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TES大好き、もきゅがスカイリムの物語をお届けします

◆Chapter 2-18: サルモールの影

2018
28

東帝都社の事務所で用事を済ませると、イェアメリスたちは街の奥に進み、イドラフの話していた市場に出た。ここは平野地区の突き当り、城壁外とはまた違った露店の立ち並ぶ商業区画であった。スペース的な問題で大規模な市場を形成することのできないホワイトランでは、市場は大きく四カ所に固まって形成されている。


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一つ目がイェアメリスたちも二度目の訪問になる城門外の参道で、酒場宿のラムズヘッドとホワイトラン最大の馬屋を中心に屋台が建ち並び、周辺のバトル・ボーン農園、ペラジア農園、チルファロウ農園などからの作物が取引されている。近隣のリバーウッドやロリクステッドからの行商人や、カジートのキャラバンなども時折姿を現し、馬車の発着場もあることから一番賑やかな市場となっていた。


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二つ目は東帝都社の物流倉庫で、城壁内の中庭と内門周辺のスペースを利用して作られた物資の集積場が中心だ。ここには都市間交易の産品が集められている。一般の市民にはあまり縁がない場所だが、イェアメリスのような帝都社の社員にとっては、いくつかの重要なサービスを受けられる事務所も併設されていた。


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三つ目はホワイトラン城壁の東側一帯で、ジョルバスクルとバトル・ボーン農園に挟まれた区画だ。ここはオブリビオンの動乱で被害を受けた旧市街の残り部分であり、今でも崩れたままの建物や城壁の破片などが散らばる迷路のような場所になっている。周辺の農場主から一時的に募集される灌漑工事要員や、衛兵隊に随行して周辺の砦や防壁などを修繕、維持することによって日銭を稼いでいる役夫などが多い。そのため、今では労働者地区と呼ばれていた。


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そして最後が今イェアメリスたちの歩いている平野地区の市場だ。都市内の住人や城壁内に入ることを許されるような観光客向けの取引は主にこの市場で行われており、労働者地区とは対照的にホワイトランの明るい側面、恩恵をいっぱいに受けた、いわゆる"お上品"な場所となっていた。


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中心的な店は三つ。食料品を扱い酒場宿も兼ねる"バナード・メア"、日用の消耗品や装備を扱う"ベレソア雑貨店"、乾物や薬草全般を取り扱う錬金術店の"アルカディアの大釜"。広場はこれら固定の店と、その隙間を埋めるように出店した露店で賑わっている。狩人の獲物を捌きながら供する肉屋や、宝飾品を扱う屋台、魔法の呪文や巻物等、一風変わった品物が立ち並ぶ。そんな中を、彼女たちは散策しながら物珍しそうに眺めた。
夕方までにはまだ少し時間がある。期せずしてアルフレドたちと遭遇したイェアメリスは、仲間とのつかの間のひと時を楽しむのだった。


「何も"怖い"ものはない。質の良い品が好きなだけだ」
先ほど見かけたナゼームが、また何処かの屋台にケチをつけている。


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「・・・ちがう、この肉は全然駄目だ。油が多すぎるし、何か・・・変な臭いがする」


「じゃあ、好きにするといい。森はあっちだ。壁の外に出たら真っ直ぐ進め。見逃すなよ。狩りがうまく行くことを祈ってるよ」
今度は肉屋のようだ。店番の狩人は面倒なレッドガードを追い払うようにおざなりに対応している。ナゼームはケチをつけては皮肉で返されるというやり取りを何度も繰り返していた。


そんな様子を横目で見ながら、女性三人は話しに花を咲かせていた。


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「あの人、どこでもあんな感じなの?」


「まあ、名物みたいなものよ。・・・そうそう、名物と言えば風地区にも一人ね・・・」


リズは今日は遅番らしく、少女らしい服装に戻っている。あと三ヶ月ほどで臨月を迎えるクラリスは、アルフレドと共にキナレス聖堂に検診に行った帰りだったそうだ。そのアルフレドはいま、定宿にしている"酔いどれハンツマン"に荷物を置きに行っている。


天気がいい今日のような日は、円形広場に様々な出店が立ち並ぶため、のんびり休める場所はあまりない。そのため彼女たちはクラリスが住み込みで働いている"アルカディアの大釜"の裏手、人気の少ないちょっとした裏庭のような場所で休憩していた。先ほどお預けになった昼食代わりに、鹿肉のローストを買ってくるとパンに挟んでおやつにする。黄色い声が上がる中、アスヴァレンは話には加わらず所在なげだ。彼はアルフレドが遅れて合流してくると、心なしかホッとしたような顔を見せた。


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イェアメリスは、ホワイトランを出てから世界のノドを一周して戻ってくるまでを、かいつまんで話した。その前半部分はアルフレドもよく知る部分だ。その後の話を聞きたがった傭兵は、彼女の話を聞くと、驚きのあまり手に持っていたパンをポロリと落とした。
傭兵は二人の錬金術師がひょっこりホワイトランに現れたものだから、自分と別れた後の旅路は順調に進んだものと思っていたのだ。


「なんてことだ! 俺は肝心な時に居られなかったのか!」


ダークウォーター・クロッシングでウルフリックと共に捕らわれた話を聞いて、傭兵は悔しそうに拳に力を込めた。


「いいえ、アルフさん充分助けてくれたじゃない。あなたがいなかったら、少なくともあんなに早くサレシ農場までは行けなかったわ」
ストームクロークとの邂逅、帝国軍の襲来に巻き込まれての捕縛、その後の追跡行。・・・アルフレドは自らが別れた後、仲間達に降り懸かった災難の数々に目を丸くするしかなかった。リズとクラリスは微妙な顔、しかし口を挟まずおとなしく話を聞いている。


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「メリスちゃんが捕まってたって言うんなら、何をおいても駆けつけたのに」


「あはは、気持ちは嬉しいけど、そんな高額な護衛代・・・救出代?払えないわよ。ニルンルート買っちゃったからね」


「そこまでがめつくはないさ。・・・あ、そう言えば買い付けはうまくいったのか?」


「ええ、おかげで財布はカラ寸前」
イェアメリスは脇に置いたパンパンの荷物を指さした。口を開けると中にはニルンルートがぎっしりと詰まっている。"アルカディアの大釜"で働いているというクラリスはそれを見ると驚いたようにリズと顔を見合わせた。イェアメリスにひと株受け取ると、興味深そうにその輝く植物を眺める。


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静かに横に立っていたアスヴァレンは、ダメ押しとばかり自らの折れた剣、アトモーラの楔を取り出して見せた。
アルフレドはほら見ろ、と言わんばかりの得意げな眼で女性達を見回す。おとぎ話のような武器が発する冷気を前にして、衛兵少女もショックを隠せないようだ。


ぽかーんと開けた口を閉じると、ひと呼吸おいて、リズは素っ頓狂な声を上げた。
「・・・ええっ?! あの話って、ホントだったの?!」


「だから、言っただろう。リズちゃん信じてくれないし・・・」


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ストームクロークの野営地でのこと、ジャ・ラールやリサード、レオナールとの出会い。怪しげなエルフだけの帝国軍との遭遇、アーセランのくすねた仮面と蘇った竜司祭・・・そのどれもが荒唐無稽なものであり、彼女たちは話半分にしか聞いていなかった。有り体に言えば信じていなかったのだ。
そこに不意に現れた旅人が寸分違わぬ話をし、パンパンになった荷物・・・詰まったニルンルートを披露したものだから、彼女たちもアルフレドの冒険譚を信じざるを得なくなったのであった。


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「・・・俺、半分ホラ吹き扱いされかけてたんだ。メリスちゃんが来てくれて良かったよ」


「それにしても・・・ドラゴン? キナレスにかけて、ウソっ・・・ほんとなの?!」
リズは丸い目を更に丸くして声を上げた。当然の反応だが・・・ここまで来ても、ドラゴンの話はにわかに信じられないといった表情だ。無理はない。当のイェアメリスもまだ、全てを飲み込めていないのは同じなのだから。


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「あなたたち、凄いわね・・・アルフくんを信用していなかったわけじゃないけど・・・」


「うそつけ。全く信じてなかったくせに」


「えへへ・・・最近エリクもおかしなこと言い出したし、アルフ君も揃って脳腐病にでもなったのかと思ってたのよ」


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衛兵少女は誤魔化すようにはにかむと、斜め上を見た。「本当に冒険してるのね・・・エリクとは大違いだわ」


「ん? エリクがどうかしたのか?」


「今度会ったらちょっと言ってやって。あなた先輩だから彼も言うこと聞くと思うわ。あの"虐殺者"に・・・」


「話が見えないんだけど・・・」


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衛兵少女の話によると、どうやらブラッキーはエリクというロリクステッドの傭兵志願者の若者と行動を共にしているらしい。
それを聞いてイェアメリスはクスリと笑った。
(あの子のことだから、仲間なんてすぐに増えそうね)


「さっきの話がホントなのだったら、竜司祭も倒したのよね?!」
リズは衛兵というだけあり、他の女性とちがって戦いの話に興味津々だ。


「ああ、でも倒したのはメリスちゃんだぜ」


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「あれはたまたま呪文反射が当たっただけで。アルフさんが切りつけてくれたから・・・」
アルフレドは彼が経験した戦いを・・・イェアメリスの活躍を自慢げにリズに説明した。「こう見えて、メリスちゃん凄いんだぜ。ウルフスカルではドラウグルを・・・」


「やめて」
恥ずかしくなってイェアメリスは耳の先まで赤くなる思いだった。
そして思い出したように傭兵は、騒ぎに加わらずに横に立ち、静かに様子を眺めている錬金術師に声をかけた。


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「あんたは変わらず居るんだな。少し安心したよ」


「・・・」


「やっぱりメリスちゃんが心配なんだろ」


アスヴァレンは口の端を少し持ち上げた。
「ドラゴンなどを見てしまったからな。もう少し、スカイリムにも滞在する価値があると思っただけだ」


「ふふ・・・素直じゃないな」


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話をしている内に午後も深まり、夕刻が近づいてきた。会話が何度目かの堂々巡りになりかけたのを機に、彼女たちは一旦解散することにした。クラリスは身体を冷やしてはいけないと言うことで、一足先に店の中に引っ込む。リズもそろそろ夜勤に備えて隊舎で一寝入りするらしい。イェアメリスたちはそろそろ今晩の宿を押さえて、バルグルーフとの面会を考えなければならない。そろそろ行動に移ろうと再び広場の方に向かいはじめた彼女たちに、アルフレドは着いてきた。


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「熟れた果物と新鮮な野菜がお安くなっていますよ!」


「可愛いアクセサリーがあるよ。どれもスカイリムで最高の鍛冶屋の作品だよ」


夕方が近くなり、市場は一日最後の活気に盛り上がっている。もうすぐ酒場も営業を始める時間だ。彼らは店の裏手から表に出てくると、バナード・メアに入る前に露店を見て回った。ダンマーの錬金術師はその中の一つの店の前で立ち止まると、熱心に商品を見はじめた。


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「アスヴァレン、どうしたの?」


「ああ、そろそろお前に使えそうな呪文書を見繕おうかと思ってな・・・」


「あたし?」


アスヴァレンは頷いた。


「せんせ、久しぶりに教えてくれるの?」


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ふざけたようにイェアメリスは笑ったが、窘められてしまった。


「・・・今後も旅を続けるなら、何でもかんでもその火炎呪文で焼き払って解決、と言うわけには行かないだろう。そのうち、手配書に載って"焼け野原の魔女"とでも呼ばれるようになるぞ」


「むぐっ・・・」


「それ、かっこいいじゃないか!」


「やめて!」


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目をキラキラさせているアルフレドから身を隠すように、彼女は呪文書選びに専念した。
イェアメリスが使えるのはインチキ火炎、灯火、ネロスに教わったという呪文反射、そしてリサードに教わった防寒の呪文・・・狼の毛皮。四つだけだ。魔術師でないとは言え、マジカを持つ者であればもう少し種類は知っていそうなものだ。


「焼け野原がいいのか?」


「は・・・、早く選ばなくっちゃ・・・」


「さすがホワイトランは大きな街だ。呪文書は一通り揃っている・・・やはり、まずは幻惑系からか・・・」


破壊系の呪文を軽視していたわけではないが、危険の矢面に立って火花を散らすようなやり方は師匠の・・・アスヴァレンの流儀ではなかった。彼が手に取ったのは自分の得意とするスクールの"激昂"と"沈静"の呪文書だった。


支払いを済ませていると、近くで争う声が聞こえてくる。


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「愚かなババァめ! 何も分かっていない! 我らの苦労も、苦痛も分かっていない!」
何事かと顔を上げると、バナードメアの入り口付近で、老婆が男と揉めているようだ。


「どうって事ない? 息子のどこが? ええ? ソラルドのどこが、どうって事ないって言うんだい? 苦しみについて偉そうに言わないでくれ」


男のうちひとりは、先ほど一緒に街までやってきたイドラフ・バトル・ボーンだった。
「あんたの息子は奴につく事を選んだ。その過ちのせいで消えたが。・・・それが戦争ってもんだ。あいつは死んだ。早く受け入れたほうが楽になる」
誰かが死んだのだろうか? 突き放している。


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「死んだなんて認めるもんか! 息子は生きてる。私には分かるんだ。教えなさい、バトル・ボーン、息子はどこ? ソラルドをどこに拘束してる?」


もう一人の男、年配のほうが口汚く罵りはじめた。
「このババァの言うことを信じるのか? 私の囚人だ・・・とでも言ってもらいたいってのか? どうしてあいつを掴まえなきゃならない。勝手にストームクロークになって死にに行った阿呆を」
言いながらどんどんヒートアップしてくる。沈静とはこういう時に使うの呪文なのではないかと思えてきて、彼女は無意識に買ったばかりの呪文書を握りしめていた。


「現実を見ろ! お前の馬鹿息子は死んだ! 裏切り者のストームクローク一味としてな・・・そしてお前も・・・同じ運命をたどりたくなければ口を閉じておくことだな!」


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「なあ、親父。もう行こう。ここで言うことはもう何もないだろ?」
どうやら、吠えていたのはイドラフの父親らしい。ということは、あの男がバトル・ボーンの家長、オルフリッドだろうか。イドラフは、見物人の中にイェアメリスたちを認めると、父親を先に行かせて、まずいところを見られた子供のような顔をしたまま立ち尽くした。


取り残された老婆にアルフレドが近づく。


「大丈夫かい? フラリアばあさん。何かされたのかい?」


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老婆はあたりの見物人達を睨みつけている。屋台にアクセサリーを並べていた女性だった。
スカイリム最高の鍛冶屋がどうのと言っていたから、エオルンドの身内かも知れない。・・・と言うことは、女性はグレイ・メーンの一族ということになる。今の一幕はただの言い合いというにはすこし剣呑すぎる空気をはらんでいた。


屋台の片付けを手伝いながらいたわる傭兵に、老婆は言い放った。
「いいや、あたしゃなんともないよ! それより、考えるのは息子のソラルドのことばかりだ。殺されたという噂だが、私には分かる、あの子は生きている! バトル・ボーンの奴らめ・・・帝国軍と結託してるんだ。奴らもそのことは知っている。それでも面と向かってうそをつきやがる!」
興味を失いかけた見物人の何人かが振り返ったが、お構いなしだ。


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「ソラルドが生きているって言うのか? どうして生きていると分かる?」
ソラルドはアルフレドよりも少し年上の、ホワイトランの中でも血気盛んな男のひとりであった。ジョルバスクルで稽古をつけてもらう時、何度か一緒したことがある兄貴分だ、アルフレドにとっても他人ではなかった。


「あんた、息子と良く稽古をしていた子だろ? 分かるんだ。あたしには・・・とにかく分かるんだ。心で感じられる。どうか信じて、明日の朝、私の家へ来ておくれ。全て話すから!」
フラリアは露店の片付けを済ませると、そう言い残してそそくさと立ち去っていった。残されたアルフレドは、少し困ったような顔でイェアメリスたちに振り返った。


「急に家に来てくれと言われてもな」
アルフレドは頭をかいた。


「え、ええ・・・と、とりあえず、今は酒場に入らないと・・・よね?」
急な出来事にイェアメリスも戸惑いを隠せない。気を取り直すように、本来の目的に専念しようとする。


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「グレイ・メーンと、バトル・ボーンは最近、顔を合わせれば何時もこんな感じだ。同じホワイトランの名家なんだけど、顔を合わせる度にあちこちでいざこざを起こさずにいられないんだよ。そうだろ、イドラフさん」父親を先に行かせたイドラフは彼女たちの側にやってきた。


「ああ・・・残念なことにな」


「いったい、どんなことで揉めているの?」
イェアメリスもお節介癖だと分かっては居たが、聞かずにいられなかった。バトル・ボーンの男は、少し目を逸らして地面を見る。


「家同士のわだかまりだよ」


「何が両家を・・・って、あたしが聞いても役にも立たないでしょうけど・・・」


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「違いは単純だよ。グレイ・メーンは帝国に背いたが、俺達バトル・ボーンはいまだ忠誠を誓っている。それだけだ。ストームクロークの起こした内戦の縮図が、このホワイトランの中でも再現されてるのさ。さっき城門前でジョンとオルフィナを見たろ? あいつらにも気の毒だが、家長ではない俺たちには何も出来ん。バルグルーフ首長の手前、表だった争いは控えちゃ居るが、親父か、ヴィグナーの奴、どちらかが折れない限りこの状態は変わらんだろうな」


イドラフはそう言うと、片付けが終わって空になったフラリアの屋台を撫でた。


「俺も幼い頃はあのばあさんに可愛がってもらったし、成人してからも細工を買ったりしたもんさ。妻の・・・アルフヒルドにプレゼントするためのな。フラリアは今や、俺達一族のせいで息子が死んだと信じてる。もはやグレイ・メーンの連中に理論的な話は通じない」


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アルフレドは驚いて聞き返した。
「ソラルドさん戦死したのか! ・・・あんたたち、仲良かったもんな」
イドラフ・バトル・ボーンと、ソラルド・グレイ・メーンは幼なじみだった。イドラフは傭兵の問いには答えず、話を打ち切るように手を叩いた。


「さぁ、いつまでもここでしみったれた話をしていても仕方ない。景気の悪い話は忘れて、バナード・メアで飲もうじゃないか。ご夫人も、な!」


アルフレドはびっくりして再会した仲間達を見た。
「ご夫人? メリスちゃん結婚したのか? ついに?」


「ちっ、ちがうのアルフさん! この人が勘違いで・・・」
相変わらず、イドラフの勘違い癖は直っていない。


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「ほら、いいから入るぞ。首長に伝言があるんだろ? この酒場はすぐに席がなくなるぞ」


元々イドラフも、夕方バナード・メアで落ち合うと話をしていたから、ここに現れたのだった。そうしたら父親がグレイ・メーンと揉めている。そんな場面に出くわしたのであった。フラリアの話に引き込まれてしまったが、彼女はここで大事な用を果たさなければならなかった。動けないハドバルの代わりに知らせを届けに来たのだ。


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ホワイトランに寄ることにした理由の、最後にして最大のもの・・・。バトル・ボーンの言葉に促され、すぐ脱線してしまう彼女たちは本来の目的を果たすために宿屋に足を踏み入れた。


バナード・メアは城門から入った先、平野地区の一番奥にあるホワイトラン最大の酒場宿だ。イドラフの言ったとおり、冷え込む初冬の夜気から逃れて集って来た市民たちが、宿のあちらこちらで騒いでいる。中は既にかなり混雑していた。


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中央に大きな暖炉があり、その周囲にはフリーのベンチが何脚か置いてある。四隅には個別のテーブルスペースがあり、客たちが食事や酒を楽しんでいた。右手のカウンターに立ち、対面の調理場にいる従業員に向かって指示を出しているのが女将のフルダらしい。


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突き当たりには宿泊用の部屋がいくつかあり、地下には簡易浴場もある。そして階段があるところを見ると、二階もあるようだ。


「乾杯をしよう 若さと過去に・・・」
吟遊詩人のミカエルが聞いたことのある歌を歌っている。"侵略の時代"・・・彼女たちとおなじく、この歌もソリチュードからここまで辿り着いていた。


バトル・ボーンの名前はさすがに伊達ではなかった。イドラフが店に入るとすぐに給仕の女性が飛んできて、一行は右手奥の邪魔されにくいテーブル席に案内された。彼は適当に料理を見繕うよう伝えると、さっそく蜂蜜酒をあおりはじめた。
しばらく、彼女たちは食欲を満たす行為に集中するのだった。


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「しかし、驚いたなぁ、メリスちゃんが結婚してたなんて」


「だから~、それは勘違いだって言ったでしょ、勘違い! 夫人じゃなくて婦人、婦人だからね。・・・それよりもあたしは、クラリスさんのお腹が大きいことの方が驚いたわよ」
イェアメリスはすでに目が座りかけている。気をつけていたつもりだったが、気のいいイドラフが周りにどんどん酒を勧めるものだから、自然と酒量が増えてしまっていた。


これでは首長が来た頃、粗相をしでかすかも知れない。アスヴァレンとアルフレドは密かに目配せを交わすと、それ以降、彼女には水かジュースしか運ばれてこなくなった。


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酔いが少し覚めて、平静を取り戻したイェアメリスは、酒場の中を見渡すと首をかしげた。
「そう言えば、ここに来てからサルモールを見ないわ。それに、帝国軍もストームクロークもまったく居ないのね・・・」


「バルグルーフ首長は城内へはサルモールの出入りを禁じている。更に言うと帝国軍も、ストームクロークもここには入れないんだ。もちろん内面的にどちらの陣営を支持するかは個人の自由だし、我々バトル・ボーンと、グレイ・メーンのようにどちらを指示するかはっきりと表明している一族も居るが、・・・我らとて補給の手助け以上の、各陣営の軍務を行うことは厳しく禁じられているのさ」


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「よくサルモールが放っておかないわね」


「ショールの髭にかけて、そこが首長の上手なところだな」イドラフはずいぶんとここの支配者を買っているようだ。「ホワイトランはスカイリムのど真ん中で栄えている街。サルモールとしても制御下に置きたいのはやまやまだろうが、帝国に与しているから敵じゃぁない。攻められない。しかも首長はうまいこと帝国軍と距離を取って出入りを禁じているから、サルモールは随行者としても入ってこられない。もし入って来たとしても、奴らはホワイトランのどの氏族ともパイプがないから、権威を笠に着ても誰にも見向きもされないのさ」


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バルグルーフの一族はもちろん、バトル・ボーンも、グレイ・メーンも、それに準ずる中小の家族は、同胞団と同じで、根っこのところではホワイトラン・・・という存在、概念に忠誠を誓っていた。そして揃ってサルモールを嫌っている。サルモールが相容れない連中で、ホワイトランの利にならないと言うことに関してはあのナゼームでさえ同意するだろう。


「なるほど、政治的に封殺されている訳か」
横で聞いていたアスヴァレンは感心した。風通しを良くする事で、衆人環視による抑止力を導入している君主、そしてそれがある程度うまく機能している国など、長い人生の中で今まで見たこともなかった。


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「相手がドミニオン、そして圧倒的に地元民が多いスカイリムの中だから出来ることだよ」イドラフは上機嫌で盃を空け続けている。「元々この地ではアルトマーやボズマーは数が少ないし、カジートは入城禁止なので、紛れ込んでも一時的なものにしかならない。すぐにばれるのさ」


「それでさっきからあたしたち、じろじろ見られてるのね」


「まあ、それもすぐに慣れる。俺が居れば大丈夫だ。で、・・・目下、俺たちの首長とその周辺がいちばん心配しているのは、アルドメリ・ドミニオンの協力者、いわゆるスパイだな」
たしかに初対面の時にイドラフも同じ心配から彼女たちを疑っていた。


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「噂をすれば、現れたようだぞ」
イドラフは盃をテーブルに置くと、酒場の入り口に目を遣った。背の高い壮年の男が入ってくる。金髪碧眼で髭を蓄え、堂々たる佇まいだ。イェアメリスたちも目立っていたが、この男も酒場に屯する市民たちとは風格がちがう。そこに居るだけで周囲にオーラを放っていた。


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男に気付くと酒場の客たちが歓声を放った。


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「偉大なるバルグルーフ!」


「ようこそ! バナード・メアへ!」


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その歓声に気さくな様子で手を上げて応えると、彼は店の中に進んでいった。


「あの人が?」


「そう、我らが首長、偉大なるバルグルーフさ」


共らしき者が二名ついている。毒味役の小男と、ドレスを纏い不似合いな剣をその腰に吊った女だ。イェアメリスたちが驚いたことに、女はダンマーだった。首長は案内されるでもなく、店の中を進んでゆく。彼はダンマーと何やらやり合っていた。


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「どうしてあたしがこんな格好を・・・」


バルグルーフは笑ってダンマーの女性を振り返った。
「酒場に親衛隊長が物騒な身なりで乗り込んでいったら、みんな気安く酒が飲めないだろ」


「だからって、何もドレスである必要はないでしょうに。いざというときの立ち回りに支障が出ます」
親衛隊のダンマーは、明らかに着心地が悪そうだった。


「イリレス、似合ってるぞ」


「茶化さないで下さい!」


「ハハ・・・」


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首長はバナード・メアでの定位置があるようだ。ホールの二階に張り出したプライベート・スペースで市民の騒ぎを楽しみながら、暫し酒に興じるのだ。慣れた様子で階段を上がると、給仕にいくつか料理を注文している様子が見て取れる。


歓迎の喧噪が一段落すると、イェアメリスは行動を起こすことにした。左右のバトル・ボーンとホワイトランの住人。どこまでのツテになるかは分からなかったが、二人居れば話ぐらいは聞いてもらえるだろう。


彼女たちは自分たちの就いていたテーブルを離れ、左手の階段に足をかけた。イドラフとアルフレド、そしてアスヴァレンがそれに続く。そして階段を上がりきった控えの小部屋で、案の定、彼女たちは親衛隊長に停められた。


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「断りもなく首長に近づこうとするあなたたちは何?!」


既に剣が抜かれている。ドレス姿に長剣を構えた彼女はまた不思議な魅力を醸しだしている。実は首長はこれも楽しんでいるのではないだろうか、そんな感想を彼女に抱かせた。ダンマーの親衛隊長は鋭い目つきで彼女たちを観察し、その中に知った顔を見つけて首をわずかに傾げた。


「ん? お前バトル・ボーンの長男じゃないか。それに・・・ハンツマンで暮らす傭兵だな。珍しい組み合わせだが、これはどういうことだ?」


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イドラフが代表して口を開く。
「俺たちを結びつけているのはこのご婦人だ。彼女は大事な伝言を持ってきた。首長に目通りさせて貰えないか?」


「伝言だと? どこから?」


「リバーウッドよ」
二人から引き継いで、イェアメリスは前に出ると事情を説明した。


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「いいわ、進みなさい。でも武器は預からせてもらうわよ」


「構わんよ、イリレス。友が連れてきた者だ」


「あなたは甘すぎます。モロウウィンドではそうやって暗殺された者なんかいくらで・・・」


「イリレス」


首長に遮られて親衛隊長はため息をひとつつくと、彼女たちを首長の場所に通した。




・・・




目の前に首長がいる。スカイリム出身でないイェアメリスは首長という役職には詳しくなかったが、上級王の下で一ホールドを治めるというのだから、ハイロックの王族ぐらいの身分ではあるばずだ。彼女はあわてて本で見た作法を思い出そうとした。背筋をピンと張り、両手をスカートの上端で合わせると軽く膝を折って見せる。首長はそれを見て片手をあげると皺深い笑顔を見せた。


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作法を何か間違ったのだろうか、とドキドキしながら待つと、彼はイェアメリスの緊張をほぐすように言った。
「綺麗なシロディールのお辞儀だな。だがそんなにかしこまることはない。ここはノルドの酒場なんだから」


「偉大なるバルグルー・・・」


「ハハ、"偉大なる"はやめてくれ。で、わざわざ俺を探しに来てくれたと言うことは、お嬢さん、俺に大事な話があるんだろう? ん、既に酒が入っているようだな。ノルド式で実によろしい」


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バルグルーフはあらたまった仕草を脇にやるように、彼らを狭いスペースに招き入れた。若い頃はさぞやんちゃをしてきたと言うような愛嬌を持ちながら、年相応の円熟が同居している完成されたノルドの男に観察され、彼女はもう少しお酒を控えておけば良かったと赤くなった。


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「ええ、それが・・・」


イェアメリスはひとつ頭を振った。酔いに思考が濁っていないことを確認すると、自分が東帝都社の一員であること、サレシ農場に買い付けに行ったところから先、この酒場に来るまでの出来事を説明した。


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ダークウォーター・クロッシングでストームクロークとはち合わせ、巻き添えを食って囚われ、ウルフリックと共に護送された。ニューグラド砦やペイルパスの様子。そしてヘルゲンで起きた決定的な異変のことを順に語る。


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それらの事実は首長だけでなく、居合わせたイリレスや、同行してくれたイドラフを大いに驚かせた。一通り理解すると、バルグルーフは大きく息を吐いた。酒場で見せるやんちゃな顔は影を潜め、為政を行うときの思慮深い首長の顔に戻っていた。彼自身、気付かないうちに気を張り詰め、息を吐くことも忘れたように聞き入っていたのだ。


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「イスミールに誓って・・・その、そうだな・・・。にわかには信じがたい。ドラゴンがヘルゲンを襲撃し、それに乗じてウルフリックが逃走した、と・・・」


「ええ、ヘルゲンで帝国に首を切られそうになっていたところで、はっきりと見ました」


「本当か? 自分の犯罪歴についてえらく・・・はっきり言うんだな」


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イェアメリスは吟遊詩人でもスカルドでもなく、話法や修辞には疎かったが、その経てきた旅の内容はそれだけで聞くものの興味を掻き立てずにはいられないものだった。


「犯罪ではないわ。間違って捕らえられただけだもの・・・あ、いえ、ですもの」


「そんなかしこまらなくていい。ここはシロディールの議会でもハイロックの宮廷でもない。いつも通りの、普通の言葉でいいよ。こうしてはいるが、俺自身もノルドの戦士にすぎないからな」


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バルグルーフは気さくだという。その噂通りだった。
「お前はバトル・ボーンや若きアルフレドに信用されているのだろう。ノルドに対して義理もないのに、わざわざ俺を探し出して伝えに来てくれた。このことに対して感謝の言葉もない。お前はもはや俺の友人だ・・・その、お前さえ良ければだが」


「光栄です・・・」
イェアメリスは肩の荷が一つ下りたかのように、力を抜くと微笑んだ。バルグルーフはその様子を見ると、杯を取って口を湿らせた。


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「しかし、お前が来たのは正解だったな。ハドバルではここまでたどり着けない」


「どうして、確かに怪我をしていたけど・・・」


「そうではない、俺が禁じたのだ。イドラフから聞かなかったか? ホワイトランには帝国兵は立ち入れない。ストームクロークも、サルモールもな。しかし・・・ふぅ、ドラゴンか。ショールにかけて・・・まったく・・・ドラゴンとは」


バルグルーフは僅かに眉を曇らせた。帝国軍とストームクローク、そしてサルモールへの対応だけでも十分に厄介なのに、そこに神話の脅威まで加わってきたのだ。彼でなくとも頭が痛くなるのは仕方がないことであろう。


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彼はおとなしく侍っている親衛隊長の方を見た。


「なぁ、イリレス。こういう類いの話だと、やつの出番だと思わないか? ファレンガーを呼んできてくれないか?」


「呼んだって、ファレンガーは王宮を出たがりませんよ」


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「だいじょうぶだ。ドラゴンという単語をちらつかせれば、飛んでくるだろう。知ってるだろ? ヤツがドラゴン狂いなのは」


「でも、あなたを一人で放ってはおけないわ」


「この前黙って抜け出したのは謝るよ。それに今日は逃げ出したりはしない。イドラフとアルフレドが守ってくれるさ。な、だから、頼むよ」
まるで首長とは思えないおどけた素振りでバルグルーフはドレス姿のダンマーに頼み込んだ。


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「・・・分かりました。今日は特別ですよ・・・ああっ、もう、この裾邪魔ね!」
イリレスはそう言うと、一刻も早く戻ってこなければならないと言った様子で飛び出していった。その後ろ姿を見送ると、バルグルーフは苦笑するように旅人達を見た。


「あいつは強くて美しく、良い奴なんだが、少し過保護でな・・・」


「首長の身を思ってのことでしょうな」
イドラフが笑って彼の盃に蜂蜜酒を注ぐ。


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しばし歓談をしていると、イリレスが興奮した魔術師風の男を連れて現れた。

男は呼びに来た親衛隊長も、自分の君主であるバルグルーフもそっちのけで、挨拶もおざなりにいきなり旅人達に食らい付いた。


「お前! ドラゴンを見たんだって?!」


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「ファレンガー! 周りの客に聞こえるわ。少し声を落として!」


「これが落ち着いていられるか! だが・・・、ああ、そうだな。ゆっくり話を聞くために俺は少し落ち着いた方が良さそうだ。で、何から聞くべきか・・・」


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興奮した男が名乗ったのは、イェアメリスが先程と同じ説明を散々させられた後であった。ファレンガー・シークレットファイア・・・彼はバルグルーフの側近の一人、ホワイトランの宮廷魔術師であった。ドラゴンの研究に傾倒しており、全てにおいてドラゴンの話を優先する変わり者であった。


「アスヴァレン、学者同士、あなたと気が合いそうね?」


ダンマーはふっと笑うと、再び話の成り行きを見守った。ドラゴンの埋葬地を特定しなければならないとか、興奮していろいろなことを首長に進言している。その中にブリークフォールという単語を聞き咎めて、アスヴァレンが問いかけた。


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「その墓地の名は良く聞くが、どんな所なんだ?」


「ブリークフォール墓地? そうだな・・・」
ファレンガーは腰の物入れからひとつメモを取り出すと、ぱらぱらとめくった。
そして、彼は自分の研究成果を惜しげもなく披露して見せた。


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ブリークフォール墓地・・・メレシック紀~第1紀にかけて発展した古代ノルドの寺院で。第1階層にあたる寺院では竜司祭を目指す修行僧達が共同生活を営んでいた。奥には聖域があり、ワードウォールの前で高僧が瞑想をする場となっている。
内部には名前の由来となったブリークフォールという滝があり、洞窟内には雪解け水を水源とした小川が流れ、地下水脈に落ち込んだ後に南側のイリナルタ湖やホワイト川に流れ込む。


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竜戦争の末期、大半の竜が葬られアルドゥィンが姿を消し、劣勢が決定的になった後、この地を治めていた竜司祭のラーゴットは寺院を閉鎖してノルドから逃れるようにフォーレルホストへ落ち延びていったという。内部の宝物殿はその後何度かの盗掘に合い荒らされたが、玄室の鍵は未だ見つかって居らず、今でも隠された宝があると信じられている。


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「・・・という場所だな。竜教団の遺跡の中でもブロムジュナールと並んで最大級のもののひとつだ」


さすがにドラゴン研究の第一人者と言うだけあり、詳しい。


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「あそこって、金の爪を取り返しに、ヒェルム(兜の男)さんが向かったのよね・・・」


「それはどういうことだ? 爪だと? 詳しく聞かせてくれ!」


まるで竜の尾を踏んでしまったかのようだ、ファレンガーの琴線に触れる言葉を漏らしてしまった彼女は、またしばらく根掘り葉掘り説明させられる羽目になったのだった。


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「そうか。それならば・・・そい兜の男ともコンタクトを取らねばならないな・・・」
話を聞いたあと、ファレンガーはまたブツブツと考え事を始めてしまった。夜通しこうしているわけにも行かない。イェアメリス達はバルグルーフが席を立ったのを機に、御前を辞退して下の階に戻ったのであった。




・・・




バルグルーフとの謁見の後、酒場はいつもの喧噪に包まれた。ファレンガーも王宮に戻っていった。首長のプライベート・スペースに上がっていって長いこと話し込んでいた旅人に、客達は興味津々であったが、酒が進み、夜が更けるにつれてやがてそれも収まっていった。一時的に注目の的になったイェアメリス達を気にかける者はもはや居らず、彼女たちは純粋な客の一人として、フロアの片隅で食べ物をつまんでいた。ドラゴンの話に大いに驚いたイドラフも、一緒の宅を囲んでエールを飲んでいる。


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「今日は内番なんだ~。だから休憩時間に、ちょっとだけ抜け出してきちゃった」


いつの間にか現れたリズもちゃっかりと混ざっていた。さすがに巡回中だから酒は飲まないが、イドラフの注文した料理の相伴にあずかっている。どうやら酒場の中にアルフレドを見つけたので、気になるエリクのことで愚痴を聞かせようとやってきたようだった。
衛兵少女が一通り愚痴り、腹に食べ物を詰め込んで退散したあと、アルフレドは少し眠そうに大きく伸びをした。


「ドラゴンは・・・ちょっと話が大きすぎて実感が沸かないが・・・。なんにせよ、メリスちゃんとアスヴァレンが生き残ってくれて良かった。俺にはそうとしか言いようがないな」


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傭兵は、アスヴァレンの折れた剣をしみじみと眺めていた。
「明日出発するんだろ? またソリチュードか?」


「ええ」


「ソリチュードと言えば、フーラのことをアンジェリナに報告しないとな。どう伝えたものか・・・」彼は思案するようにジョッキを眺めた。


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帝国軍に入隊したのち消息が分からなくなった娘の行く末を母親は知りたがっている。

彼女はホワイトラン領の外れで物言わぬ死体となって発見されたが、アルフレドにはそれを伝えるという仕事が残っていた。


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「フーラははあんなことになってしまったが、ソラルドも行方不明か・・・」


「そういえば、さっきの話だけど・・・その・・・ソラルドって人? 何が起きたの?」
横で小さなため息が聞こえた。首を突っ込みたがる彼女の気性をアスヴァレンはもう諦めていた。


「ソラルド・・・アイツはストームクロークに手を貸したが、それが間違いだった。その報いを受けたんだ。一族に取っては辛い知らせだが、こうなる運命だったんだ」


イェアメリスは、イドラフの目がほんの少し、泳いでいるのを見逃さなかった。
「イドラフさん・・・本当は何が起こったのか、知ってるんじゃない?」


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「・・・」


「イドラフさん!」


アスヴァレンがイェアメリスの肩に手をかけて止めた。
「やめておけ。人には言いたくないことが一つ二つあるものだ。お前が言っていたのではないか?」


「あたしじゃないわ」


「そうか、だが。また入り込みすぎだぞ」


「あっ」
いつもの明るさが影を潜め、黙り込んでしまったイドラフを見て、彼女は言いすぎたことを悟った。自分でも分かっていたが、考えるよりも先に言葉が出てしまう。どうにもならない彼女の性分だった。


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「あ、あの・・・。イドラフさん、ごめんなさい・・・」


黙っていたイドラフは、途中だったジョッキを空けた。
「いや、いいんだ。俺も自分の中だけに溜めているのはそろそろ辛くなってきてたんだ」


そう言うと、声を落とした。
「ここだけの話、あいつの一族にとっては死んだと思ってた方が幸せだろう。ソラルドとは古い仲だ。あいつとは友人だった。だからアイツが消えたとき、調べてみたんだ」


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「分かったのは、サルモールに捕まったって事だ。奴らは捕まえたものを絶対に解放しない。特に、ストームクロークとあってはな。だから沈黙を守った。さっきも言ったが、一族にとっては死んだと思ってた方が幸せだ。絶対戻ってこないんだからな」




「でもそれを決めるのは・・・家族の方じゃないかしら。・・・どうやってその情報を?」


「帝国のツテを頼って、いろいろ聞いてみたのさ。逆に自分の身を心配しろと言われたよ」
確かに、サルモールは危険分子を見つけると、暗殺も辞さない連中だ。捕虜について嗅ぎ回ることは危険だった。


「それで、彼はどこに?」


「最後にたどり着いた情報では、ノースウォッチ砦に連れて行かれたらしい、聞いたことはないか?」


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何か引っかかるものがあって、イェアメリスは暫し視線を宙に泳がせた。ノースウォッチ・・・運搬・・・
そしてハッと思い出した。
キルクモア島に流れ着いたサルモール。彼女がその名を受け継いでいる亡きラーリン指揮官は命令書を持っていた。難破船で死の淵にいるラーリン本人から受け取った命令書。ブラッキーと初めて出会った日の記憶が鮮明に蘇った。
奴隷商人の一味に扮した魔術師先生によって焼き捨てられてしまったが命令書には確かにノースウォッチのことが書かれていた。


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サルモール正規軍 ラーリン指揮官


まずは昇進おめでとう!


貴官はこれから特別に用意した船で海路スカイリムに入り、ノースウォッチ砦に向かうことになる。
到着したらエランディル特務官と合流し、先に託した重要な品物を引き渡すように。
以後、特務官に随行し、作戦を監視して随時報告せよ。


これはタムリエルにおける我等の未来を定める、分水嶺ともいえる重要な作戦の一環である。
サルモールの栄光のため、心してかかるように。
貴官の活躍を期待している。


サルモール正規軍 上級司令官ウンバカノの名において記し、封をする


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大げさだと一笑に付した命令書だったが、念を押すための二通目にも同じ事が書かれていた。


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=*=*=*=*=*=


サルモール正規軍 ラーリン指揮官


任務の重要性についてはウンバカノ上級司令官から説明があったでしょうから重ねて記すまでもないものと考えますが、あえて繰り返します。
貴官の立場と尊厳をないがしろにするものでは決してありませぬが、命よりも重要な任務と心得えなさい。
アリノールからノースウォッチへ向かう偽装船を手配してあります。船長始め誰にも任務の内容に関しては明かしてはなりません。


任務の遂行が困難となった場合にのみ、黄色の書を使用することを許可いたします。


アリノール最高評議会 AN.


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そして最後の一冊。黄色の書を読んで彼女は呪いに囚われたのだ。


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島を出る切っ掛けとなったサルモールとの関わりは、こんなホワイトランの酒場の中まで忍び寄っていた。ノースウォッチには何があるのだろう・・・あの船が運んで居たのは化け物を生み出す薬・・・関わりがあるに違いない。ソラルド達、スカイリムの囚人が運ばれることを考えると、奴隷の方とも関係ありかも知れない。


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彼女は不安がムクムクと鎌首をもたげるのを感じ、鳩尾の呪い穴の痛み、そして感覚の無くなった左手を再度自覚せざるを得なかった。


「サルモールが囚人を丁寧に扱わないことは有名だが、ノースウォッチはその中でも特に・・・そこに入ったものは二度と出てこない、と言われているんだ」


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イドラフの声で現実に引き戻される。


「これ以上は・・・自分の目で確かめるしかない。それ以来何の話も聞かないし・・・。俺自身、奴は二度と戻ってこないと自分に言い聞かせてきたんだ」


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「今日までな」
アルフレドが、イドラフを代弁するように付け足した。彼は提案した。
「フラリアばあさんには話を聞いてくれって言われてる。明日の朝、行ってみるか」


「残念だが俺は無理そうだ。両家は・・・事ここに至っては会話も成立しない。お前たちの話も信用してもらえるか・・・」イドラフは迷っているように見える。

彼は神経質そうに辺りを見回した。バナード・メアはまだ客で一杯だったが、隅の方で声を落とす彼女たちに注意を払う者はもういなかった。


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「イドラフさん、何を・・・?」


バトル・ボーンの男は、懐から一枚の紙を取り出した。手紙のようだ。既に封は破られているが、帝国軍の蝋印が押されている。
「今ならバトル・ボーンの酔っ払いが酒の席で話した与太話、で済む。だが、これを見せては今の話が事実だと・・・完全に巻き込んでしまうことになる・・・卑怯なようだが、見るかどうかはお前たちに任せる。グレイ・メーンの連中に見せることができなかったのと同様に、俺には決断できない」


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イェアメリスにはよく分かった。バトル・ボーンといえども、帝国の中枢に入り込んだサルモールを恐れざるを得ないのだ。


(かまわないわ。もう十分サルモールとは関わってしまっているもの)


彼女は心の中で呟くと、躊躇なく手紙に手を伸ばした。開いた紙を仲間も覗き込む。


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=*=*=*=*=*=


ソラルド・グレイ・メーンの所在を知りたがっているようですね。
その情報を提供するのは私の義務です。その囚人はサルモールの使者が拘束し、ノースウォッチ砦へ連れて行きました。
詳しく言う必要はないと思いますが、これ以上詮索しない方がいいでしょう。これ以上本件に関する質問はご遠慮いただければと。帝国の良き友人であるバトル・ボーンの家に累が及ぶことを自分は危惧しています。


テュリウス


=*=*=*=*=*=


「将軍本人から?!」


「そうだ。これで、俺の話した内容がウソではないと分かってもらえたかな?」


「元々ウソだなんて思っていないが・・・しかし、驚いたな」
アルフレドもさすがにこの手紙には驚きを隠せなかった。バトル・ボーンは帝国と繋がりが深いと聞かされていたが、ここまでとは思わなかった。ソラルドが戦死したわけではないという決定的証拠を彼らは入手したのであった。




・・・




次の朝、ソリチュード行きの馬車の出発時間を確認したイェアメリスはとアスヴァレンは、平野地区から一段上がった風地区に来ていた。アルフレドとイドラフも一緒だ。バトル・ボーンの男は、ため込んでいた秘密を吐き出して楽になったかのか、あのあと更に浴びるように酒を飲んで酔い潰れてしまったのだ。


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風地区・・・ここはある意味、ホワイトランの名物が幾つも詰まった地区になっている。
中心に立つギルダーグリーンの幹は、雷に打たれて無残な姿をさらしていたが、それでも存在感は十分あり、周りに植えられたラベンダーに守られるように、残った枝葉は神々しい姿で一行を出迎えた。


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奥には雲地区のドラゴンズリーチに繋がる長い石階段が伸び、その脇をブリークウィンドの湧き水が流れ落ちている。横には旅の途中で遠くから見かけた同胞団の本拠地、船をひっくり返したジョルバスクルが堂々たる姿を見せている。風地区の広場は見どころでいっぱいであった。


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お上りさんのようにキョロキョロとしているイェアメリスの耳に、別の意味で名物となっている声が聞こえてきた。


「無敵のタロス! 的確なタロス! 難攻不落のタロス! あなたを、称賛する!」


「な・・・なに?!」
驚いて出所を追いかけた。


「我々は自らの腐敗の中で悶え苦しむ蛆虫にすぎない! しかしあなたは定命の者から昇華し、今や星々の間を歩いておられる!」


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「しかし、あなたはかつて人間であった! そうだ! 人間としてあなたは言った、”北の大地に生まれしストームクラウンのタロスの力を見るが良い、わが息がぁ・・・長き冬となる。私はいま王位に就いて呼吸し、私のものとなったこの大地を新たに作る。私はこれをレッド・レギオン、あなたのために行う、あなたを愛しているから・・・」


広場の片隅に立つタロス像が撤去されていないことも驚きだが、その前で声を張り上げて演説をしている男の迫力に、彼女たちは呆気に取られた。


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「ああ、愛。愛! 人間としてさえ、タロスは我々を大事にしてくださった。彼が我々ひとりひとりの中に、スカイリムの未来を見ていたから! タムリエルの未来を! そして見よ、友よ! この醜い真実! 俺たちは人間の子供である! タロスは人間の真なる神である! 人間から昇華し、霊魂の領域を支配した! まさにこの考えがエルフの大君主には想像にも及ばないことなのだ! 天国を我々と分けあう? ハン! 彼らは我々が地上にいる事さえほとんど我慢できないのに!」


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「今日、奴らはタロスの信仰を奪った。しかし、明日はどうだ? その時は? エルフにあなたの家、仕事を奪わせるか? 子供たちは? あなたの命は? そして帝国は何をしているか? 何もしていない! いや、何もしていないよりも酷い! 帝国の手下はサルモールの意思に従っている! 自身の国民に反して!」


この男はストームクロークの扇動者なのだろうか? 帝国を批判しているように聞こえる。


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「立ち上がれ! 立ち上がれ、帝国の子らよ! 立ち上がれストームクロークよ! 人間でもあり神でもある、無敵のタロスの言葉を受け止めよ! 我々は人間の子供だ! そして我々が天も地も双方を受けつぐべきだ! 我々こそが、エルフでもなく、彼らのおべっか使いでもなく、我々こそがスカイリムを支配する! 永遠に!」
しばらく彼女たちは、演説する男を眺めて固まった。


「す、凄いわね・・・ここまで大っぴらにタロスを賛美しているなんて。スカイリムではじめて見たわ」


「ああ、ヘイムスカーのおっさんだ」アルフレドも笑って返す。「こんな光景も、ここならではのものなんだろうな。ホワイトランは九つの要塞の中ではいちばん治安もいいし、軍やサルモールも入ってこられない。州そのものの軍事力もあるから、山賊とかも寄りつかない」


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「山賊と言えば、最近は随分と動きがあるみたいね」

彼女はリバーウッドでの出来事を思い出した。スカイリムでは最近、やけにブラックブラッド略奪団の勢いが目立つ。


海の上では食い詰めものは海賊となる。海賊は大所帯になるとどこかの領主に取り入って私掠許可免状を手に入れる。そうして権力と結びついて、うまくいけば爵位まで手に入れるのも夢ではない。

そんなある意味"あがり"のルートが存在した。しかし陸上のならず者は良くて山賊止まりだ。行く末に未来などないように見える。その山賊を大所帯にまとめ上げているブラックブラッド略奪団・・・グーンラウグの思惑は分からず、不気味がられていた。


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そのブラックブラッド略奪団のせいで、他の山賊達は行き場を無くしていた。食い詰めもの達が玉突きで移動し、今までうまく棲み分けされていた市井の境界を犯すという問題があちこちで起きている。


「もうしばらくしたら、首長が討伐軍を組織するんじゃないかな。そうしたら俺も稼ぐチャンスだな」


「アルフさん、危ないわ」


「傭兵稼業なんてのは、そんなものだよ。「内戦の状況次第だけど。ウルフリックも逃げ出したばかりじゃ、そうすぐには戦線復帰してこないだろうし・・・従軍傭兵の募集も下火だから、競争率高いかもな」


「競争率? 山賊退治なら人が多い方がいいんじゃ無いの?」


「もちろんそうだけど、雇う方は全員分給料出さなきゃならないからな。審査して、ちゃんと戦えて、役に立つ最低限の人数が選ばれるのさ」


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この時代の傭兵の公募は大きく二通りあった。自由遂行型と契約型だ。前者は依頼を達成した証拠を持ち帰った不特定のひと組に報酬を与えるやり方。後者はあらかじめ人を選ぶやり方だ。
支配者サイドは予算が立てられて、ある程度の制度で結果を予測できる後者を好んで使う。


ただし契約型の場合、信頼できる傭兵かどうかは前者よりも厳密に審査されるため、仕事に当選するかはなかなか狭き門であった。


「さて・・・フラリアさん家は・・・」


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アルフレドは風地区の街路を覗き込んだ。


「フラリアさんの家は風地区って聞いたけど。あれ? アスヴァレン、何してるの?」


錬金術師は通りかかった衛兵に声をかけられていた。
「ん? 俺がどうかしたか?」


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衛兵はアスヴァレンの腰に吊った剣に興味を持ったようだ。
「ほう、綺麗な剣だな。真夜中に光る銀のようだ」


「だが・・・、折れてしまっている」


「ふむ・・・ホワイトランへは剣を直しに来たのか、ならばスカイフォージを訪ねてみるといい。エオルンド・グレイメーンはスカイリム一番の鍛冶職人だ。きっとお前の剣も直してくれるだろうよ」


「そうだ、せっかくだから、発つ前に、スカイフォージに寄っていったらどうだ? 案内するぜ」


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「フラリアさんちは?」


「寄り道って程の距離じゃないさ。さ、いこう!」


バトル・ボーンの男はジョルバスクルを一瞥して、アルフレドに頷いた。
「では、俺はこのあたりをぶらぶらしているよ」


スカイフォージに近づきたがらないイドラフをその場に残し、アルフレドに勧められるまま、彼女たちはジョルバスクルの脇を通って階段を上がった。上がりきったところで視界が一気に開けたが、それと同時に猛烈な熱気が吹き付け、彼女たちは一瞬顔を覆った。


ホワイトランの誇る伝説の炉、スカイフォージ。


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そこはちょっとした広場になっており、鍛冶の設備があちこちに並んでいた。そして中央には、ここだけは冬の支配をはねのけている、巨大な炉が鎮座していた。


伝説に寄ればこのスカイフォージはイスグラモルと別れてホワイト川を遡上した川のジークが最後にたどり着いた場所であると言われ、その頃から既に消えない火が焚かれていたという。


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当時周辺に住んでいたスノーエルフたちは、この天然のアーティファクトを不吉なものとして忌避しており、ネディック達がその側でジョルバスクルを解体し、ホワイトランの原型を築く間も手を出してこなかったという。


グレイ・メーンはその頃からの家系で、同胞団から分派し、代々スカイフォージを守ってきた一族であった。


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「フォージマスターのエオルンドさんは、ソラルドの父親でもあるんだ」


熱気で歪む視界の中、ボサボサの髪で一心不乱に作業にいそしんでいる半裸のノルド。彼がスカイリムに名高い、伝説とまで言われた名匠、エオルンド・グレイメーンであった。


アスヴァレンは、興味深げに周囲を見回しながら、作業にいそしんでいる刀匠に近づいていった。


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「用か?」


ぶっきらぼうな問いかけに怯むでもなく、錬金術師は折れた剣を無言で差し出した。


「見せてみろ・・・む! これはスタルリムか・・・? いや、こんな高純度のスタルリムはソルスセイムでも見たことはないな・・・」


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「ソルスセイムに行ったことが?」


「ああ、若い頃だが。しかし何をすればこの剣が折れるんだ? ふむ・・・」


「ドラゴンだ」


「ああ、ドラゴンか、それなら仕方ない」


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(この人達、ドラゴンを一体何だと思ってるの?)


職人と錬金術師は、まるでそこらのつまらないもののようにドラゴンのことを語っている。エオルンドは剣を受け取って調べる。


「で、直せそうか?」


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イェアメリスはぶっきらぼうすぎる二人のやり取りを、ハラハラしながら見守った。今にも喧嘩でも始まるんじゃないかという張り詰めた空気が、熱気をより熱く感じさせる。


「済まんがすぐには無理だ。オレはここ数十年、鋼しか扱っていない。スタルリムを扱うには少し準備が必要だ」


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エオルンドはアスヴァレンに剣を返すと尋ねた。

「ホワイトランには長く留まるのか?」


「いや、今日発つところだ」


「そうか、では時間のあるときに来い」


「分かった。邪魔したな」


アトモーラの楔を受け取ると、アスヴァレンは仲間たちの元に戻ってきた。


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「だめそう?」
恐る恐るたずねてみたが、錬金術師は軽く頷いて、彼女の帽子に手を置いた。
「お前が気に病むことはない。ほら、まず行くところがあったんじゃないか?」


再度イドラフと合流した彼女は、昨日の手紙・・・テュリウス将軍の書簡を受け取った。スカイフォージもフラリアの家も、グレイ・メーンの領域だ。バトル・ボーンの一族であるイドラフは近づくことをはばかられた。


「出発の直前まで済まんな・・・気分的には俺が直接行って話したいぐらいだが、連中の気分はそうじゃないだろうからな。済まないが、話を伝えるのを任せて良いか?」


「ええ、首を突っ込んだのはあたし達。それぐらいのことはするわ」


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「結果がどうあれ、そのあとの始末は俺が責任を持つ。ソラルドは幼なじみで親友だった。家のわだかまりなんかよりも大事なことだと昨日気付かされたよ」


「滅茶苦茶に酔ってただけじゃなかったのね」
彼女はわざと茶化すようにイドラフを突ついた。


「ハッハ! こりゃやられたね。ご婦人」


「それやめて、メリスで良いわ」


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ストームクロークの反乱は、多くの同郷の者達を敵味方に引き裂いていた。リバーウッドではハドバルとレイロフ、そしてこのホワイトランではグレイ・メーンとバトル・ボーン。ウルフリックはストームクロークを、移民に圧迫されたイーストマーチの民に与えた"天職"だという。しかしそのあおりで確実に不幸になる人が増えている。


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スカイリムの政治に興味があるわけではないが、嫌でも内乱がどのような事態を市民に引き起こすのか、イェアメリスは学ばされているかのような錯覚を覚えた。


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「こんなところ、親父に見られたら鉄拳だろうな。・・・ジョンとオルフィナのこと、俺ももう言えんな」
イドラフは手紙をイェアメリスに託すと、街路の反対側に歩いて行った。


フラリア・グレイ・メーンの家は、風地区の少し入ったところにある。道を挟んで反対側はバトル・ボーンの領域だ。ここら辺に一般市民はあまり近づかない。


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外で待つイドラフに軽く頷くと、彼女たちはフラリア・グレイ・メーンの家の扉をノックした。




・・・




「我が家へようこそ、旅の方」


言った通り、フラリアは家の中で待っていた。老婆の横には屈強なノルドが一人立っている。髭を蓄え、鍛え上げた腕には筋肉が盛り上がっている。ノルドはイェアメリス達を見ると、あからさまに警戒した目つきで長斧に手をかけた。ちょっと待ってくれと言うようにアルフレドが手を上げる。


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フラリアは自分の客だと言うと、アルフレドを招き寄せた。
「母さん、それはどういう意味だ? 家に誰を連れ込んでるんだ?」アヴルスタインはフラリアの長男だった。彼は顔を怒らせ、油断なくアルフレドを遮ろうとする。


「アヴルスタイン、それを下ろすんだ! 彼女たちはソラルドを探す手助けをしに来てくれたんだよ」


「どうしてこいつらがバトル・ボーンのスパイじゃないって分かるんだ? 俺は昨日こいつらがイドラフと話しているところを見た。馬鹿げてる! 誰も信用できない! ここで見つかったら、何をされるか分かったもんじゃない」


「おやめ! アヴルスタイン!」


「分かったよ、母さん」
アヴルスタインは渋々と武器を納めると、母を守るように横に立った。「あんた達が助けてくれるんだって? でも一体どうやって」


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「すこし、もう少し状況をよく教えてくれないか?」
アルフレドの問いに、グレイ・メーンの男は声を落とした。


「ソラルドとは兄弟なんだ。ストームクロークのために戦ってたが、行方が分からなくなった。皆、死んでしまったと思ってる。けど、そんなはずはない。分かるんだ。帝国軍に捕まって、どこかに幽閉されているはずだ。バトル・ボーンはその場所を知ってる」
アヴルスタインはやけに何度も回りを見ている。その様子が気になって、イェアメリスが聞いた。


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「どうして、そんなに外を警戒しているの?」


「連中は俺も狙ってる。俺が捕まれば、アイツに何が起きたのか知ることは出来ない。俺を・・・ここで見たって誰にも言ってなきゃ助かるんだが・・・」


彼はストームクロークだった。


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そしてホワイトランは首長の命令で、両陣営の兵士は入場を許可されていない。その法はたとえ有力な氏族であるグレイ・メーンでも同じであった。アヴルスタインは本来、城内にはいられない立場だった。各陣営に配慮して、逮捕、投獄されることはないだろうが、衛兵に見つかれば即刻、城外に強制退去させられるだろう。


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アヴルスタインはストームクロークに入隊したものの、弟が戦闘中行方不明になった後、母親が心配で休暇を使ってこっそりと戻ってきていた。しかし戻ってきたはいいものの、法のせいで身動きが取れなくなっていたのだった。


「だから代わりに、証拠を見つけてきて欲しいんだ」


「証拠?」


「ああ、ソラルドが生きていて、ただ捕まっているだけだって証拠なら何でもいい。バトル・ボーンの連中が持ってるはずだ。・・・もちろん、連中はそれを隠してる。それがバレないよう、ずっと嘘をついているんだ」


「どうして、バトル・ボーンが関わっていると思うの?」


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「それはバトル・ボーンだからだ。ホワイトランで一番皇帝にへつらってる連中だよ。奴らが帝国軍と繋がってる事はよく知られている。ソラルドが帰ってこないとなると、疑念の余地はない。ソラルドがストームクロークに力を貸していた事は奴らも知っている。そのために戦地に赴いたことも。連中はアイツが戻って来れないようにしたんだ。俺達一族に復讐するため、どこかに閉じ込めたに違いない」


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アヴルスタインに続いて、フラリアも口からつばを飛ばしてバトルボーンを罵った。
「全く、あの気取った、悪臭ぷんぷんのバトル・ボーンの奴らときたら。自分たちが何か特別な存在であるかのように振る舞ってる。確かに金は持ってるが、これっぽっちも尊敬されてない。それであたしらに嫌がらせするんだ。ソラルドをどこかに連れてったんだ」


バトル・ボーンとグレイ・メーン。どちらかに肩入れする気はなかったが、イドラフが言っていた通りだった。フラリア達は相手の家憎さのあまり、周りが見えなくなっていた。


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「盲ね・・・」


「何だと? 今なんと言った?」


争い、憎しみはここまで人の目を曇らせるのか・・・イェアメリスは悲しそうに口を開いた。
「盲って言ったのよ。大事な絆を自らなげうって、メファーラの手中に捕らわれに行くなんて!」


「貴様!」
侮辱されたと感じたアヴルスタインは、納めていた剣の柄に再び手をかけた。アスヴァレンとアルフレドはイェアメリスをかばうように一歩出ようとしたが、彼女はそれを押しとどめて前に出た。


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「証拠ですって? その必要はないわ。もうここにある!」
そう言うと彼女は、イドラフに託された手紙を、アヴルスタインに叩きつけた。


イェアメリスの剣幕に気圧されたグレイ・メーンの家族は、手紙を開いて、その内容を理解しようと凝視した。


「これは・・・一体。母さん・・・」


「何だってんだい、そんな手紙が」言ったフラリアも、一通り文面をなぞると黙り込んだ。


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「イドラフさんがどれだけ苦労して、息子さんの行方を捜してたかも知らないで! ・・・息子さんが心配なのは分かるわ。でも・・・でも・・・!」興奮した彼女は言葉が続かなくなって、アスヴァレンに支えられた。横の扉が開く音がしたのはそんなときだった。


「何を騒いでいる!」


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怒鳴り声がすると、男が入ってきた。エオルンドが帰宅してきたのだ。日の昇る前から工房に出る彼は、朝食のために一度戻ってくるのが日課だった。静寂を好む男は、賑やかにまくし立てる一同を非難の目で見ると、先程工房を訪れた旅人達が自分の家に上がっていることを訝しんだ。


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「これは一体、どういうことだ?」


「ソラルドが! ソラルドが!」
興奮したフラリアが夫に詰め寄った。エオルンドはもう何度もそうしてきたかのように、妻に言い聞かせる。
「哀れなフラリア、お前はソラルドがまだ生きていると言うが、真実は違う。何度言ったら分かるんだ・・・」


「違うのよあなた。あの子がどこに居るか、分かったのよ」


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半信半疑で息子を見たエオルンドは、彼が頷くのを見て、今度は旅人達の方を見た。


「この人達が、情報をくれたんだ。アイツがどこに捕まっているかっていう、確実な証拠を」


「なんだと?!」


「アイツはノースウォッチに捕まってる。聞いたことがあるんだ。ソリチュードの先、スカイリムの北の外れにあるサルモールの砦だ。耳長の侵略者共がアイツを捕まえやがったんだ! ゆるさねぇ!」
エオルンドの長男はそう言うと、まるで隠れ蓑を破り去るように、家の扉を開け放った。


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「アヴルスタイン! 行くな」
エオルンドは驚いて手を差し伸べるが、息子は言い放った。


「無理だな親父。なんと言われようとオレは行く。止めても無駄だ。ゲールルンド達なら協力してくれるはずだ。侵略者の糞エルフ共から弟を取り戻すんだ!」


「アヴルスタイン!」


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エオルンドが止めるまもなく、グレイ・メーンの男は飛び出して行ってしまった。スカイリム最高の鍛冶職人は、一瞬追って出ようと逡巡したが、すぐに諦めて肩を落とした。力尽くで連れ戻そうにも、もう力では息子に及ばない。それに、弟を救いに行くという兄を止める言葉を彼は持っていなかった。槌と違って思い通りにならない息子を嘆き、彼は望みにすがるよう旅人達に顔を向けた。


「あいつは短絡的なところがある。その・・・これは父親としての頼みなのだが、あいつを助けてやってくれないか」
エオルンドの気持ちも痛いほど分かる。ソラルドとアヴルスタイン、二人の息子を同時に失うというのは何としても避けたいのであろう。


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「まあ・・・、あの手紙を見せたらこうなる・・・当然の結果、か」


「でも、あたし・・・」


いつものことだと半ば諦めたような連れの言葉に、彼女は反駁しようと口を開きかけたが、それを制したのはアルフレドだった。


「メリスちゃんが気に病むことじゃない。俺もこうしようと思ってたから・・・」


アルフレドはフラリアに向かって言った。


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「・・・人捜し、追跡、救出・・・こういう類いの話は、俺の仕事だな」背負った剣の位置を直すと、誰に聞かせるとでも無く言う。「ちょうどソリチュードには用があったんだ。前の依頼を完了させに行くって言うね。だから、ソラルド救出には俺が行くよ」


フラリアの目が驚きと感謝にまたたいた。


「あなた、相手はサルモールなのよ」


アルフレドは笑って言った。


「サルモールが不気味だって言うのは正直なところさ。だけどソラルドは稽古仲間でもあったし。これを放っておいたら、ノルドとは名乗れないだろ。まあ、さすがに今回は"任せてくれ"とは言い切れないが・・・」


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そして彼はわざとアスヴァレンに聞こえるように言った。「だがもしも・・・、もしもこの先生が加わってくれたら、可能性はもうちょっと上がると思うんだけどな。この人は魔法も錬金術も極めてる。俺たちと同じノルドの血も流れてる。この折れた剣はアルドゥィンと戦った証なんだぜ」


承諾するとは思っていなかったイェアメリスは、連れの錬金術師が頷いたときに驚きを隠せなかった。


グレイ・メーンの鍛冶屋は、異国の錬金術師に向かって深く頭を下げた。


「俺からも頼む。スカイリム最高の鍛冶屋などと呼ばれても、剣で息子を助けに行くこともできん。・・・息子を死なせないでくれ。・・・礼になるかは分からんが、その剣を預からせてくれないか? 直すための方法をなんとか探ってみよう。アルフ君の報酬も考える」


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「ああ、では一旦、剣は預けておく」


アスヴァレンが折れた剣をエオルンドに託すと、鍛冶屋は奥の部屋にそれを置きに行き、代わりに二振りの鋼の剣を持ってきた。一本を左手で持つと、右手に持った方でそれを打った。
キン! という音がして、左手の剣は綺麗に両断された。


「折れた方は帝国軍の一般的なものだ」
エオルンドの打った右手の剣の方は、刃こぼれ一つ起こしていなかった。
「打ち合っても負けることはない」


「ほう、見事なものだな・・・」


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「預かっている間、代わりにこれを使ってくれ。今まで俺が打った中で最高の出来の一本だ。単純で無骨だが使い勝手だけは悪くないはずだ、きっとあんたの役に立つ」


アスヴァレンは黙って受け取ると、アトモーラの楔の代わりにエオルンドの剣を佩いた。


「剣も舌も、鋭くあることを祈る」


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エオルンド唱えるショールの聖句を背に、彼らはグレイ・メーンの屋敷を後にしたのだった。


屋敷を出ると、近くの木陰で所在なげにしていたイドラフが駆け寄ってきた。
「どうだった? なんか一人すごい剣幕で飛び出してったが、何があったんだ?」


「ああ、アヴルスタインだな。あいつ、弟を救うんだって飛び出して言ったんだ」
アルフレドの答えに、イドラフは驚いて聞き返した。


「サルモールの砦を?! ばかな! グレイ・メーンの若い衆で襲撃に行こうってのか?!」


「それは、こちらも似たようなものだけどな・・・」傭兵はそう言ってイドラフにうなずいた。「救出の依頼を受けたんだ。俺たちはこれからソリチュード経由でノースウォッチに向かうよ」


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「そう・・・か」
イドラフは一瞬考えたが、すぐに顔を上げた。


「では俺も準備しないとな」


「イドラフさん?」


「言ったろ? あとの始末は俺が責任を持つって。お前さんたちだけに、けりをつけるのを任せるわけにはいかん。準備してくるから城門前で落ち合おう」
そう言うとイドラフは駆けていった。




・・・




三人は風地区の広場に戻ってきた。相変わらず、ヘイムスカーが大きな声で演説とも説教ともつかない言葉を垂れ流している。それを聞き流しながら、イェアメリスは連れを振り返った。・・・いつもは余計な仕事を抱え込むのは彼女の方で、アスヴァレンはどちらかというと関わりたくない、面倒だ、という態度が多い。普段と逆の出来事に、彼女は驚いていた。


「アスヴァレン・・・あなたが引き受けるなんて珍しいわね・・・」


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「剣を直す手がかりになるかも知れないからな。メリスがソリチュードで用を済ませている間、少し寄り道するぐらいは大丈夫だろう」錬金術師は苦笑しながら連れをからかった。「それともなんだ・・・その少しの間にまた厄介なことを山ほど引き連れてくるのか、お前は」


「そっ、そんなことしないわよ。人を何だと思ってるの」


「ほんのすこしだ。あまり長いこと目を離すと碌な事をしないのはこれまででよく分かった。厄介事を持ち込むことにかけては、右に出る者はいないからな」


「むぐっ・・・」


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確かにその通りで、彼女には言い返しようがなかった。


「馬車は何時だっけ?」
アルフレドは太陽の位置を確認すると、剣を揺らした。「またちょっとの間一緒の道中だな」


「よろしく頼む」
錬金術師が頷くのを見ると、傭兵は付け足した。「あ、そうそう、さっきはああ言ったがアスヴァレン、この依頼は俺が預かるよ。メリスちゃんは大事な旅の途中なんだろ? あんたが来てくれればこれほど心強いことはないが、いざというときはそっちを優先してくれ」


「うむ。まあそれはソリチュードに着いてから考えれば良かろう」


再びアルフレドと一緒に行く事になったイェアメリスは、仲間が増えたことを素直に喜んだが、ふと心配になって尋ねた。


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「クラリスさんに付いていてあげなくていいの?」


「ああ、ここにはアルカディアさん、フルダさんをはじめ、助けてくれる人がたくさん居るからね。安心して留守を任せることに関しては、このホワイトランに勝るところはないよ」


「それであの家を狙っているのね」


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「ああ、前回のフーラの件では報酬をもらうわけにはいかないが、たぶん今回の依頼をこなせれば、5000セプティムに届くと思うんだ。グレイ・メーンは落ちぶれたとは言っても、ホワイトランの代表的な氏族だしな、謝礼は期待できるだろ?」傭兵はホワイトラン平野地区で売り出し中の家、ブリーズホームを買うためにお金を貯めているのであった。


「あ~、なんかいまアーセランみたいな顔になってたわよ」


「そうか? ・・・クラリスと、生まれてくる子供に安心できる我が家を用意してやりたいんだ。多少がめつくてもしっかり稼いどかないとな。戦うことぐらいしか出来ない俺がしてやれる精一杯さ」


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「ごちそうさま」
にやけ顔になったアルフレドをからかっていると、視界の脇を黒い影が通り過ぎた。キナレス聖堂の脇から広場に来た彼女たちの横からギルダーグリーンの大樹の裏を通り、タロス像の方に突進していく。その先では、ヘイムスカーが演説をしていた。


「おい! あいつ、剣を抜いてるぞ!」


「しかし、あなたはかつて人間であった! そうだ! 人間としてあなたは言った、”北の大地に生まれしストームクラウンのタロスの力を見るが良い、わが息がぁ・・・長き冬となる・・・」


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ヘイムスカーは走り寄ってくる男に気付くでもなく、演説を続けている。彼女たちが何も出来ないでいる間に、黒い影はヘイムスカーに肉薄していた。暗殺者だ!


「私はいま王位に就いて呼吸し、私のものとなったこの大地を新たに作る。私はこれをレッド・レギオン、あなたのために行・・・うわっ! 何をする!」
寸での所で気付いた彼は、咄嗟に身体をひねって尻餅をついた。暗殺者の短剣に陽光が反射する。鈍く輝く切っ先は黒ずんでいる。何か毒が塗ってあるに違いない。


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「タロスの狂信者め、粛正の刃を受けるがいい!」


第一撃を逸らされた暗殺者は、舌打ちをすると短剣を振りかぶった。


「死ねっ・・・う゛っ・・・」


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暗殺者は、自分の胸から突き出す切っ先を信じられないという面持ちで見守った。そして口から血を噴き出すと、タロス像の前で事切れた。ヘイムスカーを暗殺しようとした男は、その間際で食い止められ、命を落とすことになった。


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暗殺者の倒れる音で呪縛が切れたように、三人は駆け寄った。アルフレドが興奮したように呼びかける。


「ファルカスさん!」


暗殺者を始末し、剣の血を払っている男はアルフレドを認めた。ヘイムスカーを守ったのは、同胞団の一員であるファルカスであった。


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「ジョルバスクルの前が賑やかだと思って見に来てみたが、なんだこれは」


「賑やかなのはいつもですよ。でも、こいつは・・・?」
アルフレドは同胞団の戦士に尋ねた。ファルカスがうなずく。


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「こいつはサルモールだよ、アルフ」
剣の先で死体のフードをどかすと、特徴的な長耳が姿を現す。アルトマーのようだ。ホワイトランの中に入ることは禁じられているはずだが、潜入したのだろうか。ファルカスは死体の検分も程々に、ジョルバスクルに繋がる階段に目を遣ると、見物していた男に怒鳴った。


「おい、新入り! オーズ、お前だよ、お前!」


呼ばれた男は急いでやってきた。愛嬌のある顔をしている若いノルドであった。
「こいつを片付けておいてくれ! 面倒でも下水道はダメだぞ。疫病に繋がる」


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「お、おぅ! 街の外の街道脇にでも捨ててくるさ。司法高官の死体が転がっていたって、このスカイリムでは珍しい光景じゃないもんな」
この男も同胞団のようだ。彼女たちが見守る中、男はファルカスの指示に従ってサルモールの暗殺者を担ぐと、風地区の奥に消えていった。その姿を追っていた視線を戻す時、イェアメリスはジョルバスクルの裏手に、別の影を見た。


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彼女は何かに弾かれるように走り出した。一足飛びにジョルバスクルへの階段を駆け上がる。


(もう一人いる!)


彼女は暗殺者がもう一人居る事を直感的に感じていた。急にダッと駆け出した彼女を皆、目で追ったが、イェアメリスはあっという間にジョルバスクルの影に消えてしまった。


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彼女は知っていた。司法高官は最低限2人1組で活動する事を。
先ほど見かけた影は間違いではなかった。ひっくり返した船の影の壁際に、もう一人のアルトマーが潜んでいた。


「出てきなさい!」


男は動かない。襲われる可能性を充分見越して、イェアメリスは既に短剣を抜いている。そして感覚のない左手には火炎の呪文の火種を発生させていた。


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「もう一度言うわ、出て・・・え?」


観念したように姿を現した男の顔に、彼女は見覚えがあった。相手の顔にも驚愕の表情が浮かぶ。男は、ソリチュードで彼女をサルモールと勘違いして案内した司法官ヴロタールであった。


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イェアメリスは、ソリチュードでこの男に勘違いされてサルモール本部へ連れて行かれたこと、そして新任の指揮官として扱われた。彼女が偽サルモールであることを知っている数少ない人間だ。


「あなた、どうしてこんなところにいるの?」


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「それはこっちの台詞だ。あんたはサレシ農場に行ったんだと聞いていたが、どうしてホワイトランなんかにいるんだ? 俺か? 俺の方はエランディルのやつの命令で、ここの狂信的なタロス崇拝者を暗殺に派遣されたんだよ。失敗しちまったがね」
ヴロタールは饒舌にまくし立てた。


「こんな下っ端でも俺は一応サルモール士官だ。もっとまともに・・・大陸人とは戦争で戦いたいと思ってるのに、こんな仕事ばかりだ」


「配属を間違ったわね・・・」


「ホントだな・・・神秘省ではなくて正規軍になりたかったよ、俺は」


ヴロタールは追跡者が身内だと分かると、安堵からか愚痴をこぼした。
「しかし・・・まーた失敗か。エランディルの野郎にこっぴどく叱責されるんだろうな。懲罰かよ・・・」


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イェアメリスは呆れて言い返す。
「死ぬよりマシでしょ。何なら、今すぐ彼らを呼んできてもいいのよ」


「まっ、まて。分かったよ・・・って、逃がしてくれるのか?」


ヴロタールは階級こそ大したことないが、敵だらけのサルモールの中で、もしかして自分を助けてくれるかも知れない数少ない人物だった。ここで知らせても先ほどの一人と同じようにファルカスに斬り殺されるだけだろう。彼女は精一杯冷たい顔を作ると念を押した。


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「分かってると思うけど、このことはあいつ・・・エランディルにも誰にも口外したら駄目よ」


「分かってるさ。おれはあんたは嫌いじゃない。サルモールじゃなくても、あんたの不利になるようなことはしたくねぇよ」


「ありがと。じゃあ、すぐに消えなさい。これを使うといいわ」
彼女は透明化の薬を一本、ヴロタールに放ってやった。ジョルバスクルの裏手には、ホワイトラン旧市街・・・労働者地区への通路が開いている。この門は壊れており常に開きっぱなしだ。衛兵達は居るが、正門よりは遥かに逃げ出しやすいだろう。


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「恩に着るぜ」


身を翻すヴロタールの背中に、イェアメリスはふと浮かんだ疑問をぶつけた。
「一つ教えなさい。あなたなら知ってるでしょ。ノースウォッチには何があるの?」


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「あそこはタロス崇拝の思想犯を捕らえておく監獄だ。一度入ったら生きては出てこられないって噂だしその通りだ。エランディルのヤツやお付きの魔女もよく通ってる。経過観察とか、素材の調達とか言ってるけどな・・・素材ってのが何なのか、俺はこれっぽっちも知りたいとは思わないね」


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司法官は彼女にもらった薬を飲み、姿が消えかけてゆく。そして声だけが残された。

そうしてヴロタールは去った。


(ノースウォッチって一体・・・)




・・・




すぐに戻ってきたイェアメリスを、仲間はホッとしたように取り囲んだ。
「メリスちゃん? 一体何があったんだ?」


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「え、ええ。暗殺者がもう一人居たような気がしたのだけど、気のせいだったわ」
イェアメリスは疑念を振り払っているように髪を揺らして見せた。そんな彼女を、戦士ファルカスが鼻をひくつかせながら見ていたことに気づいた者は誰も居なかった。
「もうちょっと奥まで探してみたほうが良かったかしら?」
サルモールのことに真剣に対処しているように見せるため、彼女はジョルバスクルの裏の方をもう一度見たが、戦士ファルカスは首を振った。


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「辞めた方がいい、あの先は労働者地区だ。堅気の旅人が足を踏み入れるような場所じゃない」


労働者地区はホワイトランの四分の一ほどの面積を占める区画だったが、復興が遅れているところから首長の威光と権限が及びにくい場所となっている。いちおう衛兵は巡回しているのだが、間違っても誰も助けを求めようなどとしないし、彼らも見て見ぬふりをするのが暗黙のルールになっていた。


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密売品や違法品を取り扱う闇市や、酒場宿に見えるが奥にスクゥーマ窟を抱え込んでいたり、賭博場の回りには男たちの上がりを狙う売春婦がたむろする、そんな街だ。真っ当ではないが全体としては多額の金品が行き交う市場でもある。もちろん金の流れは透明ではなく、一部では盗賊ギルドの息が掛かっているとも言われている。違法な物品を扱う商人や後ろ暗い旅人、脛に傷を持つ犯罪者にとって役に立つもう一つのホワイトランは、以外は好んで近づかない場所だ。


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彼らの立つジョルバスクルのすぐ裏手が風地区との接続点となっており、月に一度は何かやらかして労働者地区にいられなくなったごろつきや事件に巻き込まれた女が同胞団の建物に転がり込んでくる。恐ろしい伝説的な戦士達が屯するジョルバスクルに殴り込んでくるような輩は労働者地区にもいない。・・・この建物はホワイトラン内の貧富を隔てる中間地点で、まるで防壁のような役割も果たしていたのであった。


しばらくすると同胞団の若き戦士が戻ってきた。


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「綺麗に片付けといたよ」


「よし」


「でもよ、ファルカス先輩。同胞団は政治や宗教の争いには関わらないんじゃねぇの?」


「これは同胞団としてではない。ホワイトランの一住人として隣人の危機を見過ごせなかっただけだ」
「でもよ・・・殺してしまって大丈夫?」


「おまえは"でも"、が多いな。・・・大丈夫だ。誰にも見られていない、お前達以外にはな」そう言うとファルカスは、イェアメリス達をまじまじと観察した。お前たちはエルフのようだが・・・サルモールではないのだろう?」


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サルモールと言う単語に一瞬反応しかけたが、彼女は努めて平静を装い続けるのだった。その間もファルカスの鼻はせわしなく臭いを嗅いでいるように見えた。


「でもよ・・・」


「また"でも"が出てるぞ」


「あ、すまねぇ・・・でもサルモール殺しちまったら、誰も帰ってこなかったら、警戒されてまた何か送り込んでくるんじゃないか」


「あぁ、そうだろうな」ファルカスはあまり気にかけていないようだ。「だが、少なくとも今ここで何があったかを伝える口はなくなったはずだ。来るにしても時間が空くだろうな」


ヘイムスカーは起き上がると、またいつもの調子に戻っていた。聴衆などいなくても一日中演説しているのだが今日はどうしたことだろう、こんなにも多くの観衆がいる。彼にはそう見えているようだ。


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「ついに来たな! タロスの言葉を聞きに来たな!」


「え、え?」


「やぁ、友よ! 無敵のタロスについて知りたいなら、いちばん相応しい相手に声をかけたね」


オーズと呼ばれた青年は、旅人達と顔を見合わせると、呆れたように言った。


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「ホント・・・暗殺されかけたってのに、呑気なおっさんだな」
ファルカスも同意する。緊張を解いて笑っているところを見ると、もう危険はないと判断したらしい。
「うるさい男だし、今の時代には危険な思想を吹聴しているが、それでも殺される理由にはならない。それに、そんな騒音でも居なくなれば寂しいもんだ。いつもジョルバスクルまで聞こえてくるありがたい説教、だろ?」


「そうさね。・・・サルモールはどこに潜んでいるか分かったもんじゃねぇ、あんた達も気をつけな、旅人さん」


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そう言うと、同胞団の二人はジョルバスクルに戻っていった。
ホッと胸を撫で下ろすと、イェアメリスはこれから向かうノースウォッチが、自分にも無関係では居られないような予感を感じるのだった。




・・・




そろそろ出発の時間だ。城門に到達すると、イドラフは既に準備を終えて来ており、いつものように鍛冶屋のエイドリアンと立ち話をしていた。程なくアルフレドも合流する。どうやら、アヴルスタインとはうまく話をつけられたようだ。自分も救出に加わるから、先走って砦に突入しないでくれ、そういってソリチュードの手前で落ち合う約束をしたという。口約束などで大丈夫かとアスヴァレンは危惧したが、ノルドはそういった約束を大切にする、大丈夫だろうと傭兵は請け合った。


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揃って門をくぐろうとしたイェアメリスたちは、脇の衛兵宿舎から聞き覚えのある声を拾った。イリレスだ。今日はドレスではなく、ぴったりとした革の鎧に身を包んでいる。衛兵達に指示を出しているようだ。


「ドラゴンに立ち向かうのは我々だけか?」


「誰でも彼でも行かせる訳にはいかないわ。ドラゴンがどこに居るかも分からないのに」


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彼女は部下の疑問に答えていた。
「あなたたちの仕事は主に見張り、それから村が襲われたときに人々の安全を確保する事よ・・・。あなたたち三人だけでドラゴンを倒せるとは思ってないけど、任務を果たすことを期待しているわ」


「もちろん、リバーウッドの安全は守る。任せてくれ」
衛兵の一人は胸を張ると宣言した。「出かけよう、時間が勿体ない」


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イェアメリスはそれを見ると、胸を撫で下ろした。


「よかった・・・村に衛兵が派遣されるのね」
信じてもらえたかどうかはともかく、少なくともバルグルーフは彼女の言葉を無碍にはしなかったということだ。


「さて、では俺たちも行くとするか」


中庭と外門を越えるとツンドラを渡る冷たい風が吹き付けてくる。イェアメリスは腕をさすると、やや沈んだ面持ちで仲間たちと並んだ。わずかな時間の滞在であったが、ホワイトランでは様々なことがあった。彼女は昨日の出来事を反芻しながら、仲間たちに尋ねた。


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「アルフさんもだけど・・・イドラフさん、あなたホワイトランを空けても良いの?」


「俺一人が少し留守にしようが、ホワイトランもバトルボーンもびくともしないさ。それに・・・」
バトル・ボーンの男は、イェアメリスに軽く礼をした。


「イェアメリス、あんたは俺の中にわだかまっていたことをカイネの息吹よろしく吹き飛ばし、風通しを良くしてくれた。ソラルドのことはずっと気になっていたんだ。ノルドたる者、親友を見捨ててのうのうと暮らしていて良いはずがない」


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「あっ、あたしは何もしていないわ。いつものお節介な、悪い癖が出てしまっただけ。助けに行くのでもないのに首を突っ込んでしまったんだもの・・・」


「それを気にすることはない。これは俺の問題だ。そしてこの・・・」横に立つアルフレドの肩をポンと叩く。「若いののな」


こうして慌ただしく、イェアメリス達はホワイトランを出発したのだった。




・・・




ホワイトランを出てから一日が過ぎた。馬車は西の塔、グレイムーア砦を抜けて、ファルクリース境界の休憩所まで順調に進んできた。内乱と治安の悪化より、馬の交換と御者の休息のために今晩はこの休憩所で一泊だ。


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遠く丘の上の明かりはリーチの州境を守るサンガード城塞のものであろうか。サレシ農場の近くの街と同じ名前であったことと、ジェハンナで出会った泥棒兄弟に生まれ故郷の側だと聞かされていたため、イェアメリスは良く覚えていた。


「サンガード砦が気になるのかね?」


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勘違いから始まったバトル・ボーンの男は、いつの間にか新たな旅の道連れになっていた。イェアメリスはその数奇な因果で道を共にすることになったノルドの男を振り返った。


「え、ええ。特に何かがあるわけじゃないわ。ただ、旅の途中に何度か聞いた名前だったの」


「そうか」


「それより、結局、アヴルスタインさん達がどのルートを採ったのか、分からなかったわね」


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イドラフはアルフレドを振り返った。若き傭兵は問題ない、と言う素振りで頷く。
「さっきはなんとか呼びとどめたけど、ノースウォッチはハーフィンガルの外れの海沿いだ。さすがにホワイトランから一直線に駆けてく訳にはいかないだろ。仲間と落ち合って、足を準備して・・・待ち合わせ場所に辿り着く頃には、少しは頭も覚めるさ」


「どうせ待ち合わせるのなら、一緒に行ったらよかったのに」


「そうはいかないさ。なぁ」
そういってイドラフを見る。


「ああ、この方が都合がいい」


「どうして?」


「グレイ・メーンは俺たちを快く思わない。こっちにわだかまりがなくても、同じ馬車でなんて絶対無理さ。・・・だが帝国軍とのパイプが太い我らバトルボーン、俺がソリチュードに行けば、あいつらに何らかの手助けができるはずだ」


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バトル・ボーンの長兄は、吹っ切れたように朗らかに笑った。


「さぁ、我らの前途に祝福あれ、タロスよ照覧あれだ」


馬車は二日目には予定通りロリクステッドに到着し、三日目にはこのルート最大の難所である追い剥ぎ峡谷に近づこうとしていた。最近の街道事情、山賊事情から御者達は自衛の策を講じており、本来ならばロリクステッドで馬車は客を降ろし、乗車証明を発行して回れ右するはずであった。しかしイェアメリスたちの乗った馬車は停止せず、ロリクステッドを越えて尚も北上を続けていた。


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御者はぼんやりした表情で淡々と馬車を進めている。先ほど乗客のダンマーに何事か囁かれてから、頭がはっきりしないのだ。御者は自分で馬車を追い剥ぎ峡谷の橋に進ませているのを、どこか他人のように感じながら走っていた。


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ここまで来てしまってはもう引き返すことも出来ない。手ぐすね引いて待ち構える山賊たち。


彼らは久しぶりの獲物に舌なめずりする猛禽のように、武装した山賊たちがわらわらと現れた。御者が正気に戻ったのは、そんなときだった。


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「わ! わ! どうしてこんなとこまで?! やばい! 山賊に襲われる!」
アスヴァレンのかけた呪文の効果が切れると、御者は周囲の状況を読み取って恐慌に陥ってしまう。山賊に囲まれて頭を抱える御者には構わず、錬金術師は隣の席を見た。


「メリス、実践だ」


しかし、錬金術師の意図は御者とはちがうところにあった。「でも・・・」と言いかけた彼女も、周りによって来る山賊たちを前に議論している場合でないことはすぐに分かった。


「"激昂"を使って見ろ」


アスヴァレンは、連れの生徒に命じた。そして彼女が詠唱をする時間を作るために、自分は少し場所をずらして山賊の視線を遮る。


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馬車には武装したイドラフと傭兵アルフレドも乗っていたが、山賊の数はあまりに多い。イェアメリスは先生によって否応なく演出された状況に、呪文を使わざるを得なくなった。観念したように目を閉じてマジカを整えると、小声で詠唱を行う。


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「おい、ねえちゃんよ、影に隠れてコソコソとなにをやるれり、ペ?」
突っかかってきた最初の男は急にろれつが回らなくなり、代わりに身体を回れ右させると仲間の方に武器を振り上げた。


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「うわっ! てめぇ、何すんだ! あぶねぇらろるけ・・・んを!」


最初の男の近くに居た山賊も、今度は別の山賊に武器を振り回しはじめる。何かが連鎖するように、山賊たちは互いに争いはじめた。混乱はやがて怒号に変わり、追い剥ぎ峡谷には叫び声が充満した。


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「初めてにしては上出来だ」


言いながらも内心、アスヴァレンは驚いていた。


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(ふつう"激昂"はあんな掛かり方はしないのだが・・・、マジカが強いとああなるのか? うむ・・・)


もちろん表情には出さないまま、次の行動に取りかかる。固まっている御者を小突くと、出発を促す。


「ほら、今のうちに行くぞ」


「え、でも、人があんなに・・・」


「構わん、行け!」


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「は、はいっ! ・・・ええい、ままよ!」


御者は我に返ると、馬車は戦う山賊たちを左右に跳ね飛ばしながら再び進み始めた。金属音と怒号が少しずつ小さくなっていく中、イェアメリスは自分の引き起こした混乱に恐怖を感じていた。


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馬車はそのまま北に進み、ドラゴンブリッジの郊外に近づきつつあった。ハイヤル川に掛かった橋が見えてくる頃には危機は完全に去り、再び落ち着いた旅に戻っていた。


「イェアメリスは魔法が使えたのだな。頼もしい連れがいるとはいえ、女性が旅をするなど、と思っていたが。いやはや、ノルド顔負けの女丈夫じゃないか」


「なんか・・・その言い方嫌だわ」


「ハハッ、すまん。あまりに見事な術だったのでな。やはり、最初に見たときに頭が切れるご婦人だと思ったのは間違いなかったな」


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「あれはあなたの勘違・・・いえ、なんでもないわ。それより、あんな山賊がこの先にもいるの?」
山賊伝いに話題を変えるように、彼女は傭兵に話を振った。


アルフレドは、彼らが回避して進んだ、ホワイトランとイーストマーチの緩衝地帯に陣取った山賊達の根城を思い出させた。


「ソリチュードまでは大丈夫だ。さっきの所は特に有名な場所だからな。ほら、覚えてるかい? ヴァルトヘイムのこと」同じようにハイヤルマーチとの緩衝地帯に陣取って悪さをしているのが先ほどの追い剥ぎ峡谷だった。


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「これに懲りて、あそこを撤退してくれるとみんなが助かるんだがな・・・」


「そうね」


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その後は何もなく、馬車はドラゴンブリッジに到着。一泊して最後の行程に入る。


カトラ農園やソリチュード港湾事務所に繋がる分岐道のすぐ先、城下町の外門周辺が馬車の最終目的地だ。


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緩やかな石段の途中にある闘技場の看板や、前に来たときに世話になった城門手前のブラックバレル亭。見覚えのある景色だ。約一ヶ月ぶりに戻ってきたソリチュードは、前と変わらぬ姿で佇んでいた。


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今回は戒厳令に止められることもなく、すんなりと入城を果たすことが出来た。


今日は降霜の月30日。朝早くから祝われる祭日・・・かつての皇帝、ユリエル七世の誕生記念日だ。彼女たちがソリチュードに着いたのは祭りも終わろうという夕刻だったが、まだ余韻は残っており、城門前広場の賑わいはホワイトランの市場に勝るとも劣らなかった。


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残念ながらウィンキング・スキーヴァーが満室であったので、彼女たちはいったん城門を出ることにした。前回もお世話になったブラックバレル亭に宿を定めると、明日からの予定に備えて英気を養う。奇しくも同じ部屋があてがわれたのを見て、彼女は感慨深げに調度品を見回すのだった。


前回一緒だったアーセラン、ナターシャが居ない代わりに今回はイドラフが一緒だ。アルフレドと何やら話し込んでいる。


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アルフレドは明日、さっそく待ち合わせの場所に向かうという。血気盛んなアヴルスタイン達が先走らないよう、釘を刺さなければならない。しっかり下準備をしないでサルモールの砦に潜入しようとするのは自殺行為だった。




ソリチュードまで来てしまったバトル・ボーンの男、イドラフはアヴルスタイン達と一緒に行きたいところだったが、自分で自分に言い聞かせて自重していた。チームワークが重要な潜入作戦ではわずかな不信感でも命取りになりかねない。姿をさらさない方が得策だ。それにソリチュードでは彼しか出来ない役目がある。バトル・ボーンの人脈を生かして帝国軍に掛け合い、砦周辺の状況を手に入れ、必要であれば助力を得られるようにするのだ。後方支援も大事な役割だ。ソラルド救出に発つ前にと、二人のノルドは共同部屋の片隅で夜遅くまで念入りに打ち合わせた。


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そんな姿を横目に見ながら、イェアメリスは、暖炉の炎を眺めていた。


「どうした? 眠れないのか?」


背後から声がして、慌てて彼女は振り返った。振り向くと、ダンマーの錬金術師が椅子から立ち上がるところだった。彼はイェアメリスのところに歩いてくると、同じように床に腰を下ろした。その姿に、どこか既視感を感じた彼女は、前にこうしたときと同じ返答を返した。


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「え、ええ・・・なんだか興奮してしまって」


あの時はあまりの近さに、高まった動悸を悟られないかと縮こまったものだ。今はこうしていてもそんなに気恥ずかしくない。彼女はむしろ、昨日の道中の出来事の方が気に掛かっていた。


「あれ・・・どうなっちゃったのかしら?」


「あれとは?」
彼女が聞いたのは、自らが追い剥ぎ峡谷で使った"激昂"の魔法についてだった。


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「そのうち効果が切れて正気に戻る」


「け、怪我しないのかしら・・・」


錬金術師は呆れたように連れを見た。

「何を呑気なことを・・・。怪我するか死人が出るかは、奴ら次第だ。いずれにしても、俺たちが気にすることではない」


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「でも・・・」


アスヴァレンは真面目な顔になった。
「キルクモアでお前の身に降りかかったことは覚えている」


「あっ・・・」


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まさかこんな所で聞くとは思っていなかった言葉、そしてそれに誘発されて蘇る記憶。


胸がきゅーっと痛くなり汗が噴き出す。キルクモアで犯した殺人の感触。剣を伝って感じた肉の感触、生暖かい血・・・、自分を見つめたまま光を失ってゆく男の目・・・


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人は忘れるという能力を持つが、心の奥に奥にしまわれ、思い出す頻度が極端に減るだけであって、完全に忘れ去るということは出来ない。アスヴァレンの言葉を引き金に、封じていた記憶が蘇り、彼女の息づかいは荒くなった。そんなイェアメリスを、続く言葉が引き戻した。


「だが、だからといってお前が危険から身を守れず、為す術もなく殺されていいというわけでは無い。お前は力があるのに、自分の安全を確保するという、生き物本来の生存本能が狂わされている」


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「そんなことない! あたしは必死に生きたいと・・・!」
呪いに侵されて必死に足掻いている苦労も知らず、そんなことを言われるのは心外であった。


「俺にはそうは見えん」


「そっ・・・」


言い返そうとする彼女を制すると、年上の錬金術師は少し姿勢を正した。


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「大切な者の為の自己犠牲であれば・・・まだ分かろうとも言うものだが。殺すか殺されるかになったとき、あの出来事のせいでお前は選択出来なくなっている」


呼吸が苦しい。
注意深く様子を見ながら、錬金術師はイェアメリスを覗き込んだ。


「身体と同じように心も成長するのを知っているか? 今のお前は判断を・・・命を放棄することで心を守る・・・そういう風に思考が構築され掛かっている。お前にもコントロールできまい、無意識の自衛の為なのだろうが、とても危険な兆候だ」


「・・・」


「お前は人を殺した。それは消せない過去だ。俺やブラッキー、エドウィン達がどんなに"仕方のない事だった”と言っても、お前はそれを気に病むのを止めない・・・いや、止められないだろう。島であった出来事は確かに不幸なものだ。だが、・・・立ち塞がる赤の他人の犠牲と天秤になったとき、自分の命を投げ出す理由にはならない。健康な心の持ち主なら、自分の身を守ろうとするものだ」


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「それと呪文になんの関係が・・・?」


「殺すことが出来ないのであれば・・・他人を害さなければならなくなったとき、どこまでやっても大丈夫か・・・お前の心が耐えられるのかを探らねばならん」


「そんな! 試すだなんて・・・」


「議論して納得するような性質のものでないことはお前も分かるだろう? 成功したら少し強くなれる、生き抜く力を獲得する」


「失敗したら?」


「失敗したら思い出して苦しむ。それを繰り返してやれることを見つけるしかない。旅をするなら・・・島を出て危険なタムリエルで生きてゆく為には必要だ」


「とても・・・冷静なのね」


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「すまん・・・」アスヴァレンは目を逸らした。
「俺は医者ではないし、心の病となると尚更だ。この考えが正しいかどうか、俺自身確証も持てぬ。だが、放っておいては良くないことだけは分かる。俺とて何時も側に居られるわけではない。・・・お前には死んで欲しくないからな」そう言ってダンマーは、彼女の肩に手を回した。


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トラウマが自分に根付いてしまっていることを再認識させられた。自分が目を背けている問題の答えを、この男は真剣に考えてくれていたのだ。

二つの鼓動が混ざり合ってどちらのものか分からなくなるような距離。イェアメリスは 呼吸音のひとつひとつまでこの男に診られているかのような錯覚に落ちいった。もう一つの問題もぶちまけてしまえれば良いのに・・・


そう唆すデイドラの囁きが心に湧き上がったが、寸でのところで思い留まった。


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(そうね・・・、これぐらいで動揺してどうするの。この先の相手はサルモールなのよ・・・)


しばらくの間二人は、互いを支えにするように動かなかった。


「アスヴァレン、ちょっと悪いんだが・・・」


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傭兵から声が掛かり、二人は離れた。


ソラルド救出について詰めている二人のノルドは、ダンマーの錬金術師に相談に乗って欲しそうだ。アスヴァレンが部屋の奥に向かうのを見ると、彼女は少し頭を冷やすために外の空気を吸いに出ることにした。


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ブラックバレル亭を象徴するような樽形の看板を潜ると、どこに行でもなく、城門を潜ってソリチュード城内に入る。平時には夜間でも門は出入り出来る。前回通行するのにあれだけ難儀した城門を、いとも容易く行き来できることに彼女は楽しくなり、ちょっとした悪戯のように何度か往復してみた。


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(ここが、ブラッキーがお世話になったという鍛冶屋さんかしら?)


職人街まで上がってきた彼女は、すれ違った妹が世話になったであろう鍛冶場を通り過ぎた。自分たちもリバーウッドでは同じように鍛冶屋に世話になったことを思い出して、血は繋がっていなくとも似たような行動をしているな、と一人でクスリと笑う。


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職人街の外れから今度はどこに向かおう、と考えていると、鉄格子の外れた胸壁を見つけた。ちょうど城門前広場に面した家々の裏手と城壁に挟まれた影の部分。そこに抜け道があった。
屋根の間に渡し板が張ってあるその抜け道を歩いて行くと、やがて彼女は街路の裏手のちょっとしたスペースに出た。足元には小さな石蓋があり、それが僅かに開いている。近づいて覗き込むと、下水道の入り口であることが分かった。


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(大きな街には、大抵こういうところあるわよね)


その瞬間、彼女は身体に雷を受けたように硬直した。鳩尾を射貫くような激痛。忘れるはずもない。呪いの前兆だ。


「どうして・・・。次の月まではまだ数日あった・・・は、ず・・・あ、がっ・・・」


彼女は道端に膝をつくと、近くの茂みに吐いた。


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「っ・・・ああ・・・、ふー・・・ウッ」


これからしばらくのたうち回ることになる事だけはかろうじて予測できる。どうなってしまうか分からない。人目につく事だけは避けなければ・・・


彼女は必死に下水道の蓋をずらすと、転がり落ちるようにその中に滑り込んだ。


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「おぶっ・・・うう・・・」


彼女が落ちた場所はそれ程湿って居ない、下水道の保守路のようだ、。明かりも持たず、半ばずり落ちるように入った彼女は、起き上がることも出来ずに必死に手探りした。触れるのは冷たい石の感触だけ。


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ようやく目を開けることができたが、闇の中を見通そうとしてもなにも見えない。下水道と奥まで続いているようだ。


目を凝らした。何も見えないが、音がけは聞こえる。どんどん強くなってくる傷の痛みを紛らわそうと耳に神経を集中させた彼女は、誰かが暗闇の中を歩いてくるのを感じた。


こっちに誰か来る・・・しかし彼女は立ち上がることも出来なかった。
足音はどんどん大きくなり、やがて目も眩むような松明の明かりが目に飛び込んできた。


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やってきたのは浮浪者のような男だった。
下水道の見張りを兼ねて入り口近くに巣くっている闇商人であった。


「何か音がしたから見に来てみたら、エルフの女がいましたよ、っと」
男は興味深げにイェアメリスを覗き込むと、その息づかいが荒いのを見て一歩後ずさった。


「なんだなんだ?! まさか変な病気じゃないだろうな!」


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彼女は少しだけ顔を上げると、弱々しく首を振った。
「あお・・・そんなんじゃない、わ。しばらく・・・じっとしていれば収まる・・・発作のようなものよ・・・うっ!」


「ふーん。姉さん、苦しそうだね。どう? この薬。とても良く効くよ」
闇商人はにやりと笑うと、売り物の中から瓶を二本取りだした。


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「まあ、堅気じゃなさそうだし・・・」そして彼女の前でぶらぶらしてみせた。


「死んで楽になりたかったら左の毒薬、痛みを忘れて一時の悪夢に浸りたかったら右のスクゥーマ。オススメは左の毒薬。貴重なジャリンの根で作ってあるもんだぜ。ぽっくり逝けるよ?」


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「あ・・・あ゛・・・」
彼女は、浮浪者のような男からひったくるようにスクゥーマを奪うと、栓を噛みちぎって中味を流し込んだ。


「あ! そんなに飲んで大丈夫かねぇ・・・お客さん、お金! お金は?!」


「これよ、持ってきなさい!・・・お゛ごっ・・・」


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ポーチから小銭を取り出そうとして、左腕に激痛が走る。

服の下に隠されてはいるが、光の眼・・・呪いが一段階進行したことを彼女は確信した。


仕方がないといった態度で闇商人はイェアメリスのポーチを勝手に漁り、小銭入れを奪った。


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なんとか身を起こすと、息も絶え絶えに闇商人を睨みつけるが、相手はもはや彼女などどうでもよいようだ。


「こいつぁ・・・ずいぶんと沢山・・・毎度!」


浮浪者風の闇商人はセプティム金貨を数えると、彼女から少し離れて座り込んだ。


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「あんたみたいな女がスクゥーマに手を出す理由なんかこれっぽっちも知りたくはないが、しばらくは酷い状態になるだろうから、誰かに捕まったり犯されたりしないようにここに居てやるよ。沢山もらったから、サービスさね。・・・って、もう聞こえねぇか」


闇商人はイェアメリスのセプティム金貨をゆっくりと数えはじめた。


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「へへ・・・たっぷり悪夢を堪能するといいや・・・」


下水道の中で、涎を垂らしながら突っ伏した彼女は、浮浪者が見守っていることも認識できないまま、混濁の意識の中に沈んでゆくのだった。




・・・




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呪いの眼は三つ。残るは四つ・・・




(第19話に続く)



※使用mod


・SRollFollowers( Nexus 74911 )
 お世話になっているスイートロールさんのフォロワーさん。今回はオーズ君にエキストラとして登場頂きました。彼が本編で活躍するのは第3部になってからですが、同胞団の新入りということでそろそろ顔見せだけしておこうと出演頂きましたヾ(๑╹◡╹)ノ"


・Alforttes NPCs
 お世話になっているアルフォートさんのNPCリプレイスmodです。
 今回はその中から、スカイリム一の刀匠、エオルンド・グレイ・メーンを使わせて頂きました。
 バニラの雰囲気を残したまま、シブすぎるおじさまになっています。


・Strange Followers( Nexus 62688 )
 3人のおっさんフォロワーを追加するmodです。
 今回はバルグルーフ首長の毒味役として登場して頂きました
 スカイリムにはこういう体型のキャラが少ないから、ある意味とても貴重かも知れません^^


・Immersive Wenches( Nexus 51189 )
 各地の宿屋や酒場に女給仕(ウェイトレス)を追加するmod
 今回は(も?)バナード・メアの賑やかしに使わせて頂きました。
 もはや環境の一部のように使ってしまっていますが、NPCが増えると拠点が賑わって、人里に辿り着いた気分が増します。このmodは養子や種族はランダムでリスポーンするので、他の美化modの影響を受けます。おそらく私の環境ではNPC85の顔になっていると思われます。


・Palaces and Castles Enhanced( Nexus 79746 )
 主要都市の宮殿内部を改装するmodです。
 それぞれの建物で特徴付けがされていて、とても美しく新鮮です^^
 今回はウインドヘルムの王の宮殿内部に使わせて頂きました。


・PDReststop( Nexus 88614 )
 何時もお世話になっているぷらちなデビルさんのロケーションmodです。
 スカイリムの各地に休憩所を追加してくれます。
 今回はホワイトラン-ファルクリース-リーチの三つの州境にまたがる「境界の休憩所」を馬車の経由地として使わせて頂きました。



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1 Comments

どくうつぎ  

スクゥーマに手を出しちゃダメだってあれほど言ったのに!(言ってない
えええ、どうなっちゃうのコレって終わり方で続きが気になります。

グレイメーンとバトルボーンを上手く本編に絡めつつも旅路を進めていく流れ!
アスヴァレン先生の剣は折れたままにするのかなーって思ってたからそこもちょっと気になるですよ。

あと景観MODやらNPC改変やら住民追加やらでホワイトランがバニラと随分雰囲気変わってて見てて楽しいです。

スクゥーマだめ、絶対!
なおカジートは除く。

2018/11/04 (Sun) 13:54 | EDIT | REPLY |   

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