4E201 - The Unsung Chronicles of Tamriel

¡Hola! Mi nombre es Moqueue. Encantada.
Aquí es el anexo de [ Bienvenido al escondite de Euphemia ].

4E201

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2016  23:33:36

◆Chapter: 1-5 居候

イェアメリスはランタンを掲げると、隠れている少女に問いかけた。


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「あなた・・・だれ!?」


ぼろを纏った少女は、警戒心たっぷりの目でイェアメリスをにらむように見あげた。
手足に鉄の環がはめられている。どうやってここにたどり着いたかわからないが、逃亡奴隷のように見える。


「マラキャスよ。これなら大丈夫そうだ・・・」


「!」


少女がボソっと言った刹那、イェアメリスは視界がぐるっと180度反転した。気が付くと、自分が地面に倒れている。


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少女が目にもとまらぬ速さで足を払ったのだ。そして倒れたところに足を繋ぐ鎖を絡めて器用に締めあげてくる。少女は馬乗りになっていた。


「ちょ! なにを・・・!」


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もがこうとするイェアメリスの喉元に、少女の手を縛る金属の枷がぐいと押し付けられる。
喉をつぶすつもりだと気付いた彼女は、恐怖に囚われた。


「やめて! 離して!」


必死に少女の手を払いのけようとするが、小柄な体に似合わず、びくともしない。
イェアメリスの抵抗をほぼ封じた少女は、初めて彼女と目を合わせた。
左の目の周りに戦化粧、そして頬には傷があった。纏っているボロは濡れそぼって、かなりくたびれている。それでも少女の力は強かった。


「・・・戦士じゃない? おまえ・・・弱いのか?」


少女は心から不思議そうな眼で、イェアメリスを見た。
息が詰まりかけるなか、イェアメリスは首をぶんぶんと振って否定する。


「戦士って何?! そんなものじゃない、あたしはただの錬金術師よ! いいから離して!」


「ボクに危害を加えない?」
少女の目に疑念がわくのが感じられた。


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「どっちが与えてると思ってるのよ! 何もしないわ!」


「あ、そだね・・・」


彼女に危害を加えるだけの力がないと確認したのか、ようやく・・・、少女は力を緩めた。
イェアメリスはゆっくり起き上がると、喉をさする。


「ケホッ・・・もう! なんなの・・・」


少女はイェアメリスを不思議そうな目で見ていった。

「ごめん。 戦士じゃない奴に会う機会なんて、なかったから・・・」


「死ぬかと思ったわ」


「いや・・・ホント残・・・いや、よかった。おねえちゃん弱くって」


「どういう意味よ?」イェアメリスはむっとして言った。


「もうちょっと強かったり、暴れられてたら、その腰のダガー抜いて、今頃きっと刺してたよ」


悪びれない様子で、少女はイェアメリスの腰に吊ったダガーを指さした。確かにやりかねない雰囲気の少女を見て、一歩間違っていた時のことが思い浮かんでくる。イェアメリスはぶんぶんと頭を振ると、その考えを追いだした。


「ここ、おねぇちゃんの家? 勝手に入っちゃったけど・・・」


「え・・・ええ、そうだけど・・・」


少女の勢いに気圧されて、逆に自分が相手の質問に答えていた。
なにやってるの、ここは自分の家じゃない、と言い聞かせて、あわてて気持ちを立て直す。


「ここ安全?」


イェアメリスにはすでにほとんど興味を向けていない。自分よりも年下っぽいが、修羅場を潜り抜けているものの雰囲気が、彼女にもうっすら伝わってくる。どんな世界にいたのかしら?
敵が居ないかと、少女は警戒しているようだ。
・・・そんな少女の態度が、かえってイェアメリスを落ち着かせる役に立った。


「誰かさんが来るまで、すくなくとも10年間ほどは安全だったはずなんだけどね」


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「ボクが危険だって言いたいの?」少女はイェアメリスを見て、両手を上に向けて振って見せる。
千切れている手首の鎖がじゃらじゃら音を立てる。「鎖に縛られて、こんなに無害なのに?」


「その無害な子に、あたしは殺されかけたのよ。もうなにが安全か、分からなくなったわ」
イェアメリスはため息をついた。
少女はそれを見て始めて笑った。


「ボクはブラッキー。おねぇちゃんは?」


ようやくたどり着いた自己紹介。これでふり出しだ。


「あたしはメリス。・・・で、あなたはここで何をしているのかしら?」


「ここ扉が開いてたから隠れられると思って・・・」


「ぷぅ・・・?」


上階からウサギが顔を出して様子をうかがっていた。
イェアメリスはちらと見上げると、視線をブラッキーに移す。鎖はとともかく、ずぶぬれだ。


「ねぇ、ここじゃ乾かないわ。暖炉のある上に行きましょ。」


彼女はブラッキーを促し、”ぷぅ”のいる上階に連れて行った。




・・・




「さっきはごめん、しばらくひどい目に会ってたから、反射的に動いちゃって・・・」


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イェアメリスよりも年下っぽい、無邪気な粗っぽさを持った少女は少しずつ、口を開き始めた。暖炉の火に当たり、2人の緊張は徐々にほぐれていった。


「メリスねえちゃん、・・・かぁ」


「うぅ・・・お尻痛い・・・いきなり足掛けるんだもん」
イェアメリスは、したたかに打ちつけたお尻を撫でながら、寄ってきた”ぷぅ”の頭を掻いてやった。


「ごめんごめん。おねえちゃん悪い人みたいじゃなさそうだし。ボクもほら、こんなに無害。」


この子のペースには勝てないな、と感じた。心地よいには程遠いが、しかし嫌な感覚ではなかった。
イェアメリスは自分の直観に素直に従うことにした。


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少女は先ほどの立ち回りなどまるでなかったのように、無邪気な様子だ。


「それにねえちゃん、妹欲しいでしょ? きっと仲良くやれるよ」


「いつ欲しいって言ったのよ・・・あきれた・・・。」


イェアメリスは降参、といった感じで天井を見上げると、息を吐いた。


・・・好奇心が警戒心に勝ったのか、”ぷぅ”が侵入者を観察するためにちょろちょろ近づいてくる。
ブラッキーはウサギを見て、目を輝かせた。


「ねえちゃん、この肉!」


「この仔はだめ!」


暖炉前に座りながら”ぷぅ”のちょっかいに応じていたブラッキーを制して、イェアメリスが”ぷぅ”をかばう。

「どうしてみんな肉肉言うのかしら・・・」


「だって、ぷっくり太っておいしそうだよ?・・・」


「だーめーよ。この仔はうちの居候なの。・・・あなたの先輩なのよ?」
腰に手を当ててブラッキーをにらみつける。


この時代、鳥や鹿、ウサギといった野生の動物は、人々の一般的な食料だった。牛や豚は高級品だ。
食用でも農耕用でもないのに動物を飼っている、イェアメリスは錬金術師だったから周りは気にしないが、普通に見たら十分変わり者だった。


「ふ~ん。よろしくな、先輩」


「ぶぅ・・・」


衣服を乾かしはじめたブラッキーを横目に、イェアメリスは、食べれるものを準備してやろうと、食料保存樽を確認し始めた。


(なにか即席で作れるものは・・・と)


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「おなかすいてるの? あなたがぷーちゃんを料理し始めないうちに、そのおなかに何か詰め込んだ方がよさそうね・・・パンとなにか・・・スープか簡単なシチューでいい?」


返事がない。


「ブラッキー?」


振り向くと、ブラッキーは寝てしまっていた。一瞬の間だった。


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・・・今まで、キルクモアでこの少女を見かけたことはない。
前回の巡回交易船から降りて島に残っているのは、ダンマー一人・・・彼女の臨時の先生だけだった。
ということは、先ほどの難破船に乗っていた可能性が高い。


ここに来た事情だけでも聴けたらと思っていろいろ考え始めるのだったが、彼女のほうも抗えない眠気に襲われ始めた。急激に疲れがこみあげてくる。


思えば今日一日で多くのことがありすぎた。
フィールドワークに遠出し、夕方雨に降られて町で雨宿り、戻ってきて難破船を見つけ・・・船に行ってみて・・・戻ってきて見知らぬ侵入者に驚き・・・そしていま、少女が横で寝息を立てるのを眺めている。
疲れるはずだ。


夜中はとうに過ぎており、相変わらず外では嵐が吹き荒れている。
扉はまだ風でガタガタ言っていた。


ブラッキーの足を縛る鎖をちらっと見て、出会いの最初を一瞬思い出したが、また襲われるとは思えない。
基本、彼女はお人好しだった。考えかけて疲れに勝てず、すぐに結論を出した。


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結局それ以上何をするでもなく階段を下りて、彼女はベッドの上に倒れこんだ。

トテトテと”ぷぅ”が追いかけてきて、ベッドに飛び乗ると、彼女のわきに収まった。
そうしてイェアメリスも眠りに落ちていった。




・・・




「んん~・・・」


翌朝、目を覚まして上階に上がると、ブラッキーはもう起きていた。
テーブルについて、”ぷぅ”の鼻先でニンジンをぶらぶらさせ、ちょっかいを出している。


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「あら、ずいぶんと仲がいいじゃない?」
寝たのも遅かったし、いまいち疲れも取れていない。ひとりだったら寝なおしているところだったが、今日は居候がいる。


呼びかけられてブラッキーが振り向く。


「おはよう、メリスねえちゃん」


イェアメリスはあくびを一つすると、髪を掻きあげた。


「これってきっと夢よね。妹をもった記憶はないんだけどな。なんか今日は一人増えてるわ」


「夢じゃないよ。・・・昨日、新しい妹ができたんだよ」


ブラッキーがニヤッと笑う。
イェアメリスは、わざと嫌そうな顔をした。


「だって、メリスは今、ボクの保護者みたいなもんだろ?」
そういうとブラッキーは、両足をつないだ鎖をじゃらじゃら鳴らして見せた。


「これでいったいどうしろと? このまま放りだされちゃうの? ボク」


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「それもいいかもしれないわね。十分生きていけることは、昨日見せてもらったし。・・・あぁ、お尻痛いなぁ~」わざとらしく、尻を撫でるそぶりを見える。


「え~! そんなぁ。 せめて何か食べさせてよ。」
ブラッキーは悪びれるでもなく、素直に欲求をぶつけてきた。
あまりの噛み合わなさに、イェアメリスはむしろ面白くなってきた。


「そうね。あたしたちも食事にしましょ。」


ブラッキーからニンジンを奪い取って、満足そうに食べ始めた”ぷぅ”を横目に、イェアメリスは朝食の支度をはじめた。




・・・




やはりブラッキーは、あの難破船に乗っていたらしい。


「あの船は、どんな船だったの? 商船を装っていたみたいだけど、そうではないんでしょう?」


「うん・・・」ブラッキーはパンを一切れかじると続けた。「捜索したんだったら、なんとなくわかると思うけど・・・奴隷運搬船だよ。ボクらは運搬される商品だったってわけ。」


「やっぱり・・・サルモールと、ならず者っぽいのと、船倉に詰め込まれた人たちと・・・乗員がちぐはぐで、おかしいと思ったのよね。」


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イェアメリスの用意したシチューをがっつきながら、合間合間でブラッキーは語った。


「他にも囚人はいっぱいいたけど。ボク、あの船に兄貴と2人で捕まってたんだ。あ・・・血は繋がってないからホントの兄弟じゃないんだけど・・・兄貴とは小さいころから一緒に住んでたんだ。・・・あ、おかわりある?」


イェアメリスはブラッキーの椀にシチューを追加してやった。


「船に乗る前は、どこだろう?・・・よく分からない山賊のキャンプに捕らわれていたんだけど。あいつら、定期的に出て行っては奴隷を狩ってきた。囚人たちがある程度集まると、運び出してたみたい。ボクらの前にも2回ほど”出荷”があったよ。」


少女はつづける


「僕らは雪の中を強行軍させられて・・・う~、ぶるぶる、あれは思い出したくないなぁ。枷が冷えると手足がすごく痛くなるんだ。・・・そして見たことない港につれてこられたんだ。そこで船に載せられて出航したわけ。途中、いろいろな港に立ち寄って、そのたびに数人ずつ囚人が増えたね」


「サルモールの奴隷船だったのね」


ブラッキーはかぶりを振った


「いや、そうじゃなさそうだよ。あいつらは途中の海上で乗り移ってきたんだ。1週間ぐらい前かな?。どこからか別の船が接近してきて、ね。奴隷商人たちのなかには文句言ってるやつもいたけど、金の払いがいいんだって。どうやら、僕らの保護者が替わったのはそのときっぽいね。まあ、今の保護者のほうが百倍ましだけど」


ブラッキーはニヤッとして、イェアメリスを見た。「もうちょっとちょうだい」


「まだ食べるの?」


「食べれるときに食べておかないと、次いつ食べれるか分からないからね」


奴隷の生活は過酷だったのだろう。ブラッキーは椀を受け取ると、3杯目に取り掛かった。


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「えっと、どこまで話したっけ? ああ、そう。サルモールが乗ってきたとこだったね。・・・その後はまた退屈な航海がしばらく続いて、そして昨日、難破したわけ。」


話は終わりに近づいていた。


「あ・・・でもちょっと待って。大事なこと忘れてた。・・・難破する前に、なんか上のほうの船室で叫び声や争う音がしてた。悲鳴も上がってたし、殺し合いが起きてたんだと思うけど、ボクらには音が聞こえるだけで・・・」


「こんなだしね。」少女は枷をぶらぶらさせて見せた。


「そんで、争いの最中に「岩だ、ぶつかる!」って叫び声が聞こえたと思ったら、すごい衝撃で船が揺れて・・・、船室の底が大きく裂けて、ボクらのところに水が流れ込んできたんだ。」


わずか半日前、ここから目と鼻の先で起こった出来事。


「びっくりしたよ、あのとき・・・とっさに飛び込んだんだ。」
両手で自分の首を押さえ、溺れる身振りをする。


「思いっきり水を飲み込んだし、手足もこんな状態だったから、浜にたどり着けたのはきっとマラキャスのご加護だね。あとは・・・メリスねえちゃんが親切に家の扉を開けておいてくれたおかげで、いまこうして朝食にありついているってわけ。はい、これでおしまい。シチューもおしまい」


「すごい冒険・・・」
イェアメリスはただただ、驚くことしかできなかった。


「冒険なんてそんな立派なもんじゃないけどね。つつ・・・これ、動かしてないとかぶれるんだよね」

ブラッキーは頭をぼりぼりかくと、手足の枷の位置を直した。


「それで、あたしが難破船を捜索しにいっている間に、あんたはここにたどり着いたのね」


「そういうことになるね」


「今は快適・・・ああ、マラキャスよ、感謝感謝」


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イェアメリスは手を止めると、少女に尋ねた。
「さっきから・・・その・・・気になってたんだけど。マラキャスって、あなたデイドラ信者?」


「え? ボクはオークだよ。」


イェアメリスはびっくりしてブラッキーを覗き込んだ。


ブラッキーはうなづく。「そう。オークの戦士さ。マラキャスを崇めるのは当たり前だろ?」
マラキャスはデイドラ16柱の存在の中で、オークを保護する神として崇められている。一般的には邪神の類とみなされている。しかしオーク自体は帝国軍にも多数在籍し、ノルド、レッドガードに並んで優秀な戦士として定評があり、忠義に篤いことからも嫌悪はされていない。


「オークですって?」


イェアメリスはブラッキーの口を見たが、それらしきものはない。


「ちょっと口開けてみなさいよ。あなた、牙なんて生えてないじゃない」


口蓋に収まらないほど大きく発達した下あごの犬歯。それが誰でも知っているオークの特徴だ。
シチューをほおばっていた少女にはそれがない。小柄だが、どう見てもノルドだ。


「同族以外の親族を持つこともあるんだよ、オークは。」


稀にそういうことがあると聞いたことがあったが、実例を前にすると驚くばかりだった。


「そう・・・なの? ・・・オークに育てられたのね。それであんなに・・・」
昨日のブラッキーの警戒心、身のこなし、もろもろを思い出して、彼女はようやく納得がいった。


「そうだよ、ボクはオークの戦士。・・・しかもかなり優秀な方だと思うんだ」
食事を食べ切ったブラッキーは手の甲で口をぬぐうと、ニヤッと笑った。


「あ、でも・・・」イェアメリスはブラッキーに言った。「マラキャスの名前は出さないでね。近くに町があるんだけど、そこにはステンダールの番人が一人いるから」


「あー、あの頭かちんこちんの融通きかない連中」


ブラッキーは軽蔑したように言い捨てた。

「あいつら弱いくせに、態度でかいから嫌いだ。」


「そうはいっても、気をつけなくちゃだめよ。・・・彼らはね、武器で戦うんじゃないの。宗教を甘く見てはダメ。・・・って、亡くなった母さんの受け売りだけどね」


「ふ~ん・・・」


「このキルクモアみたいな小さな島では、異端とみなされると暮らしにくくなるとよく言われたわ」


女性の錬金術師などは辺境において、ともすれば無知な住人から魔女と勘違いされることもある。
町の顔役エドウィン修道士や老ゴンディリックは理解があったが、小屋が町から離れている理由の一つは、むやみに住人を刺激しないためのそういった配慮からきているのだった。


イェアメリスの母、アルトマーのイリアンは晩年になってこの島に移住してきた。
町の住人と打ち解けるのに大きな努力を払っており、イェアメリスが錬金術をやりたいと言い出した時、ちょっとしたきっかけで人々の感情は裏返るから気をつけなさい、町の住人との関係はおろそかにしないこと、とよく言い聞かせていた。


とはいえ・・・母の心配と気苦労をよそに、イェアメリスは子供の頃から町の中をチョロチョロと走り回っていたので、住人にも愛され可愛がられていた。異邦人というよりも、島を故郷とする身内として受け止められていると言ってもよい。




・・・




朝食を終えると、2人は一息ついた。
”ぷぅ”はまた、秘密の抜け穴から外に行ってしまったようだ。


「さて・・・何をするにもまず、これをなんとかしなくっちゃね」

イェアメリスはブラッキーの両足を繋ぐ、鎖を手に取った。
鉄製の鎖で、赤錆が浮いている。


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「ねえちゃん、なんとかできるの?」


「ん~、枷は無理そうだけど・・・そうね、鎖は鋼鉄じゃないからなんとかできるんじゃないかしら。」


枷のほうは止めピンが潰されており、町の鍛冶屋に頼んで壊すしかなさそうだった。

彼女はタンスの裏に置いてあるガラクタの中から、重そうな片刃斧を引きずりだした。


「ちょっとそこに立って・・・そう、足もうちょっと広げて」


ブラッキーの一歩手前で、斧を振り上げる。
これで鎖を切断しようというのだ。


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「ちょ、まっ! ねえちゃん、戦斧なんて振ったことあるの?!」


「戦斧は初めてよ・・・安心して、薪割りなら毎週してるから」


「そういう問題じゃないから! ね、せめて素振りしようよ、素振り!」


「だいじょうぶだいじょうぶ」


「わ~! 足首が無くなっちゃったり、お尻が4つに割れるのは嫌だよぅ!」


「動いちゃダメ。いくわよ~!」


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イェアメリスは、思いっきり、頭の上に構えた戦斧を振り下ろした。


・・・ギャリーン! ぶつかり合った金属から火花が散る。


「ぎゃう!」


ブラッキーは変な声を上げて飛び上がった。
鎖は見事に両断されたが、跳ね飛んだ鎖の先がブラッキーの尻を強かに打ち付けたのだった。


「やったわ!」

「ねぇちゃん! 痛いよ! お尻・・・」


ブラッキーは尻をさすりながら、恨めしそうに彼女を見た。


「あら、おそろいね? なぜかあたしも、お尻に痣あるのよ。」
真似してお尻をさすりながら、イェアメリスが意地悪そうに笑う。


「昨日あなたが作ってくれたやつ」


「ひどいや~、ひゃう!」


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ヒリヒリする尻をポンっ、とはたかれ、ブラッキーは再び飛び上がった。


「さ、次は町に行きましょ。その枷も外しちゃわないとね。そのあとは、薪集めを手伝ってもらって・・・働き者の妹を持つのはいいわねぇ~」

1日の計画を練り始めたイェアメリスを、ブラッキーがもじもじしながら見ている。


「ねえちゃん・・・ボク先に行きたいところがあるんだけど・・・」


難破船に戻りたいと言い出した。


「ボク、兄貴を探しに行きたいんだ。」


「ええ? ・・・でも」


(昨日確かオークの死体も一つあったわね。 ・・・! まさかそれが・・・)


「でもあの船は・・・ねぇ、ブラッキー」
昨晩の船の様子を思い出して首を振る。


「うん?」


「生存者はいなかったの・・・」


冷たい事実を突き付けられても、ブラッキーのほうは至って冷静だった。


「あ、勘違いしないでメリスねぇちゃん。別に今から救出がどうとか言うんじゃなくて、死んでるなら確認はしておきたいんだ。それに、船には使えるものいっぱいあるかもしれないし」


「え、ええ・・・。でも手足に鎖ぶら下がったままで邪魔じゃない?」


「いいよ、あとで外せば。町は近いんでしょ? 船見るのは何時間もかからないよ」


あまり気乗りしなかったが、無下にもできないので、ついに彼女は同意した。


「じゃあ、いってみましょ・・・」


気を取り直して、彼女は少女に自作の錬金薬を手渡す。


「これは?」ブラッキーはイェアメリスが手渡した薬を、訝しげに見ながら言った。


「海探の薬・・・水中呼吸ができるようになる薬よ。船を探索するならあったほうがいいわ。」


「へぇ! ねえちゃんすごい。ホントに錬金術師だったんだ!」


(むぐっ・・・)


「ちょっと、あたしは東帝都社の専属錬金術師なのよ。」

なんだかひどくプライドを傷つけられたような気がして、さらに何か言おうとしたが、ブラッキーはもう扉を開け放っていた。


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「はやく、行こ!」
そういうと、浜に駆け出す。


「あ、メリスねぇちゃん!」

途中で振り返ってブラッキーは言った。


「ちゃんと扉に鍵かけたほうがいいよ。帰ってきたら妹もう一人増えてるかもよ?」


イェアメリスは首を振ると苦笑いした。


「それだけは勘弁して。妹はもうたくさん」


彼女もブラッキーについて、浜辺に駆けだした。


つづく・・・



※使用mod


・ZazAnimationPack v61 ・・・手枷、足枷をここから持ってきました。

 エロmodの入口かどうかは、あなた次第(´艸`*)


・Follower Live Package ・・・多機能なフォロワー管理mod

 ブラッキーくんの服装変更はこれでやりました。バニラの服なら簡単。


P.S.プロット元に展開していったら、意外と長くなっちゃって、今回は会話回になりました。

  本当はもう少し先のシーンまでで1つのChapterだったんですけど、次回にまわします~(´ω`*)



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