4E201

TES大好き、もきゅがスカイリムの物語をお届けします

◆Chapter: 1-13 見えざる手

2017
06

イェアメリスは森をさまよっていた・・・


背後に炎が見える、行く手は闇に覆われている。その闇の中には、ぼんやりとした赤い光が明滅している。先導していくように走るウサギ。その口にはペンダントが咥えられている。彼女はペンダントが発する光を見失わないようにと歩調を速めたが、差はどんどん広がってゆく。やがて彼女は闇の中に取り残された・・・


遠くに別の光が見える・・・


見失わないよう、明滅する光に向かって進むと、彼女は自分が難破船の上に立っていることに気づいた。踝まで水に浸かっており、鋭い雨と風が頬を打つ。波に打たれて船はぎぃぎぃと揺らめいていた。目の前にエルフの鎧を着た女士官が立ち、彼女にビンを差し出している。彼女はビンを受け取ろうと手を伸ばしたが、その途端、女士官は目の前で灰になって崩れ落ちてしまった・・・


灰はしばらく漂うとやがて波と混じり、黒い水面だけが残された・・・


イェアメリスは難破船から待避しようと一歩踏み出して、ブラッキーに肩を掴まれた。気がつくと洞窟に居る。奥のクモを焼き払いに戻ってきたところだ。横に立つ妹の勧めに従って、クモを焼き払うために魔法の炎を呼び出す。爆風が吹き戻してきて、彼女は吹っ飛ばされた・・・


打ち付けられた地面で、しばらく彼女は動けなかった・・・


身体は煤まみれだ。やっとのことで顔をあげると、目の前で謎の装置が明滅していた。イェアメリスは眩しさに目をしかめた。鈍い機械音がして、頭痛が襲ってくる。彼女は起き上がろうと踠いた、しかし失敗した。助けを呼ぼうにも猿轡に阻まれ、逃げようにも手足が縛られているのだ。かろうじて這うことは出来たが、出口となる転移門が見つからない。身体の力が抜けてゆく・・・


どれだけ時間が経ったか分からない。目を覚ますと彼女は街道を歩いていた・・・


ブラッキー、狩人夫妻と共に、救出したオークを担いでいるのだ。町についてエドウィン家の扉を叩く。

「なんなんだ! また見知らぬ顔が増えてるじゃないか?!」

怒鳴られてひるむと、また景色が変わった・・・


彼女は明け方の森を彷徨っていた・・・


後ろから少女が付いてくる。町に帰ろうとしているのだ。

空き地に踏み込むと2人の男が近づいてくる。片腕の男と、禿げたノルドだ。ノルドの表情は笑っていたが、その眼窩は虚ろだった。イェアメリスは恐怖に駆られて後ずさる。背中が木の幹に当たり退路を奪われた。これ以上退がれない・・・彼女は目を閉ざすと、夢中で手に持った剣を突きだした。


禿げた男の黒い眼窩から血の涙が流れ出す。しかしその顔は笑ったままだ。

「あれ? おらどうして胸に剣が刺さってるんだぁ?」


「イヤ・・・」


20161009001056_1 のコピー2


生ぬるい血の感触

「イタイ・・・オマエ、オレを殺した・・・」


「イヤ・・・イヤァァァ!」


イェアメリスは絶叫を上げた。目を閉じているのに消えることのない血まみれの姿。


「・・・えちゃん?」


肩を掴まれて体が大きく揺さぶられた。ゆっくり目を開くと、混濁した意識の中で、徐々に像が実を結びはじめる。


「ねえちゃん!」



(・・・)


(夢・・・?)


恐る恐る顔の前に手を持ち上げる。縛られてもいないし、血に汚れてもいない。


イェアメリスは見知らぬベッドに寝かされていることに気づいた。少し身体を動かすと、頭をはっきりさせるように周りを見回した。少し離れたところで所在なげにエドウィンが立っていたが、彼女の目覚めに気づくと急いでベッド脇に寄ってきた。


「おじさん、あたし・・・あたし・・・」


イェアメリスは差し出されたエドウィンの腕にしがみついた。
「大丈夫か? ひどくうなされていたようじゃが」


「え、ええ。夢を・・・見ていたの」そして彼女は思い出したように顔を覆った。


エドウィンは愛おしげに娘を見た。
「大丈夫じゃ。ならず者たちはもう居ない。エミーも無事じゃ」


イェアメリスは小さくうなづく。
見たことのない部屋だが、暖かく、心地よい。彼女は震えが収まるまで暫くじっとしていた。

物音一つない時間がゆっくりと過ぎていったが、誰も動かない。永遠とも思える静寂を破ったのは、ブラッキーの足音だった。下の階から上がってきた彼女は、姉のそばに寄ってきた。エドウィンは彼女に場所を譲って、柱にもたれ掛かった。


20170401163605_1 のコピー


「あ、ねえちゃん。目が覚めたんだね!」


少し頭がはっきりしてきて、イェアメリスは自分の身体を確かめた。かなり長いこと横たわっていたためか、背中が痛い。しかしそれ以外、特に外傷などはなさそうだ。


「ブラッキー。あたし・・・」


ぐぅ・・・


言いかけて、おなかが鳴ってしまう・・・彼女は顔を赤くした。


「ねえちゃん、あれだけ寝てたら、お腹すいてるでしょ?」


「あ、あたし、どれだけ眠っていたの?!」
跳ね起きてベッドに腰掛けた彼女は、あわてて辺りの様子を見回した。隣のベッドでは、骨折療養中のカグダンが同じように半身を起こしている。部屋の片隅では錬金術師が本を閉じてこちらの様子を伺っている。見知った顔ばかりの出迎えに、イェアメリスはホッと胸を撫で下ろした。


20170401164006_1 のコピー


「そだね、まる3日ってとこかな?」


(そんなに・・・)


「今日目が覚めてよかったよ」


「どういうこと?」


身体と感覚が戻ってくると、完全な静寂だと思っていた部屋が様々な音に彩られていることが分かった。下の階の暖炉だろうか? 煮物がコトコト音を立てている。


「とりあえず、ご飯にしよ。まずはそこから。ねえちゃんは一人で立てるかな?」
ブラッキーは立ち上がると、隣のベッドの兄に声をかけた。


「兄貴、降りるよ」
肩を貸して1階に下りる。


気づくとすぐ傍にアスヴァレンが来ていた。
「立てるか?」


その手をとって立ち上がると、彼女も下の階に降りていった。




・・・




1階はキルクモアの一般的な家にならって、暖炉と小さな食卓があった。3人用の大きさだったが、椅子を並べて5人で無理矢理テーブルを囲む。
アスヴァレンとブラッキーに挟まれて座りながら、イェアメリスは物珍しそうにキョロキョロした。


20170401171943_1 のコピー


「あの・・・」


頭でも打ったのではと思われたくなくて、彼女は控えめに言った。


「ここは、あたしが知っている場所じゃ無いみたいだけど・・・そうよね?」


「うん。ボクと兄貴の家だよ」


ブラッキーは空気をかき回すように手を広げると、少し自慢げに言う。

イェアメリスはまだ腑に落ちない、と言った顔をしていた。


「いつまでもメリスの家に居候と言うわけにもいかんじゃろ?」


エドウィンが町の顔役の権限で、アガルド農場の外れ、管理者不在で廃屋となっていた建物を、ブラッキー兄妹に与えたのだった。
ずいぶんと思い切った話だが、町の住人に反対するものは居なかった。ブラッキー持ち前のカラッとした性格も一助になったのは確かだ。しかし多くは行動が認められた結果であった。始めはよそ者に冷たかった町の住人達も、ブラッキーが素直にエドウィンを手伝う姿を徐々に見慣れ、その態度を軟化させていった。そしてあの日、町の彼等の代わりに身体を張ってならず者たちから町と船を守ったことで、少女を見る目は大きく変わり、「仲間」と見なされるようになったのだった。


「ということは・・・」対面に座るエドウィンを見ると、町の顔役はうなづいた。
ブラッキーは顔役エドウィンの後見を受け、正式に町の一員として認められることになったのだ。


「ねえちゃん、これで正式にボクら、姉妹だね」
ブラッキーが笑うと、イェアメリスの顔にもかすかな微笑が戻ってきた。アスヴァレンは無言で、そんな様子を眺めている。


「そしておっちゃんの子供?みたいなもん?」


エドウィンは禿げた頭に手を当てると、わざと途方に暮れたような素振りを見せる。


「ううむ・・・一体わしはこの島で何人面倒を見たらいいんじゃ?」


「人徳だよ」


「やめとくれ、なんか疲れてきたわい」


イェアメリスは思い出したようにブラッキーの兄を見た。一月前では、こうしてオークと食卓を共にすることなど想像もつかなかった。
寡黙なオークは、少し表情を和らげた。


「カグダン、あなた脚の具合はどう?」


「主よ。悪くない。あと半月もすれば、城に向かえるようになるだろう」


「主はやめてって言っ・・・え? お城?」
彼女はマグを置くと首をかしげた。


「兄貴は、この島の衛兵になることに決めたんだ」


「衛兵?」おうむ返しに聞き返す。


「ねえちゃんとの守護者の誓いを守るためさ。何が出来るか考えたんだって」
先の戦いでエルヤー旗下の兵士が2名犠牲になり、キルクモア城の兵士に欠員が出ていた。その補充要員として参加を名乗り出ることにしたらしい。エドウィンの推薦があれば、許可が下りるだろう。


20170120235620_1 のコピー


剣の主であるイェアメリスの住む島、そして町の人々を外敵から護る、それがカグダンに出来る一番の貢献だった。


「とはいっても脚が治ってからだけどね。代わりにボクがおっちゃんと明日、お城に行ってくるよ」


エルヤーからも報告は行くだろうが、町の代表としてエドウィンは難破船にまつわる奴隷商人たちとの顛末を、領主に報告に行く予定にしていた。


しばらくすると、エドウィンはアスヴァレンに別れを告げた。


「今日もバタバタするじゃろうから、今ここで挨拶をしておこうと思ってな。錬金術師どの、達者で」


「ずいぶんと世話になった」


「いや、助けられたのはこちらの方じゃよ」


戦いは終わったが、後片付けはまだ完全ではない。
少しの間、アスヴァレンがなにやらエドウィンと話し込みはじめたので、彼女は邪魔しないよう、ブラッキーの新たな家を見学することにした。


2階に上がるとアスヴァレンの話し声が聞こえてくる。低めだが落ち着いた声。彼女はこの声が好きだった。


「そういえば例の件。テオリックには伝えておいた。対処は任せる」


「いろいろあっての。まだ手をつけられてないのじゃ」


「そうか。今の状態では危険はないと思うが。あまり放置しない方がいい」


何の話かわからない。おそらく、エドウィンが錬金術師に依頼していた別の仕事の話なのだろう。


ならず者の大問題は片付いたが、エドウィンの仕事は終わらない。領主への報告書作りや鉱山の再開、家畜の被害や物資の手配など、彼はいつも雑事の山に埋もれていた。


ベランダでぶらぶらしていると、ブラッキーが兄を連れて出てきた。


20170401174423_1 のコピー


「外気に当たらないと身体によくないからね」


手すり越しに見える木々の葉が揺れている。少し風があるようだ。
アガルド農場の外れに建つこの家からは森が見える。農園の空き地も見える。草、森、空の対比が見事な、ちょっとした贅沢な空間だった。


「ブラッキー、ここはいいお家ね」


「うん。自由に使っていいって、おっちゃんがくれたんだ」


「町に溶け込めそうで良かったわ」
彼女は髪をかき上げると、妹とオークの間に立って、同じように外を眺める。


「それはおっちゃんのお陰だね。船に捕まってたときは別として、鎧を着ないで過ごせる時間があるなんて信じられないや。なに着ていいかわかんないよ」
ブラッキーもくつろいでいたが、あまりの平穏に、ちょっと落ち着かない様子だ。


20170401173757_1 のコピー


「ふふ・・・こんど町に見繕いに行きましょ。ちゃんとあなたに似合うもの、お姉ちゃんが選んであげるわ」


イェアメリスは笑って請合うと、少し真剣な顔になった。


「それで・・・あなたはこれからどうするの?」


「ん~、そうだね~。働くのはあまり得意じゃないんだけど。定職を持ったほうがいいっておっちゃんは言うんだ」


「たしかに、そうよね。何か考えでも?」


「ウンガーのおっちゃんに鍛冶を教えてもらおうかと思ってるんだ」


「へぇ、弟子入りするのね!」


「まだ決めてないよ」ブラッキーは鼻をこすると、少し遠くを見る目になった。「ボク、今やりたいのは旅することと、自分の得物を自分で作れるようになることなのね」


イェアメリスもカグダンも、おとなしく聞いている。


20170401174141_1 のコピー


「せっかく住む場所・・・住んでいい場所を手に入れたから。いつまでかは考えてないけど、しばらくはこの島に住むのも悪くないかなって」


「故郷のほうはいいの?」


「ん? ああ・・・あそこは、兄貴にとっては故郷だけど。ボクの本当の故郷じゃないし、与えられた場所だから。自分で勝ち取ったここの方がボクには大事。となると、やっぱ鍛冶屋だね! ウンガーのおっちゃんが親方になってくれそうか、明日聞きに行ってみるよ」


ブラッキーは嬉しそうに頷いたが、イェアメリスは別の言葉に引っかかっていた。


「2人がここに住んでくれるのは純粋に嬉しいけど。あたし・・・お兄さんをこの島に縛り付けちゃったことになるのかしら」


心配そうな姉を見て、ブラッキーは軽く否定して見せた。
「大丈夫。兄貴は気にしてないよ。マラキャスにかけて、オークは自分の口で発した誓い、名誉を何よりも重んじるからね。裏を返すと、軽々しく約束はしない。成り行きかもしれないけど、あれは兄貴が誰に強制されるわけでもなく、自分で納得して下した決断だよ」


だろ? と言う素振りでニヤッと笑うと、それまで黙って聞いていたオークが力強く頷いた。


「こやつの言うとおりだ、主よ。我等オークの社会で男は、氏族長かその側近になれなければ、妻も持たずに一生要塞の職人か戦闘要員で終わることが大半だ。それを嫌うものは荒野で暮らすか、帝国軍などに入隊するしかない。流浪の民の居場所は、思ったよりも多くは無いのだ」


自分の力を発揮できる生き方にたどり着けるオークは、ごく少数だった。


「兄貴は、キャンプの戦闘隊長だったんだ」


「じゃあ家族は・・・、ブラッキー以外のと言う意味だけど。奥さんがいたの?」


「奴等の襲撃のとき、妻と幼子は命を落とした」


「あっ・・・ごめんなさい」


20170401180032_1 のコピー


「いい。もう終わったことだ」
ならず者撃退は、このオークにとってはまた別の意味を持っていたようだ。
「俺自身が参加できなかったことは悔やまれるが、この町、そしてお前たちが終わらせてくれた」


彼は続ける。
「故郷を焼かれ、戦闘隊長としての名誉も土にまみれた。妻子を守ることも出来ないどころか、その当の敵に奴隷として連れ去られるという屈辱。俺がどれだけ感謝しているか、お前たちに少しでも伝わると良いのだが・・・」


「あ、あたしは何も出来ずに・・・」
彼女は森の空き地で残党2人と遭遇したときのことを思い出して、胸が苦しくなった。


「いや、お前は胸を張っていい。少女を最後まで守った」


イェアメリスはびくっと反応した。
夢の最後が思い出される。


「あ・・・すまぬ。マラキャスにかけて、俺はお前に感謝していることを伝えたかったのだ」


「え、ええ。分かってるわ」


「言いたいのは、俺がこうしていることは俺が望んでやっていることなので、お前が気にやむことではない。そういうことだ。・・・剣の主よ、お前を主に選んだことはむしろ俺の誇りだ。だから俺のことは気にかける必要はない。たとえ、お前が島を出ることになっても、残れ、もしくは、着いて来い、ただ命じればいい」


20170401174325_1 のコピー


「そんなに持ち上げられても、あたしはただの錬金術師。町の娘よ」
イェアメリスは面食らって、助けを求めるようにブラッキーを見た。


「いいんじゃない? 兄貴がああ言ってるんだから。姉ちゃんが変わることはないよ」
カグダンも頷く。


イェアメリスは複雑な表情で言葉を選んだが・・・あまり適切なものが見つからなかった。
「不思議・・・というか。オークって皆こんなにめんどくさいの?」


「ん~、郷に入りては、なところがあるけど、連中は大体似たようなものかな」


「連中って、あなたもオークなんでしょ」


「ボクは先進的なオークだからね」


「なにそれ? わかんない」
イェアメリスは笑った。カグダンもつられて微笑んだ。
ひとしきり笑うと、ブラッキーは少し真剣な顔になってささやいた。


「で、ボクらのことはいいけど、ねえちゃんはどうするのさ?」


「どうするの、って?」


言われて思い浮かんできたのは、この1ヶ月弱の出来事だった。難破船から始まった一連の騒ぎは、ほぼ収まりつつある。そのあとは・・・アスヴァレンは帰り、カグダンは衛兵、ブラッキーは鍛冶屋に弟子入り・・・異邦人だった彼等それぞれの行き先は決まってゆく。自分はどうなんだろう?


元々あった自分の役割。明日からまた元の生活に戻る。野を巡って薬草を集め、町のために薬を作る仕事・・・母から受け継いだこの仕事は決して嫌ではなく、誇りも持っていたが、一方で一抹の寂しさも感じられた。


20170401180127_1 のコピー


「どうしたの、ねえちゃん。寂しそうな顔をして。僕らは居なくなる訳じゃないよ」


「え、ええ。ちょっと考えてたの」


「・・・あ、そうか~。ボクらなんかどうでもいいよね。あんちゃんだよね、大事なのは」


「んもう! そういうのじゃないわよ」


「え~、ほんと? いいの?」


「なにがよ?」


「今日目が覚めたからいいようなものの・・・船、今晩出ちゃうんだよ? アスヴァレンのあんちゃん行っちゃうよ」


イェアメリスは黙り込んだ。
様子をしばらく眺めていたブラッキーだったが、物思いから戻ってこない様子に痺れを切らした。


「も~、ねえちゃんもオーク以上にめんどくさいな」
無理やり手を引いてベランダから部屋に戻る。


20170401181419_1 のコピー


「あんちゃん。メリスねえちゃんも起きたことだし、ちょっと探索行こ!」


「ん? ああ」
部屋で研究ノートになにやら書き込んでいたアスヴァレンが顔を上げる。


「どこでもそれだよね。研究って面白いの?」


「知識の探求はドゥーマーだけの特権では無い。そもそも・・・」


「あ~、もういい! ほら、しまってしまって」


無理矢理引っ張られてきたイェアメリスは、支度をするアスヴァレンを待ちながら辺りを見回した。
「あら? エドウィンおじさんは?」


「ああ、あの後少しの間話をして、町に戻っていったぞ」


「さあさあ、マラキャスにかけて、こんな天気の日に部屋に篭ってたらキノコ生えてきちゃうよ。出かけよ、出かけよ!」
ブラッキーは、2人を引っ張り出した。


夜まではまだまだ時間がある。あまり乗り気でなかった2人の錬金術師もブラッキーの勢いに押され、とうとう説得に折れた。3人は留守番にカグダンを残して出かけることになった。特にこれといった仕事も任務も持たない自由な外出。久しぶりの・・・というか、3人が揃ってから初めてかもしれない。
島の地下室、謎の装置の解明が、港襲撃の一件で中断されてしまっていた。ブラッキーはそれを再開しようと言うのだ。




・・・




港の廃塔の地下から繋がる新たな装置。この装置は北の砦・・・監視塔の沖の海中にある。戦いのごたごたの中で判明した新たな事実だった。


小屋で取り急ぎ着替えを済ませると、イェアメリス、アスヴァレン、ブラッキーの3人は、天気のよい日に朝食を摂るのに使っている浜辺のテーブルに集まった。


20170401190151_1 のコピー


手始めに地図を広げ、現在までの発見を再確認する。


 北の小島
 領主の城の脇
 南の海岸線
 北の塔の沖


アスヴァレンが地図上を次々と指差していく。現在のところ4箇所。彼は何か掴んだようだ。


「最初の小島では分からなかったが、見てみろ」


Hexagram4


そういうと領主の城の脇、南の海岸線、そして北の塔の沖の3箇所を線で結んだ。きれいな三角形が出来上がる。
「これが1つ目だ」


「1つ目?」興味をかられてブラッキーが覗き込む。


「ここに北の小島を加えて繋ぐ」


Hexagram5


彼は地図上に、順番に線を引いていった。


「こことここ。装置はあと2箇所あるはずだ」


Hexagram6


「どういうこと?」


アスヴァレンは荷物の中から、半透明の紙のようなものを取り出した。錬金素材のウィスプ・ラッピングだ。メモ代わりに使っているのだろうか? 何かが書き込まれている。


彼は半透明のラップを地図の上に重ねて見せた。ラップには魔方陣の絵が描かれていた。


Hexagram9


「あっ!」


ピンときていなかった姉妹はそろって驚きの声を上げた。


「分かるか? この装置は3基1対で2組あり、魔法陣を形成している」

地図に書き込んだ装置の位置と、重ねたラップの魔方陣はぴったりと一致していた。


「マラキャスにかけて! おどろいたなぁ・・・でもあんちゃん、なんで魔方陣なの?」


「装置の効力を島全体に届ける、結界のようなものだと俺は思っている」


「何のために?」


「そこは分からん」
分からないことは分からないとハッキリ言う。・・・アスヴァレンには年長学者が陥りがちな厭味ったらしい部分は微塵もなかった。
「肝心の効力はまだはっきりとしない」


「なんか・・・分かったような分からないような、微妙な感じね」
イェアメリスはラップをつまむと、地図の上で回転させたりずらしたりして、いろいろ試している。しかしやはり、やはり彼の言う通り、あと2箇所あるとしか思えなくなってきた。


「つまりこの魔方陣は、島のどこにいてもねえちゃんの気分を悪くできるように置かれている、っと」
ブラッキーがふざけ半分で言う。


「なによそれ! ひどい嫌がらせじゃないの!」
彼女はブラッキーをはたこうとして躱された。


「でも、あたしこの島で10年以上暮らしてきているけど、気分なんて悪くなってないわよ? 病気になったのも小さい頃に風邪を引いたくらいで・・・」


20170401183829_1 のコピー


アスヴァレンが話を遮った。
「ブラッキーの話はさておき、少なくとも島の何かを広く薄く吸収して、どこかに送っているように見えるな」


「マジカじゃ無いの? あんちゃん」


「もっと違う何かだ。俺やお前は気分悪くなっていない。マジカも吸っているが、気にするほどの量でも無い」


「まさか・・・あたしの魂・・・? やだやだ・・・」


イェアメリスは不安そうにアスヴァレンを見る。


「特に何かを失っているようには見えんが? どこか体調でも悪いのか?」


「いえ、そういうわけじゃ無いけど。あたしだけなんて、なんだか気味が悪いわ」


「この地図からいくと、あとの2つはこの近くと、ええと・・・南西だね。あんちゃん、どうする?」

逡巡している姉。待っているブラッキー。2人はお伺いを立てるよう、長身の錬金術師に視線が集めた。


「ふむ・・・」
アスヴァレンはちらりとイェアメリスを見た。


「ここまで見つけたんだから、行きましょ。・・・大丈夫よ。部屋に入らないようにするわ」3人で島を探索する最後の機会。捨ててしまうのはあまりに残念だ。「このあたりは・・・確かマーラの祠があったはず。そこを目印に行ってみましょ」


「じゃ、ねえちゃんの気分を悪くする探索に出発! ・・・うわっ、冗談だよ」


こぶしを振り上げるイェアメリスから逃げ出すように、ブラッキーは走り出した。アスヴァレンは薄く笑うと、地図をしまって歩き出した。イェアメリスも続く。


新たに獲得した家を通り過ぎる時、カグダンがベランダで風に当たりながら本を読んでいるのが見えた。

イェアメリスと守護者の誓いを果たすために町の兵士になろうと決めたオーク。彼はエドウィンの置いていった島の歴史、風習、決まりごとなどが書かれた文献を勉強しているのだ。脚が治るまでの時間つぶしにはちょうど良かった。


20170401203930_1 のコピー


次にアガルド農園を通りかかると、畑仕事をしている一家が目に入った。エミーは元気に両親の間を駆け回っている。少女はイェアメリスを見つけると、駆け寄ってきた。


「おねぇちゃん!」


「あら、エミー」
イェアメリスは少女に微笑んで、胸の奥にちくりと痛みを思い出した。森での争いの記憶。ならず者から少女を守るためとはいえ、人を殺したと言う重みは棘のように心から抜けなかった。


「ねぇ、おねえちゃん。いつペンダント作ってくれる?」


「えっ、ああ・・・」現実に引き戻されて彼女は少女にあいまいな笑みを返した。「もうちょっと待ってね。また材料集めてくるから」


20170401202257_1 のコピー


「おっきな石?」


「え、いや、違うわ」彼女はあわてて顔を上げたが、アガルド夫妻は離れて作業をしているため聞こえなかったようだ「エミー、あの石の話はしちゃだめよ?」


「うん。おねえちゃんとエミーのひみつだもんね。あ、あとぷーちゃん」


「じゃ、また来るわね」


彼女はエミーと別れると、続いて町の門をくぐった。町を突っ切ったほうがマーラの祠へは近い。道行く人の顔も心なしか明るく、見た感じでは町はもう平常だ。

驚いたことに、彼女たち異邦人の3人組が歩いていると、手を振ってくるものもいる。港と船を防衛する戦いで、共に血を流したことが知れ渡ったせいかもしれない。


20170401203327_1 のコピー


キルクモアに子供は少ない。

少女を守りきったイェアメリスは特に感謝され、今までよそよそしい態度を取っていた人たちの目も、優しいものになっていた。


反対側の門を越えて再び郊外に出る。町に隣接するように立つステンダールの教会。番人テオリックがその前で額に汗していた。弟子と共に、一通りの埋葬が終わったところらしい。


20170401204018_1 のコピー


「おお、錬金術師どの! 一杯やらんかね?」


「スクゥーマじゃないだろうな?」


「まさか、オールド・ステンだ。教会で醸造もやってるのさ。味見してみてくれ」


アスヴァレンは笑って回し飲みに応じると、町の聖職者に2、3感想を述べて別れた。


街道沿いに南西に進むと、周囲が木々に覆われてきた。キルクモア大森林と呼ばれる、島の大半を覆っている深い森だ。ところどころ空き地のような開けた場所に出くわしながら、3人は進んでいった。夜は心もとない暗さになるが、昼間は木漏れ日が気持ちいい。先頭を行くのは足取りの軽いブラッキー。続くアスヴァレンは、やや遅れがちのイェアメリスを待つために立ち止まった。


「どうした。足が重そうだが?」


「え、ええ。大丈夫よ・・・」


長身の錬金術師は、ふと、周りを取り囲む深い木々を見回すと、女錬金術師を気遣った。
「アズラにかけて、そうか・・・海岸沿いを来たほうがよかったな。森でお前がどんな目に遭ったかを忘れていた」


「いいの・・・ちょっと思い出しちゃっただけ」


アスヴァレンは彼女が追いついてくるのを待って、その肩に手を置いた。彼女は隠そうとしているが、小さく震えている。


20170401204810_1 のコピー


「・・・少し休むか? 急に出たから身体にこたえるだろう」


「ありがとう。でも大丈夫よ。いきましょ」
イェアメリスはあえて気丈に、自分に言い聞かせるように声に出した。不器用に微笑みを作る。先頭を行くブラッキーが様子に気づいて足を止めたが、2人はすぐに追いついて、祠に向かって歩みを再開した。


森の中に祠が見えてくる。


こんな人里離れたところに誰が立てたのだろうか。石壁は相当な年代を経ており、草と蔦に覆われている。祠は建物というよりもあくまでも祠で、扉もなく、石の囲みの中に神像が1体安置されているだけのシンプルなものだった。神像には花と木の実が供物として添えられ、カンテラが弱い光を投げかけている。


島で主に信仰されているのは風の女神キナレス、正義のステンダール、生と死を司るアーケイの3柱で、マーラはそこに含まれていない。わざわざここまでお参りに来るような島民は殆どいない。そのためやや荒れた感じになっていた。


20170401210845_1 のコピー


「あなたの考えでは、この辺りに5つめの地下室があるのよね?」


「そのはずだ・・・」祠のまわりを一周し、収穫無く戻って来るとアスヴァレンは首を傾げた。「日時計も、石柱の欠片もないな」


「ここじゃないのかしら?」


「もう少し探してみよう」


「イゼリックのおっちゃんも誘えばよかったね。マジカの流れが見えるんでしょ?」


ブラッキーの話にヒントを得て、錬金術師は目を閉じて精神を集中する。

「ふむ・・・そこに感じる大きなのはメリスのマジカとして、他には・・・」


「どう?」
2人の娘は興味深げに錬金術師を見守ったが、彼は目を開けると首を振った。


「だめだ。さすがに流れまでは感じられん。導師のようにはいかんな」


「あんちゃんでもダメなの?」


「オレは魔術師ではなく、錬金術師だからな」


「じゃあ、足で探すしかないね」
ブラッキーはそう言うと、祠に近づいて神像を調べ始めた。


「こら、ブラッキー。そんなことすると罰が当たるわよ」
マーラの神像の左右にあるカンテラのうち一方が倒れている。祭壇に足をかけた少女をたしなめようとイェアメリスが声を上げた。「ほら、カンテラ倒しちゃって! ちゃんと直しときなさい」


ブラッキーは足元に目を落とすと姉に反論した。
「ねえちゃん、ボクじゃないよ。これ最初から倒れてたんだから・・・え? うわっ」


20170401210732_1 のコピー


ブラッキーは神像の影から何か飛び出してくるのを感じ、身を守ろうと手で顔を覆った。
飛び出してきた黒い影は、祠の前に立つと、あたりを見回している。目を開けたブラッキーは、目の前に居る影に見覚えがあった。


「あれ? このウサギ?」


「ぷ?」


祠から飛び出してきたのはなんと、イェアメリス家の居候、”ぷぅ”だった。


「え? ぷぅちゃん?!」

驚いて声を上げるイェアメリス。あっけにとられて見守る3人を尻目に、ウサギは素早く森の中に駆け込んでいった。


「どうしてこんなところから・・・」
最近不思議なことが多いウサギの、姿を消した先を目で追ったイェアメリスは、ブラッキーの声で振り返った。


20170401212150_1 のコピー


「あれ? こんなところに穴があるよ!」


倒れたカンテラを踏み越え、神像の裏側に回り込んでいたブラッキーが、入口を見つけたのだ。神像によって蓋がされており、一見、穴があるようには見えない。石のこすれる音を立てながら神像をずらすと、ようやく地下への穴が姿をあらわした。




・・・




「どう?」


「うん、他のと一緒だよ」


20161210110305_1


マーラの祠の下には、いつもの地下室が隠されていた。転移門のある前室と、くぐった先にある装置のある洞窟。

イェアメリスは気分が悪くなるのを嫌って、前室に留まったまま、門をくぐった2人に呼び掛けた。


しばらくするとアスヴァレンたちは戻ってきて、中の様子を伝えた。


「別段、変わったことはなかったな」彼はいつものようにノートにメモを取りながらイェアメリスの問いに答えた。「つまり、他の地下室と変わらず、同じ装置が同じように設置されていたという意味でだが・・・」


20170401211037_1


「あなたの言う通り、5カ所目があったのね」


「うむ。6つ目も仮説通り、お前の小屋の近くにある可能性が高まった」


ブラッキーが興味深げに問いかける。
「ねぇねぇ、全部見つけたら何か起こるの?」


「・・・何も起こりはしないさ」


「なんでさ、普通は秘密を解き明かした時には何かすごい、神秘的なことが起こるのって定番でしょ?」


「そんな物語みたいになるわけない。魔方陣は”そこに在る”ことによって中のものに力を及ぼす。レバーやスイッチのような、”何かを起こすためのきっかけ”ではない」


イェアメリスはハッとして2人に向き直った。「そういえば北の塔沖の装置・・・エミーが石を外しちゃったわ。何も起きないといいのだけど・・・」


「石は置きっぱなしだったよね」ブラッキーとアスヴァレンは、イェアメリスを捜索するときに装置の部屋に立ち寄っている。彼女がエミーによって戒めから解かれた場所だ。「戻しに行く?」


「そんな時間はないな。さっきも言ったが、何か起きるならもう起きてるだろう」


「そうだね。それよりもボクは6カ所目の方が気になるな。あんちゃんが島にいる間に、全部見つけ出そうよ」


「それって、今日中ってこと?」


言って彼女は思い出した。


そうだった・・・寝込んで時間を無駄にしてしまったが、エリクール商会の船が入港してから今日で6日目。早いもので今晩が出航予定だ。アスヴァレンは島を去る。彼は元々の目的であるヨクーダへの訪問をあきらめざるを得なくなったので、一度自分の研究室のあるモロウィンドに戻ることにしたのだ。


マーラの祠を後にすると、3人は元来た道を戻るのではなく、森をさらに西進して突き抜けた。帰り道は海沿いに行くことにしたのだ。ブラッキーは森が切れて海が見えてくると、寄り道とばかり、最近好物になったサンド・クラムを集めに浜辺へと駆けていった。砂浜の中に半分ほど身をうずめて隠れている二枚貝の一種だ。少女はこれを煮込んだスープがお気に入りだった。


島の住人であるイェアメリスも、この西の海岸にはあまり来たことがなかった。東から北にかけては岩場が多いが、西の海岸線は彼女の小屋の前と同様、長くて広い砂浜が続いている。彼らは澄み渡った空と海の向こうにヨクーダを臨んだ。


20170401213838_2 のコピー


浜辺に走って行ってしまった少女を遠目で追いながら、残された2人の錬金術師はなんとなく、森と浜辺の境界に腰を下ろした。


「あそこに見えるのは、ヨクーダか? 島のように見えるが・・・」


「ええ、そうよ」


水平線上にこぶのように一つだけ影が見える。そこはもう、ヨクーダの領土だった。クルツカ島と呼ばれるヨクーダ最東端の島だ。

エルセリック海にぽつんと忘れ去られたようなキルクモアの双子島は、ハイロック本土に対するキルクモア島と同じく、ヨクーダ本土から遥かに離れていた。


「船で3日くらいかしら・・・ヨクーダとはいっても本土はあの島のずっとずっと西よ」


「そうか・・・」
アスヴァレンは、自分がたどり着けなかった国の玄関口を眺めながら、風が髪を弄るのに任せた。そして横に座って同じように海を見ている娘に。「短い間だったが、いろいろなことがあったな」


「ええ・・・」前の巡回交易船が来てからまだ一か月と経っていない。難破船に始まり、本当にいろいろのことがあった。海から目を離さないまま、話しかけるとでもなく、彼女はつぶやいた。


「あなたは、行ってしまうのね・・・」


「このままこうしていても、ヨクーダには渡れないことが分かったからな」


「家に? 帰るの? どこ? そういえば、あなたの国のこと聞いてなかったわ」


アスヴァレンは背後・・・自分たちが来た森の方。を一瞥すると、軽く身振りを添えて説明した。

「モロウィンドだ。・・・お前は知らんかな? ・・・ヴァラス連山の外れ。リフテンと、シェイディンハルと、滅んだヴェラニスのちょうど間の、名もない村だ」


20170401213801_1 のコピー


「生まれたときからそこに?」


「いや。俺はソルスセイム生まれだ。見ての通り、ノルドとダンマーとの混血児だ」


うつむいていたイェアメリスは驚いて顔を上げた。
「あら! ソルスセイム?! あたしと同じだわ」


「お前は、テル・ミスリンだったか? 俺はソルスセイムとは言ってもスコール村だが」


「聞かせて、あなたのこと・・・その、よければだけど・・・」


アスヴァレンは、彼女に身の上を語りだした。


ノルドのスコールの一族、そしてダンマーとの混血として生まれた彼は、スコールの部族社会になじめず、母の故郷に引き取られてテルヴァンニ家に迎え入れられた。若くして評議員の候補として、バレンジア女王の宮廷に上がったが、オブリビオンの動乱後、宮廷を辞してテルヴァンニの学者として首都モーンホールドの片隅に研究室を持った。


研究を始めたのも束の間、レッドマウンテンの噴火、アルゴニアンの反乱が発生してしまう。
モーンホールドは噴火による被害を殆ど受けなかったが、避難者たちで溢れ返った。さらにそこに追い討ちをかけるようにアルゴニアンが首都を包囲したため、彼は研究所を引き払うことを余儀なくされた。第4紀はじめの頃・・・今から200年近く前の話だ。


アスヴァレンは北西に向かい、一度はヴェラニスの寺院に腰を降ろしかけたが、そこも人が増えてきたため、さらに西に進んだ。そしてスカイリムとシロディールの国境を望める名もない村にたどり着いた。
山賊の脅威に晒されていたその村で、安全を確保する見返りに、少し離れたところに住み着いたのだった。


「住人たちから少し離れて一人暮らしなんて、あたしとそっくりね・・・あっ、一人・・・じゃないのかな?」


「ああ、2人暮らしだ」


彼女はがっくりと肩を落とした。
「そ・・・そうよね。あまり家族を待たせちゃいけないわよね」


「何を言っている? 家族などいない」


「え? だって、2人って・・・」


「留守を管理させているアルゴニアンの男がいる」


「え? えっ?」早とちりで勘違いしていた彼女は顔を真っ赤にした。「奥さんとか・・・いないの?」


「そんな面倒なものはいない」


「結婚したことは?」


「錬金術には関係ないだろう? あんな儀式がどうして必要かさっぱりわからんが・・・お前はやってみたいのか?」
アスヴァレンは真顔だった。


「お・・・女の子だったらやって見たいわよ、結婚式は」


「そういうものか」


20170404210244_1


イェアメリスは駄目だこれは、という風に、目をぐるっとさせた。
「そうだったわ。あなたは錬金バカでしたもんね」


「よく分からんが、褒め言葉として受け取っておこう」


「まったく、褒めてません」


ツンと横を向いたイェアメリスは、すぐに我慢できずに向き直って問いかけた。
「でも、なんでアルゴニアンなの? 彼らとは戦争中なんじゃないの?」


「だからこそさ。やつらの軍隊が村に遣ってこないとも限らん。そのとき交渉役が必要だろ? そのための保険でもある」
アスヴァレンは故郷を思い出したのか、再び遠い目をし、そして何かを思いついたように目を輝かせた。


「ふむ・・・導師イゼリックの言っていた、人ならざるものの精神ネットワーク・・・身近にヒストの持ち主がいるじゃないか。帰ったらあいつ、解剖してやる必要があるな・・・」


「ちょっと、そんな物騒なことやめてよね!」


「冗談だ」アスヴァレンは笑った。


「あなたが言うと冗談に聞こえないから・・・でも、アルゴニアンも一枚岩じゃないのね」トカゲの亜人の行動を思い浮かべようとしてイェアメリスはあきらめた。書物でしか見たことがなかったのだ。
「あたしはソルスセイム生まれだけど、あまり本土のほうは知らないの」


「南はアルゴニアンに蹂躙され、中央は火山灰、北部はそれに雪まで加わる。散々な状態だ。スカイリムへの疎開や、ソルスセイムに戻ることも考えたが、あまり自由がきかなさそうだしな」
次々と地名を挙げて、そのたびに彼は首を振ったが、やがてそれを放り出して彼は言い放った。
「俺は面倒ごとが何よりも嫌いだ」


「知ってるわ」プッと吹き出して彼女は笑った。こうしていると少し気がまぎれる。


「今のところに移ったのは、もう100年以上前のことだ」


「途方もない年月ね・・・」


20161107221223_1 のコピー


秋晴れの空にカモメが舞っているのが見える。
キルクモアの気候は穏やかだが、タムリエルの中心地たるシロディールと比べると緯度は比較的高い。寒冷地として有名なスカイリムの中心に位置するホワイトランとほぼ同じだ。それでも島が暖かいのは海流によるところが大きかった。


「ここは・・・、綺麗だな」


「ええ。・・・臨時の集まりだったのは承知しているけど。あたしたち小隊はここで解散・・・、なのかな?」


「まあ、いつまでもこうしているわけにも行くまい。上陸者たちの脅威も片付いた今が潮時だ。それに・・・」
彼は隠しから例の鉱石を取り出した。
「これのこともある」


「何か関係あるの?」


「うむ。ここでは調べるにも限界があるし、戻るなら調べてみようと思う」


「当てでも?」


「研究室にドゥーマーの分析装置がある」


「分析装置・・・?」


「モーンホールドの研究室から持ち出したものだ。戦争で失われるのは癪だったからな」

珍しく、声に自慢げな響きが混じっている。

「簡易的なものだが、少なくとも毒物を専門に扱う俺には、無くてはならないものだ」


錬金素材の薬効を知る方法は1つしかない。摂取してみる、もしくはさせてみる。・・・つまりは人体実験だ。
もちろん主だった素材の効果は解明済みで書物に記されている。若手がギルドや師匠の元で学ぶのはこういった書物と基礎的な実験が殆どだった。しかしその先に進もうとすれば、新しい素材や組み合わせの危険な実験を避けては通れない。


この時代、錬金術の達人はそう多くない。実験途中で命を落とすものが大半で、長生きできないのだ。
錬金術を生業にしながらアスヴァレンのように200年の長きにわたり生存し続けている・・・それはそれだけで彼の優秀さ、そして研究者としての強運をあらわしていた。それを可能にせしめていたのが彼の所有するドゥーマーの分析装置だった。


「すごいのね!」


「すごいのは俺じゃない。ドゥーマーだ」


「謙虚じゃない」


「当たり前だ。研究者は事・・・」


「研究者は事実に基づいて判断するもの・・・でしょ?」
彼女は先回りして言うと、彼の持つ鉱石を突っついて見せた。


「すり鉢とフラスコ、蒸留器だけじゃないのね。さすがあたしの先生だわ」
イェアメリスは少し考えるような素振りを示すと、荷物入れからぼろ布の塊を取り出した。丁寧に布をほどくと、中から小さなビンが姿を現す。慎重につまむと、それをアスヴァレンに差し出した。


「これは?」何の変哲もないビンだが、イェアメリスはやけに丁寧に扱っている。


「毒薬よ」
サルモールの運搬していた薬品だ。


「どういった素性のものなんだ?」
ビンをひっくり返したり、日にかざしたりしながらアスヴァレンは問いかけた。


彼女は、嵐の晩、難破船の女指揮官から預かったこと、燃えて灰になったサルモールの指令の手紙について説明した。
「島は難破船と奴隷商人の事件で大変だったけど・・・あの船には秘密があったはずなの。波に洗われてすべて消えてしまったけど、これだけが残ったわ」


20170402110116_1 のコピー


「魔術師が浴びたという薬か?」


「ええ。気をつけて。これはきっと劇薬よ。・・・一滴でも身体に触れてはダメ。あたし、これを浴びたサルモールが、灰になるところをこの目で見たんだから」


「その毒を俺に渡して、どうしようと言うのだ?」


「どうしていいかわからないから託すの。あなたは信頼できるわ」

彼女はビンを取り返すと、再び丁寧にぼろで包んで、アスヴァレンに渡した。
「調べてくれても、捨ててくれてもいいわ。あたしの手には余るもの」


「そうか・・・では、鉱石とこの薬品を調べてみよう」
期待した答え。一つの賭けに勝った表情で、イェアメリスは胸をなでおろした。薬を渡したのは、錬金術師としての純粋な興味から、と言うのも決して嘘ではない。しかしそれ以上に・・・アスヴァレンとのつながりを何か残しておきたかった・・・ここで切れてしまいたくない。心の奥底に湧き上がった気持ちからの行動だった。


「何か分かったら連絡して」


「ああ」


彼女は少し傾きかけた太陽を見て、ゆっくりと立ち上がった。お尻についた砂を払うと、日光を背に錬金術師を振り返る。


「せっかく錬金術の先生を見つけたのに。もう授業を受けられないなんて。ちょっとさびしいわ」


「俺も後ろ髪を引かれないといえば、嘘になるが」


20170401214457_1 のコピー


「あら、あなたにしては珍しい物言いね」


「非常に頼りない生徒だからな。危なっかしくて見ていられん。ここで放り出して大丈夫か迷うところだな」


「ひっど~い!」


「それに、散々面倒なことにも巻き込んでくれた・・・まあ、おかげで退屈はしなかった」


「元はといえばスジャンマにつられたあなたが悪いのよ。自分の、せ・き・に・ん」


「それを仕組んだのはお前だろう? その分のいろいろ教えたはずだ」


「そうよ。あたしはあなたの弟子になったの。・・・タムリエルの西のはずれに、弟子が1人住んでいることを、時々は思い出してよね」イェアメリスはいたずらっぽく彼の周りを歩き回った。


20170402111414_1 のコピー


「そうだな、一度俺の研究室に招待しよう・・・何年後になるかは分からないが」


「期待しないで待ってるわ」


浜の奥を見ると、ブラッキーは沖の砂州のほうまで行ってしまっている。
「そろそろいきましょ。最後の1つ、今日中に見つけないとね」


アスヴァレンも立ち上がると、ブラッキーのほうを手招きする。


3人は浜辺を伝って、南の海岸を通り過ぎ、イェアメリスの小屋に戻った。




・・・




ブラッキーはぼやくと、小屋の前の砂浜を、途方に暮れたように一瞥して振り返った。


「だめだ・・・日が暮れちゃうよ」


20170402112826_1 のコピー


イェアメリスの小屋の近くに地下室が隠されているのは間違いないのだが、広大な砂浜のなかから埋もれている落とし蓋を見つけるのは、策なくしては無謀な挑戦だった。


かなり早めに戻ってきたはずなのだが、調査は難航し、だんだん諦めの思いが彼らを支配していく。


成果のないまま、島は日没後の闇に包まれようとしていた。


20170402112939_1 のコピー


このままこうして船の出る時間を待つことになるのはごめんだと、3人はとうとう見切りをつけた。

大事な残り時間だ。キルクモアの町の酒場に来て、別れる前の最後の夕食を共にすることにしたのだった。
今晩遅くにはエリクール商会の船は出航する。上陸していた船員たちは、既に船に戻って出港準備に余念がなかった。そのためか、酒場は珍しく人が少なく、半分貸し切り状態だ。


「イゼリックの視力は貴重だな。マジカが見える、そんな能力があればすぐに見つかったはずだが」


「それでも、この短期間に良く見つけたほうじゃない? あたしたち」


「うむ。廃塔の地下室が決め手になったな。まさか北の塔の沖まで飛ばされるとは思わなかった。あれがなければ海中の部屋は絶対見つからなかった」


「うぅ・・・そうね・・・でもあのことはもう思い出したくないわ」
ならず者に囚われて、あわや奴隷にされる寸前だったことを思い出し、彼女は身震いした。


「これは決して負け惜しみではないが・・・、6つすべて見つけたからと言って何か新しい発見があるわけでも、何かが起こるわけでもない。結果だけ見れば今俺たちが持っている情報以上にはなるまい」


「あんちゃん帰った後、イゼリックのおっちゃん見かけたら頼んでみるよ」


「わかったらまた教えてくれ」そう言うと、アスヴァレンは少し困ったような顔をした。「教えてくれ、はいいが、どうやって連絡を取ったらいい?」


「なんか魔法で、離れててもば~んって話ができちゃうようなのないの?」


「そんなおとぎ話のような楽な話があるか」
彼は薄く笑うとあっさり否定した。
「遠話のような高度な通信手段はドゥーマーの遺物ぐらいしか存在せん・・・ん?」


20170402122417_1 のコピー


彼は横でイェアメリスがニヤニヤしているのを訝しんだ。


「なんだその紙は?」


彼女はどこから引っ張り出したのか、3枚の羊皮紙をひらひらと揺らせて見せた。
羊皮紙には焼き印と、4桁の数字、そしてイェアメリスのサインがしてあるようだ。


「東帝都社の私書証明書よ。社員になると支給されるの。手紙を書いたらサインと共にこの4桁の数字を書いて・・・」


彼女は説明を始めた。


「この証書を見せて東帝都社の職員や船や隊商に手紙を託せば、事務所に送られるのよ。そして事務所に行って、逆に証書を見せれば、同じ番号に宛てた手紙を受け取ることができるというわけ」


20170402122626_1 のコピー


「ふむ。面白い。黒馬なんとかの配達みたいだな。事務所はどこに?」


「この島には残念ながら事務所はないから・・・最寄りはストロス・エムカイの総督府になるわね。あたしの所属する西航路の中心地よ」


「遠いな。そこまで手紙を取りに行くなら、この島に寄った方が早そうだ」


「その方があたしも嬉しいけど・・・ここじゃなくても地域を指定すると、最寄りの事務所までは届けてくれると聞いているわ。あなたの村の近くというと、どこになるんでしょうね・・・」


「ねえちゃん、事務所の場所も知らないの? ほんとに社員?」
ブラッキーが茶化して姉を突っつく。


「なによその言い方。今まで使ったことなんてなかったもの。そんなの知らないわ」


「モロウィンドは荒廃しているから、俺のところだとリフテンあたりが妥当か? 帝都社のことはよく知らんが、あそこならさすがに事務所に一つや二つはあるだろう」


「タムリエルのどこにいようとも、これで連絡を取ることができるわけ。どう、すごいでしょ?」

彼女は自慢げに胸を張ると、羊皮紙をテーブルに置いた。1枚取ったアスヴァレンを見ながら、ブラッキーが指摘する。


「・・・すごいのは帝都社のシステムでしょ、ねえちゃん」


「なによ~、そのトゲのある言い方・・・あたしを誰だと思ってるの? 誰でも社員になれるわけじゃないのよ。この錬金術の才能を買われて・・・買われて・・・」語尾が小さくなる。


「なら、あんちゃんでも社員になれそうだね。メリスねえちゃんの上司になれるんじゃない?」


(むぐっ・・・)


「ねえちゃん下っ端?」


「なによ。あなたには上げないっ」
彼女は羊皮紙をしまおうとする。


「わ~、ごめんごめん!」


ふざけ合いながらも、3人は私書証明を分け合った。番号は7386。3人の共通の数字だ。


「これでなんとか、連絡取ることはできそうだね」


「もう少し階級が上がれば、専属の配達人がつくんだけどね」


「今の時点では十分だ。そろそろ・・・ん?」
証明書を受け取ったブラッキーは思い出したように、急に荷物を整理し始めた。酒場の隅に積んだ荷物と向き合っている。


「あなた、なにやってるの?」いぶかしげに問うたイェアメリスに、妹は答えた。


「う、うん。ねえちゃん。明日お城に行くって言ったでしょ。だから準備しないとね。あんちゃんの見送り行ってきてよ」


「え? そんな急に・・・今じゃないとダメなの? あとでもいいじゃない」


「ボク、湿っぽいの苦手だし、ねえちゃんに譲るよ」


「え、そんな急に・・・」


ブラッキーはとりつく島もない。

「いいから。あんちゃん、またね!」


アスヴァレンは微笑むと、しばし肩を並べた戦友とでも言うべき少女に頷いた。

「ブラッキー、お前も元気でな」


肩に荷物をかける。


20170402124010_1 のコピー


「・・・さて、俺も行かねばならん時間だな」


「え? もう?!」
時間を忘れていたが、もう23時だ。すぐ日が変わる。船が出航するのは夜中・・・そろそろ乗船の時間だった。

ブラッキーと女将のフィアが見送る中、2人は貸し切り状態の酒場を後にした。


町も静かなものだ。門を守る衛兵が軽く会釈をしてくる。手を振り返すと町を出る。


20170402125714_1 のコピー


港まではあっという間だ。

なんとなく会話のきっかけをつかめずに、2人は無言のまま歩き続ける。


そしてとうとう、桟橋にたどり着いてしまった。


エリクール商会の船は出向した後、別の船と合流して船団を組み、明日の未明からソリチュードに向かう予定になっていた。漁師たちがキルクモアの東の沖に数隻の貿易船が浮かんでいるのを目撃している。この船もそこに合流するのだろう。
最近被害が増えている、アズリアン海・エルセリック海周辺の私掠船への対抗手段だった。


彼女が気まずさを感じて、もじもじしているのを知ってか知らずか、先に口を開いたのはアスヴァレンだった。


「明日の早朝には、お前の小屋の前・・・といっても沖の方だが。そのあたりを通過すると聞いている」


「そんな遠くじゃ手を振っても見えないわね」


「晴れていれば船影ぐらいは見えるか・・・」


「また会えるかしら?」


「多分」


「スジャンマ、たくさん用意しておかないとね」


風が強くなってきた。
アスヴァレンは笑った。そして手を差し出す。「世話になったな」


「あたしも・・・」


手を握ると、彼女はわざと引っ張った。バランスを崩して抗議の声を上げようとしたアスヴァレンだったが、その唇にイェアメリスは軽く唇を重ねると微笑んだ。


20170402133638_1 のコピー


「ありがと。じゃあね!」


何か言おうとしたときにはもう、彼女は町に向かって駆け出していた。


ちょっとして酒場にイェアメリスが戻ってきたが、ブラッキーは気づかないそぶりで荷物を片付け続けていた。ちらっと姉の様子を見ると、わざと大きな声で宣言する。


「おし。準備できた! じゃ、ボクらも帰ろっか」


「え、ええ。そうね」


「あんちゃんは無事に船に乗った?」


「よろしく言ってたわ」
上気した顔を悟られないように、彼女は適当に返事をしながら酒場を出るのだった。




・・・




帰り道、地面を見ながら慣れた道を歩いて行く。


「じゃあ、ねえちゃん。おやすみ」


「おやすみブラッキー。あ、風が強くなってきたから、ちゃんと戸締まりしなさいよ」


「分かったよ。まるで母親みたいなこと言うんだね」
ブラッキーは笑って肩をすくめた。


20170402135737_1 のコピー


「嵐の日に扉開けたままにしておくと、妹が増えちゃうんだから。あたしみたいにね」


「うわっ、ねえちゃんいじわる」


イェアメリスは強がるように笑うと、手にしたランタンを挨拶代わりに揺らした。

「あはは。だから気をつけてね。また明日・・・じゃなくて、明後日かしら?」


「うん。明日は朝からおっちゃんとお城行き」


「何にせよ、戸締まり注意ね」


「は~い。じゃあね!」


そうしてブラッキーが家に入ってゆくのを見送ると、イェアメリスも自分の小屋に急いだ。




・・・




ずいぶん久しぶりに戻ってきた気がする。

実際には着替えに一度立ち寄ったが、しっかりと中を確認するのは、ならず者たちに拉致されてから初めてだった。
小屋の中は散らかっており、持ち去られてしまったものも多い。地下の木箱の中に隠しておいたお金は無事だったが、今月の回復薬の代金は根こそぎ持ち去られてしまっていた。奴隷商人たちは倒されたが、彼らの持ち去ったものがどこに消えたのかはわからないままであった。


暖炉に火をくべると、部屋にほんのりと暖かさが戻ってくる。彼女は下の階に降り、数日ぶりに自分のベッドに潜り込んだ。
ふぅ、とため息をつき、数日の出来事を反芻する。手を顔の前にかざして思い出に浸る。港の廃塔をアスヴァレンと偵察したのはほんの数日前だ。あのときつないだ手の感触が、今でもよみがえるようだ。

彼女は胸が苦しくなって、両腕を交差させてベッドの上で自分を抱きしめた。


20170402162517_1 のコピー


今日からはブラッキーはここではなく自分の家で寝泊まりする。アスヴァレンは船で行ってしまった。一人残されてみると自分の小屋がやけに広く感じられる。元々そうであったのに、なんでそう見えるんだろう・・・寂しさがこみ上げてきた。


ベッドに入ったはいいが、彼女はなかなか寝付けなかった。寂しさのせいもあるが、寝るのが怖かったのだ。
夢を見るとまたあのシーンが再現されるような気がする。
うつろなノルドの顔。物思いに沈むと決まって、彼女自身が殺した男の顔が迫ってくるのだ。


カタン・・・


音がして、彼女は身をこわばらせた。あんなことがあったばかりだったので、また誰かが侵入しているかと身構える。緊張して見回すと、ベッドの脇からウサギが顔を出した。安堵で肩の力を抜くと、イェアメリスはさみしげな笑顔をウサギに向けた。向こうも家の主人が戻ってきたのを見て、彼女の近くに寄ってくる。


「ぷ?」


不思議なウサギが不思議そうな顔をしてこちらを見つめている。彼女は知らないうちに涙を流していた。柔らかい毛並みに手を伸ばしたが、ウサギは逃げ出さない。


どうせ眠れないからと、彼女は”ぷぅ”を抱いたまま、上階へと戻った。


20170402163204_1 のコピー


「ぷうちゃん・・・」


しばらく彼女はウサギを抱いたまま、暖炉の炎を見つめ続けていた。




・・・




気がつくと、夜中を過ぎている。


ぼんやりしているうちに彼女の腕の中から逃げ出した”ぷぅ”は、いつものように何処かに行ってしまっていた。また秘密の抜け穴から外に行ったのかもしれない。


いろいろな気持ちが頭の中でぐるぐる回って、興奮状態になっている。眠りたくない。イェアメリスはとりあえず、散らかっている部屋を少しでも片付けることにした。


床に散らかっている服や装備品をタンスに押し込めると、次はテーブルに取りかかることにした。
空になったスジャンマの瓶もある。それを見て彼女はアスヴァレンのことを思い出した。今頃は海の上だろう。水差しとコップは倒れ、こぼれたお茶は既に乾いてテーブルにシミを作っている。テーブルの上には他にも、サルモールに託された割れた小瓶もあった。人を変容させる劇薬の入っていた瓶。中身は別の瓶に移し替えて、アスヴァレンに渡してしまった。もう自分には関係ない。
シミをこすろうかとラグの切れ端を手にした彼女は、テーブルの上に無造作に置かれている本を手に取った。
表紙に”黄色の書”と書かれている。そういえばこれもサルモールの持ち物だった。


(忘れていたけど、薬のことが書いてあるかもしれないわね。何か手がかりがあるかも・・・これも渡しておくべきだったかしら?)


今この島にサルモールはもう一人もいない。そして薬はアスヴァレンに託してしまった。すべて過去の出来事。
手に取った本を、彼女は開いてみた。


表紙を開いたとき、本から光が発生して、彼女の目を眩ませた。


20170402212100_1 のコピー


「・・・ああっ!」


思わず彼女は悲鳴を上げた。
予想もしない光が収まると、ようやく書かれた文字が見えるようになる。


イェアメリスは、身体がむずがゆいような、チクチクするような感覚を覚えながら、中に書かれていることを目で追った。


20170404202811_1


=*=*=*=*=*=


黄色の書


書を手にするもの、
身体に蛇を刻まん


盗みて返さぬ者には
古の罰が降り懸からん


最後の罰を受ける時
蛇が体を貪るであろう


=*=*=*=*=*=


本の呪い(ブックカース)!


最初の文を目にして、迂闊に本を開いたことを彼女は後悔した。
貴重な本を盗難などから守るために、呪いが記されることあるという。知識で知っているだけだったが、これがそうだと彼女は確信した。所有者に本を返却をしない者に対して、神や精霊の力によって罰を下す。それだけ重要な書物だと言うことだ。


読み進めようとしたとき、イェアメリスは急にみぞおちに激痛を感じた。続いて左半身が焼けるように熱くなる。思わず本を離して床に目を落とすと、血のしずくがポタポタと、自分の身体から落ちているのに気がついた。


「ううっ・・・」


イェアメリスはかがみ込むと、痛みに耐えようと、身体をブルブル震わせた。

鳩尾の痛みが一層増し、彼女は耐えきれずに身体を曲げた。


20170402170418_1 のコピー


続いて胸の中央に激痛を感じ、逆にのけぞった。

串刺しにされたかのような感覚と共に身体全体が熱を帯び、衣服がグズグズになって剥ぎ落ちる。あちこちから血が滲み出ている。


「あ゛・・・あ゛・・・」


顎が外れるほど口を開くが、悲鳴はおろか声さえも出てこない。今まで受けたこともないほどの苦痛。許容量を遙かに超えているはずなのに気絶することもできない。口を開いているのに呼吸もできず、彼女は酸素を求めてパクパクと口を動かした。


20170402171242_1 のコピー


身体に杭を打たれるような感覚は、肩、そして左上腕へと続いてゆく。


「う・・・あぐっ・・・、誰か・・・助け・・・」


20170402175959_3 のコピー


手首の内側を抉られたような痛みを最後に、激痛は一旦収まった。嘘のように浮腫と出血は消え去り、イェアメリスは脂汗の浮いた身体をようやく起こした。


そして・・・


自らの身体の変容を信じられない面持ちで見つめた。


20170402180617_1 のコピー


心臓直下のみぞおちから順に、深い傷が身体に刻まれていた。ジュクジュクとした赤黒い孔からは筋肉繊維が見えており、空気にさらされると鈍痛を発する。左手首の内側から上腕、肩を通って乳房の間を下り心臓の真上まで、深い傷の間を、植物の蔦とも、蛇ともとれるような細い傷が走っている。


彼女は振り乱した髪をかき上げると、へたり込むように床に尻餅をついた。

本の呪いに掛かってしまったのは間違いなかった。


本を守るための呪い・・・返却すれば呪いは消えるはず。


イェアメリスは青ざめた。持ち主であるラーリン指揮官が死んでしまった今、一体どうすれば・・・
それに読み始めるのにこれだけの苦痛を強いる書物。何が記されているのか・・・


20170404202813_1


=*=*=*=*=*=


あなたがどのような巡り会わせにより、何時、何処でこの書を手に入れたかは問いませぬが、しばらく私共の指示に従っていただく必要がございます。
この黄色の書は、我等サルモールにおいて特に重要な命令を記すのに使われるものです。


書を手に入れたとき、あなたは同時に液体の入った小瓶も見つけていると思います。
本書とその小瓶をエランディル特務官まで届けてください。


また、あなた自身のために守られなければならない制約があります。


・月の満ち欠けを6度数えるまでに務めを完了すること
・この務めを人に漏らしてはならない


あなたに期待しています。
アリノール最高評議会 AN.


=*=*=*=*=*=


謎を記す書物とは様子が違う・・・例の薬をサルモールに届けろと書かれてある。ページに記されているのは、死んだラーリン指揮官が持っていた命令書とほぼ同じ内容だった。エランディルという人が呪いを解くことができるのだろうか?


装置と相対したときを上回る苦痛に耐えながら、彼女は必死に読み進めるしかなかった。


20170404202815_1


=*=*=*=*=*=


強制の法


この呪印を見た者、アリノール太古の樹と血の儀式により、その身に紋様を刻む。
そなたを縛るは強制の呪い。手首から心臓まで蛇の葉脈が走り、光が灯される。


月の満ち欠けにつき、蛇の眼は節を満たす。
節は7つ。時に気をつけるがよい。


すべての節が光に満ち、蛇の眼が心臓に達したとき、そなたは呪いに喰われる。
心せよ、約を違えば即座に眼はお前の心臓を食い破るであろう。


アリノール神秘局 NF.


=*=*=*=*=*=


イェアメリスは慌てて自分の手首を見た。


「あうっ! ・・・!」


磔の杭に貫かれるような鋭い痛みに再度襲われ、彼女は喘ぎを上げた。すると手首の大きな傷にぼんやりとした光が灯った。


20170402182356_1 のコピー


「これが・・・眼?」


途端に手首から先の感覚が消失した。イェアメリスは恐ろしくなって自分の手を確認する。ちゃんと指も動くし物をつかむこともできる。だがなにも感覚がないのだ。触覚がないだけでなく、自分の体温さえも感じられなかった。
恐る恐る、そして少しだけ暖炉の火に手を入れてみるが、痛覚もない。驚くべきことに、炎に差し入れた左手はやけどさえもしていなかった。


無事な方の右手を同じように火に向かって伸ばす。


「熱っ・・・!」


彼女はやけどをした右の人差し指を舐めながら、自分の身体に起きた変化に呆然とするしかなかった。


書には続きがあった。


20170404202818_1


=*=*=*=*=*=


正しく任務を遂行できるよう、保険をかけさせていただきました。ここまでするのは、これがあなたが考える以上に、我々にとって重要なことだからです。
お分かりでしょうが、あなたの意思は問題になりません。


呪いは任務を完了すれば、エランディル特務官に解除してもらうことができます。彼にはこの種の呪いの知識はありませぬが、彼の望みにより解除できるように術式を組んであります。


あなたが死亡すれば、呪いは再びこの書に戻り、また誰かに引き継がれます。


制約を忘れないよう、繰り返し警告しておきます。
この努めについて人に話したり、破棄したり、果たせぬまま放置し過ぎないように。


時間は限られています。早めに取り掛かったほうが良いでしょう。

賢明に判断し、慎重に行動することを望みます。


アリノール最高評議会 AN.


=*=*=*=*=*=


どうやらサルモールは任務を成功させるために、幾重にも保険を準備していたようだ。巻き込まれてしまったイェアメリスは、言わば罠に掛かったウサギのようなものだった・・・


20170402183246_1 のコピー


彼女は再び青ざめた。


届けるもなにも、手放してしまった!
謎の劇薬は今、アスヴァレンの手に在る。そして彼はもう行ってしまった。


扉がガタガタ揺れている。夜半を過ぎて、とうとう嵐が来たようだ。

途方に暮れかけた彼女だったが、疲労も痛みも一瞬忘れて必死に考えを巡らす。そして埋もれた記憶の中から、数日前の酒場での補佐役の言葉をやっとの思いで掘り起こした。


20170218155358_1 のコピー


「オーリドンから来る別の船と洋上で合流するんだそうです。そっちが少し遅れているので、出航を遅らせて時間合わせをするそうです」


たしか、島の東の沖で船団を編成して、そこからソリチュードに向かう筈だ。距離はあるが、彼女の小屋からまっすぐ海を東に進んだあたり。この嵐ならマストを広げることはできず立ち往生しているだろう。


うまくいけば間に合うかもしれない!


20170402203333_2 のコピー


イェアメリスは小物入れを引っかき回すと羊皮紙を取り出し、急いで手紙を書いた。ブラッキー宛てだ。
時間があまりない。嵐をおして船が行ってしまうこともあり得る。もしかすると、既に手遅れかもしれない・・・その恐怖と戦いながら手紙を仕上げると、彼女は傷を隠せるような服を探して着込んだ。


荷袋を取り出して、手当たり次第に目につく物を詰め込む。自身を災厄に誘うことになった黄色の書、そして割れた小瓶も必要になるかもしれない。そして最後に海探の薬を急いで飲み干した。


鼻をつく刺激と苦みに顔をしかめながら、散らかった部屋を一瞥する。
扉は閉めたが鍵はかけないでおいた。ブラッキーならすぐに気がつくに違いない。


彼女は嵐の中小屋を出ると、振り返ること無く浜辺を走った。


波打ち際に繋いである小舟を確認すると、もやいを解くのももどかしそうに、ナイフで切断した。波に揺れる海に押し出すとその上に飛び乗る。力を込めて櫂を操ると、イェアメリスは真っ黒の海を進んでいった。


20170402185142_1 のコピー


傷口が痛むのだが、脳が麻痺していた。イェアメリスは無心に、ただ櫂を規則正しく動かし続けた。何度も何度も、気が遠くなるくらい。


崩れた波のしぶきをまともに顔に浴びて、彼女はブルブルっと頭を振った。錬金の薬によって、仮に海に投げ出されることになっても溺れることはない。雨に打たれながら、肩で息をしながら漕ぎ続ける。船団らしき物は見えない。


彼女は絶望に囚われそうになるのを必死にこらえ漕ぎ続ける。嵐が空を隠しているため、方角を示す物はなにもない。自分の小屋が真後ろに見えることだけが、自分が東に進んでいることを示す唯一の証だった。


このまま船にたどり着けないかもしれない。薬の効果も切れて、黒い海に飲み込まれてしまうの? 彼女は恐怖に駆られて、一瞬の注意を怠った。大きなうねりを横腹に受けて、小舟から投げ出される。


上下左右が分からなくなる。どちらが水面かも分からないまま必死に手足をばたつかせると、頭に何かがぶつかった。手がかりを求めて何回か空ぶったあと、ようやく掴んだのは小舟の船縁だった。這い上がって船縁に寄る。嵐の雨が顔をなぶるのを好きにさせたまま、呼吸を整えようと深く息を吸った。


息を吸うたびに胸の傷が疼いたが、皮肉なことにその痛みが気持ちを落ち着けるのに役に立った。


20170402203130_1 のコピー


ようやく呼吸が落ち着いたとき、小舟に小さな衝撃が走った。




・・・




波ではない、何かに衝突したのだ。


イェアメリスは身体を起こして様子を伺った。

黒い壁が目の前に立ちはだかっている・それが船の舷側だと分かるまでにしばらく時間が必要だった。


呆然と見上げていると、デッキの方にいくつか明かりが見え始めた。カンテラを持った船員たちが異常に気づいて集まってきたのだ。


20170402202725_1 のコピー


嵐の中、船ではちょっとした騒ぎが起こっていた。漂流者の小舟が衝突したのだ。


貨物室の一角を船室代わりに割り当てられて仮眠を取っていた男は、騒ぎに起こされて苛立たしげにデッキを覗いた。叫び声が聞こえる。誰かが海に落ちでもしたのだろうか? アスヴァレンは再び毛布をかぶろうとしたが、嵐の合間を縫って聞こえてくる叫び声に聞き覚えがあるような気がした。


「誰か!」


(まさかな・・・)島で行動を共にしたブレトン女性の顔が浮かんだが、頭を振るとその想像を打ち消した。彼女は今頃キルクモアの家で妹たちと過ごしているに違いない。


らしくない・・・そこまで一人の人間を気にかけたことはこの100年なかった。


「おい?!あんたの名前を呼んでるんじゃないか?」


貨物室のハッチが勢いよく開けられて、船員が彼を呼びつけた。


「・・・、なんだと?」


アスヴァレンは起き上がると、船員に着いて雨に打たれるデッキに出た。


「あんたの名前、たしかアスヴァレンって言ったよな?」


「ああ、だがそれがどうした?」


「聞こえるだろ? 呼んでるんだよ。下でぶつかってきた小舟に女が乗ってるんだ」
そう言って船員は右舷の人だかりを指さす。アスヴァレンは船から乗り出して目を凝らし、今にも沈みそうな小舟から見上げる人影を発見した。


20170402202027_1 のコピー


「アスヴァレン! ねえ、いたら返事して。ねぇ!」


イェアメリスだった。


「アンタの知り合いか?」驚いている錬金術師に船員が問いかける。


「あ、ああ。知り合いだ」推し量ることのできない理由で、再び海面を漂う小舟を見る。


「と・・・とにかく。引き上げてやってくれ」


縄が下ろされ、イェアメリスが舷側から引っ張り上げられたのは、その直後だった。


「一体どういうことだ? なぜここに?!」
長身の錬金術師はエルフ娘に尋ねようとして口を開きかけたが、その声は発する前に泣き声に遮られた。


20170402205553_1 のコピー


「アア・・・ワァー!・・・」


アスヴァレンの顔を見ると、彼女の感情の堰はとうとう切れた。
なんとか保ってきた気丈さは簡単に吹き飛んでしまった。周りの目を気にすることもなく、イェアメリスはすがりついて泣きわめいた。彼女のただ事でない様子が感じ取れたからか、アスヴァレンは皮肉一つ、洒落た言葉一つ漏らさない。


彼はぎこちなく、あやすように、そのか細い肩に手を回すことしかできなかった。


「おい。嵐が収まってきた。おまえらいつまでも野次馬してるんじゃねぇ」
船長を務めているスタイレックの大声が飛ぶと、2人を取り囲んでいる船員たちは、それぞれ操船のために散っていく。


20170402205700_1 のコピー


「先導艦が動き出した。俺たちも行くぞ!」


「ようそろ!」


号令が下されると、船員が帆を広げて固定する。


「アンタ。ちょっと落ち着いたら、事情を聞かせてくれ」

スタイレックは言うと、自らも操舵手の方に向かっていった。


20170402210008_1 のコピー


彼女の嗚咽は包み込むアスヴァレンと、甲板に打ち付ける雨の音によってかき消される。


エリクール商会の船は、ゆっくりと風を受けて海の上を滑り始めた。


20170402210303_1


4E201薪木の月、


イェアメリスは見えざる手の力に翻弄され、こうして小さな世界から飛び出したのであった。





(第1部エピローグに続く・・・)




※使用mod


・RUSTIC CLUTTER COLLECTION ・・・食器類や小物はこのmodで美化しています^^


・Rune Magic HD ・・・設置できる魔方陣を作ります。コレをJaxonsPositionerで動かして、呪われるシーンの頭部分を作りました

・Space Wiking Freyja Special Effect Gems  ・・・装備するとエフェクト効果をつけることができる宝石のmodです


・イェアメリスの呪われた身体 ・・・AIO Animated xxx をベースに、ノーマルマップとディフューズマップを描き込みました。

実際の変化は、PSQというmodを使って、変身後に呪いをテクスチャ入れ替え+タトゥーで表現しています。

こうすることで、ゲーム落とさなくても正常/呪い両方のSS撮れます^^



スポンサーサイト

2 Comments

magmel  

こんにちは!

アスヴァレンさん色恋沙汰に興味なさそうだし、この二人はどうなるの?と読み進めていたら…。
おおっ!メリスさん積極的(*゚Д゚*)
良いですね~、彼にはこのくらいしないと意識してもらえなさそうですから;

そして、とんでもないことに…。
本を開いて呪いに掛かるなんて怖いなあ。うかつにその辺の本が読めなくなりそう…^^;
スキルブックなんかもある意味呪い(まじない)の一種なのかもしれませんね。

思いもよらず島から出ざるを得ない状況になってしまいましたが、彼女ならこの困難にも打ち勝てると信じています。

毎話ボリュームがあって読み応えありますね。
なかなか上手いコメントが出来ず…拍手で陰ながら応援させてもらっています。
次回エピローグということですが、既に第2部も楽しみにしてます…(*´д`*)

2017/04/08 (Sat) 12:45 | EDIT | REPLY |   

もきゅ  

magmelさんコメントありがとうございます!
1部もクライマックスと言うことで、メリスはちょっと勢いつけて動かしちゃいました^^

ちなみに一番最初に立てた1部の構想→「イェアメリスの旅立ちのきっかけを作る」←この一行だけwww

本の呪いは最初アイディアベースだったんですけど、いろいろ調べてみると現実史に実在していた!と言うことが分かって、いろいろ肉付けすることが出来ました。そこから展開していったら、いつの間にか13回分もの長さになっちゃいました(^_^;)

またのんびり続けていけたらと思ってます♪

2017/04/16 (Sun) 12:09 | EDIT | REPLY |   

Add your comment