく。変貌した傭兵達に交じり、化け物達は倉庫の中を満たしていった。


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「さぁ浄化の時だ。穢れしノルドの王国よ、滅ぶがよい!」


エランディルは芝居がかった声で宣言をした。作業をしていたアルゴニアン役夫達が驚いて注目する。先ほどノルドたちに声をかけたネートレナザは、何かがおかしいと感じたのか、真っ先に氷の張った川に身を投じた。それが正しい判断だったことは皮肉にも、後に他に助かったアルゴニアンが居ないことで証明されることになる。他のアルゴニアン達はみな、死者の行進の最初の犠牲者となる運命が待っていたからだ。


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エランディルの目的はもちろん港の制圧などでは無い。彼は逃げ出し殺されるアルゴニアン達に一瞥だに与えず、港の倉庫街から城内に続く道を闊歩した。しばらくすると倉庫街には生きた者の姿は無くなった。


「ふむ・・・アルゴニアンには効かぬのか」
殺した相手に薬を撒いて、更に尖兵を増やせるというのがロルカーンの涙の恐ろしいところであるが、港ではこれ以上の増員は望めないようだ。


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「仕方ないでしょ。スカイリムでアルゴニアンの素体は充分には手に入らないわ」


雪は降ったりやんだり断続的に繰り返している。この後おとずれる街の混乱の前触れのように。その様子とは対照的に、二人はまるで研究者同士が雑談でもかわすように穏やかに話しながら、死者の行進の中をゆっくりと歩いて行く。


桟橋の倉庫街を抜けて少し進むと、昇りの長い階段が見えてきた。この先が城内へ通ずる門だ。


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「どうしたことだ? これは」


階段の先でアッシュ・スポーンたちが渋滞している。彼らの進軍は港の大門に阻まれているのであった。戦時下のため当然ではあるが、港と市街を隔てる巨大な門扉は固く閉ざされている。もともと配置されていないか、それともアッシュ・スポーンに飲まれたしまったかは定かで無いが、こちら側に衛兵は見当たらない。


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イスグラモルの時代に造られたこの門はホワイト川に掛かる表の大門と並んで、第2紀に一度アカヴィル大陸から押し寄せたカマール人たちに突破されて以来、難攻不落を誇っていた。
厚さ10インチを超える鋼鉄の扉板は、たとえタロスのスゥームでさえ持ちこたえると言われていた。


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「ふむ、この門は少し厄介だな」


約千年前にカマルの悪魔王アダスームがしたのと同じように、化け物を引き連れたエランディルはその門を見上げた。このようなところで時間を取られるのは不本意だといった表情で、五人の僕たちを見る。連れてきたのは殺戮専門で選んだ配下たちで、攻城戦などはもとより想定していない。


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「やはり直接街中で発生させた方が良かった。仕方ない、マジカの消費はやむを得ん。吾自らが行うしか無いようだな」


「なにをケチなこと言っているの」
付き従うイルダリは呆れたような口調でエランディルに絡んだ。その手には赤く明滅するハートストーンが握られている。


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「だったら、これ使ってみなさいな。面白いわよ」


受け取ったハートストーンは膨大な魔力を秘めており、エランディルは自らの身体にマジカが行き渡り、溢れ、昂ぶるのを感じた。
「お? おお? おおおぉぉ・・・!」


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彼は振り上げた杖の先に光を纏わせると、侵入者を拒絶する扉に向かってそれを放った。


扉に小さな熱の点が付いたと思うと、その半径が急速に拡大する。

その周囲は再び溶鉱炉に戻されたように光を発し、扉は溶け崩れはじめた。


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「ハハハ・・・ノルド共の崇める偽神タロスは城壁を吹き飛ばすのが得意だったらしいが、それぐらいこの吾にも造作のないことだ。みるがいい」


「ノルドを虐殺するか、城でウルフリックを狙うか・・・。帝国軍は半壊、そのうえストームクロークをここで始末してしまえば。ふむ・・・エレンウェンは立場がなくなるな・・・それがいい。吾は勤勉なサルモール。輝かしき勝利を以てアリノールに凱旋するとしよう・・・フハハ」


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とうとう扉は力尽き、彼らの軍門に屈した。


アッシュ・スポーンの群れの渋滞は解消され、大門に開いた大穴から街中に侵入してゆく。
街になだれ込む死者の行進を満足げに見送りながら、エランディルはブツブツ独り言を呟いていたが、やがて冷静になると、連れてきた大男を呼び寄せた。


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「ウルーモルス[U]、貴様は好きに暴れろ。ノルドの街を血に染め上げろ」


「ぐルる・・・」


ここまでおとなしく着いてきた異形の大男は、勇躍するように身体を震わせる。

そしてアッシュ・スポーンの群れに交じって城内へと飛び込んでいった。


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「ヴィ[V]は教徒たちと共に、街中で薬を撒け」


エランディルは仮面の男を一人呼びつけた。男は普通の死霊術師に見える。見た目に目立った特徴は有していない・・・この異形の集団の中ではと言う意味だが。
「パニックを誘発させよ。そのあとは・・・わかっているな」


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仮面の男は無言で頷いた。


「貴様の贖罪はここで果たされる。吾の望みはただ一つノルドどもの死だ」
追いやるような仕草でヴィとその配下たちを城内に向かわせると、エランディルは戦士と魔術師のような姿をした、対照的なノルドの女二人を呼びつけた。二人が並んでエランディルの前に立つと、彼は蛇のような目を細めた。今し方ヴィと呼んだ死霊術師と違い、この二人はとてもお気に入りのようだ。


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「吾はウルフリックを始末しにゆく、ジェミノス[Ge]、お前たちは王の宮殿までの警備共をみなごろしにせよ」


二人はぎこちなく頷く。


「吾の露払いを申しつける。ゆけ!」


「御意のママに、我ガ君」
「姉ト共に、御心ヲしめシマす」


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異口同音で返事をし門の向こうに消えてゆく様を、エランディルは満足そうに眺めた。そして残された一人に同意を求めるように顔を向ける。禍々しいローブを纏った死霊術師。氷室の中でエランディルに付き従っていた一人だ。


「どうだゼード[Zy]。彼女たちは良い出来であろう?」
この姉妹ゾンビは彼の作品の中でも傑作であった。


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「は。御身の技術にはこの不肖ゼード、常に感服しか思い浮かびません」


「素材が良いのだ。そうだ、素材と言えばイェアメリス[Y]を忘れてはならん。あの娘も良い傀儡になるぞ。回収に行かせたバウラーはどうした?」


「まだ連絡はありませぬな」


「ふぅむ・・・」エランディルは顎を撫でた。「まぁよい、楽しみは取っておくとしよう。今すべきはこの街の・・・ノルドの根絶だ」そう言うとエランディルは協力者の魔女に向き直った。魔女は門前踊り場の隅にかがみ込んで、アルゴニアン死体の尻尾を持ち上げたり相変わらず好き勝手に振る舞っている。


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「そしてイルダリ、お前は・・・」
呼びつけるのも面倒だとばかりに声をかけるが、帰ってきたのは連れない返事であった。


「アタシは帰るわ」


魔女はアルゴニアンを放り出すと、エランディルの前に歩いてきた。


「帰る? どう言うことだね」


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魔女は悪びれた様子も無く、しなを作って見せる。
「あなたは沢山の玩具を持ち込んでいるじゃない」彼女は指折り数えて見せた。「ヴィ[V]にジェミノス[Ge]、ウルーモルス[U]、そこのゼードとイェゾ[Zy]。どれだけ連れてくれば気が済むのよ」


「フフ、せっかくの舞台だからな」
彼はお気に入りの、銘入りの者達を側近として連れてきていた。サルモールにも属さない、彼自身の私兵だ。


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「アタシなんかに構っていなくても、充分でしょ。帰るわ」


エランディルは何か言い返そうとして途中で辞めた。この無軌道な魔女を制御下に置こうとすること自体がナンセンス、そんな風に感じているのだろう。そして代わりに問いかけた。


「帰ってどうするのだ?」


「アタシはこの・・・」そう言うと魔女は自分の胸に取り付けたハートストーンを指さした。「これについて書いてあるちょっと面白い日記・・・手記を見つけたのよ。アタシはアタシを生かしている石についてもっと研究を進めないとならないの。アッシュ・スポーンも、ロルカーンの涙もその副産物に過ぎないわ」


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「せっかくの舞台を鑑賞してゆけば良いと思ったが」


「うまくやんなさいよ」


そう言って魔女は、城内でも港でも無い何処かを目指し、一人消えていった。


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その姿を見送ったエランディルは、少し毒気を抜かれた様にその場に佇んでいた。しばらくして、脇に控えていた側近が控えめに声をかける。


「行ってしまわれましたな」


「ああ、あやつは仕方あるまい」エランディルの配下と同じで、イルダリも自身が生きているのか死んでいるのかあやふやな存在であった。たまに彼をも驚かせる英知を見せるが、大半は意識混濁、支離滅裂な振る舞いをしている。こういった作戦に手駒として組み入れても予測不能な因子にしかなり得ない。彼は魔女の置き土産である石を手の上で転がした。マジカが漲るのが感じられる。


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「ふむ、ハートストーンか。イルダリめはロルカーンの石などと呼んでおったが・・・アッシュスポーン共を制御するだけのものではないのだな。周囲のマジカをため込み循環させる。この力、どれほどのものか試してみようではないか」


「先ほどは見事でございました」
分厚い扉は彼の魔法の前に屈していた。


「力が漲っておる。今なら吾一人でノルド共をすべて焼き払えるかも知れぬ。ハートストーン・・・心臓石か・・・イルダリの命をつなぎ止めていると言ったが、それも宜なるかな」


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「それでは我の仕事が無くなってしまいます。ときに、我は如何様にすれば?」


「ゼード、貴様は吾と共に来い。王の宮殿を制圧するのだ。貴様には期待している。吾の片腕としてその力、存分に揮うが良い」


「ははっ!」
側近の男は仮面の下で悦びに打ち震えている。
「寂れたカスタブ砦で我を見いだして頂きましたこと、感謝の念に堪えませぬ」ゼードはカスタブ砦に巣食っていた死霊術師たちの教祖であった。かつてはサイジックで学び、チムを達成せんと意気込んでいた彼は特殊な因果には恵まれず、スカイリムの片隅で寂れた教団を指導する教主に落ちぶれていた。


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内戦の旗色も悪く、自分たちの領域が侵されそうなときに現れたエランディルとイルダリの力に感化され、彼を主と定め教団ごとその配下に加わったのであった。
「日陰者の我らが歴史に名を残すことが出来るのもエランディル様、御身の導きあってゆえ。ウインドヘルムを死者の都にし、タムリエル中で怖れられる物語を作ってご覧に入れましょう」


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少しして・・・彼らが侵入したのと反対の石地区でも異変が起きた。


戒厳令中とはいえ、早朝の石地区は市の準備などで人出がけっこうある。ヴィが引き連れた従徒たちは住人を装って死者の行進とは別に進み、先んじて人混みに紛れた。そして港側の騒ぎが聞こえはじめた頃、呼応するように街中で見境無く薬を撒きはじめたのだ。


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薬をかけられた通行人が次々と灰の化け物に変貌してゆく。恐怖に駆られる住人達。ヴィ率いる狂信者達は見境無くそれを行い、手持ちの薬が最後の一本となると、にやりと笑って自身の頭にそれを降り注ぐことを繰り返す。
煙がたちのぼり、灰色の化け物と化す狂信者達。ヴィは最後の一人が変貌するのを見届けると、一人ふらりとまた住人達に紛れて消えていった。


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ウインドヘルムでエリンヒルの悪夢が再現されようとしている。
エランディルの襲撃はこのようにして始まったのであった。



(つづく・・・)



※使用modほか


今回の特徴的なmodを紹介します。


・破られたウインドヘルムの扉・・・BodySlide and Outfit Studio( Nexus SE 201 )

 装備や体型以外にも使えるんですよ(#゚ロ゚#)!

 今回はOutfitStudio(!)でバニラの扉素材をいじって、穴が空いたように扉のメッシュを変形させました。

 本来だったらBlenderを使うところですが、これぐらいの簡易的な作業だったらOutfitStudioが手っ取り早く編集できて便利です( *・∀・)9゙


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・隻腕の大男[U]ウルーモルス
 本作品オリジナルです。
 造型は大型クエストmodのThe Wheels of Lull - Unwound Edition( Nexus SE 748 )に出てくるホワイトホーン砦に居る、アーチェロンの実験体を使わせて頂きました。


・ノルドのゾンビ姉妹[Ge]ジェミノス
 本作品オリジナルです。
 姉のフロアはフォロワーmodのUnique Zombie Follower - Trish( Nexus SE 37425 )
 妹のグロスタはフォロワーmodのHuldra -Draugrborn-( Nexus LE 68141 )をSE変換して使わせて頂きました。
 フロアとグロスタは同胞団の帰還の歌第2巻に登場する、最初の盾の姉妹です。


・ヴィ[V]とゼード[Z]
 本作品オリジナルです。
 バニラのアルトマー男性にそれっぽい衣装を着せて、死霊術師として仕立て上げていますw


・SRollFollowersSE( Nexus SE 12806 )
 お世話になっているスイートロールさんのフォロワー。
 同胞団のイメージ作りのため、ファルカスさん、アエラさんと一緒にシグルド/オーズの盾の兄弟を使わせて頂きました。第三部では一緒に旅する予定ですヾ(๑╹◡╹)ノ"


・狂気ロス( 個人サイト:たまごボーロのチラシの裏 )
 お世話になっているたまごボーロさんのフォロワーmod。
 今回は死霊術師界隈の動向のエキストラとして出演頂きました。
 彼がおかしくなったのはやはりあの女王様のせいなのですかね・・・?


・Soranatsu Warumusu( そらなつさんオリジナル )
 お世話になっているそらなつさんに作って頂いたポテマ様。
 本人居ないのに相変わらずの存在感。ロス君と合わせてこの先主人公達の運命に大きく関わってきます。


・ROS DeadBody 20220309( Residents of Skyrim/個人サイト )
 いつもお世話になっているponさんの小物mod。
 今回はとてもゴアな装備(?)です。
 死霊術師達のシーンが多めなので、雰囲気作りに使わせて頂きました。
 それにしてもヤベェ・・・苦手な人注意です(#゚ロ゚#)。


・JK's Skyrim( Nexus SE 6289 )
・Dawn of Skyrim (Director's Cut) SE( Nexus SE 9074 )
・Windhelm Exterior Altered( Nexus SE 5824 )
 ウインドヘルムの景観変更modです。
 うちの環境ではこの3つをベースに、個別の変更をいくつか加えた環境となっています。
 灰色地区とか、街が迷路みたいになって、探索しがいがありますよ~


お待たせ致しました

なんやかんやと年明けからいろいろとバタバタして、気がついたら2022年も3ヶ月目に入ってしまいました。時間が経つのって早くて恐ろしいですね。細切れの時間をなんとかつなぎ合わせて、ここまで辿り着きました。
第2部の最終決戦は4話分のボリュームが有り、今回はその最初の1話となります。いつもならまとめて仕上げるところなのですが、遅くなりすぎるのも難なので、ここはいつもと違うできたものから出すスタイルで行かせて頂きました。残りの3話も既に推敲完了して、スクショを撮る作業に移行していますので、できあがり次第順次公開していきたいと思います



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