4E201 - The Unsung Chronicles of Tamriel

¡Hola! Mi nombre es Moqueue. Encantada.

4E201

31
2016  00:01:26

◆Chapter: 1-4 難破船

大粒の雨が叩きつける。
イェアメリスは腰の隠しに入れた道具を確かめた。


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良かった、海探の薬の小瓶は中にある。
最近学んだばかりの水中呼吸ができるようになる薬を見て安心し、浜辺のテーブルを通り過ぎる。


波打ち際に着くと、引き上げられている小舟の状態を確かめた。
補修したばかりだったが大丈夫そうだ。


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顔にかかった雨をぬぐうと、彼女は森のほうを振り返った。
再び強くなってきた嵐に、木々が千々に揺らされている。


上陸した生存者はいないのかしら、と考えたが、今は船のほうが心配だ。


まさかこんなタイミングで、小舟が役に立つことになるとは思ってもみなかった。
彼女は苦労しながら小舟を、難破船との距離がいちばん近くなる位置まで、浅瀬を引きずっていった。
大嵐の中、海に出るのは自殺行為かとも思ったが、難破船は家から見えるくらいなので、そんなに距離はない。

それに薬もある。


きっとだいじょうぶ。
そう思ってイェアメリスは、嵐の海に小舟を押し出した。


・・・


小舟は何回か波をかぶったが、程なく傾いた甲板に到着した。
難破船の舷側の壊れかけた欄干に縄をかけると、小舟が流されないように固定する。
彼女は足元を確かめながら、傾いた甲板に飛び移った。


船は一般的な2本マストのブリッグで、キルクモアに寄港してくる東帝都社の商船と同型だった。
タムリエルの近海で一番よく使われているものだ。

座礁の衝撃か、または嵐のせいか、マストは2本とももぎ取られていた。


何かおかしい・・イェアメリスは疑念が浮かんでくるのを感じた。

とはいえここで立ち止まっていても意味がない。

来たからには、まずは調べてみないと・・・


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彼女は小舟に固定していたランタンを手に取り、注意深く甲板に飛び移った。
そしてあたりを見回す。


「う・・・」


明りに反応してか、うめき声が聞こえた。
甲板の上に何者かが横たわっている。


「くっ・・・うぁ・・・そこに誰かいるのか・・・?」


イェアメリスは傾いた甲板を駆けのぼった。


「島から来たの! 大丈夫?!」


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横たわっていたのはアルトマーの士官だった。

髪を短く刈り込んでいたが、細身の繊細な顔立ちは女性のものだ。エルフの軽装鎧を着ている。


イェアメリスが傍らに膝まづいたのを感じると、女士官はかすれかけた声を出した。


「すまない・・・もう目が見えないんだ。」


イェアメリスは鎧を脱がせてやろうとしたが、女性がうめき声をあげたのであわてて手を止めた。


「な、・・・何かできることは?」


「背骨が折れてしまって、・・・もう、私は助からぬ・・」


「・・・そんな!」


すると女士官は、胴着の中に手を入れ、何かをとりだした。
弱々しく差しだされたものをイェアメリスは受け取る。小瓶だ。


「こ、れ・・・を」


女士官はまだ何かを取り出そうと、再び胴着に手を入れようとしている。
血の混じった口で、何かうわごとのように呟いている。


「ウン・・・カノさま、申し訳ありません。わたしは・・・失敗しました・・・」
「こんな事態を起こしてしまうとは・・・」


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女士官はやっとのことで胴着から何かを取り出し、最後の力を振り絞るように差し出そうとした。
その手は、イェアメリスの手に触れる前に、力を失った。だらりと垂れた手から、書類の束が散った。


イェアメリスは、手袋を外して女性の口に手をかざしたが、息は止まっていた。


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女性士官が大事そうに渡した小瓶。しかし、その瓶はひび割れていて、中身がほとんど抜けてしまっていた。
拾い上げた瓶を観察しようとしたが、叩きつける嵐の中ではままならない。


これは・・・後まわしね。


風で飛んでしまわないようにと、散らばった書類をかき集めてわきに抱えると、イェアメリスは難破船を観察した。


竜骨は無事のようだ。
船は沈没までには至らず、水面に船首側を出していた。とはいえ、傾いて大半が浸水しているため、中に入るには潜らなければならない。彼女は女士官から受けたった品々を、乗ってきた小舟の収納にしまうと、船内に入ってみることにした。


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目印にランタンを小舟に設置し、代わりに灯火の呪文を唱える。


・・・


まだ生存者がいるかもしれない。
甲板をたたく雨音はうるさく、難破船は波にもまれて不安定に揺れていた。
あまり時間をかけないほうがよさそうだ。


船室への入り口は波の下だ。


イェアメリスは持ってきた海探の薬を飲み干すと、大きく息を吸って水中に飛び込んだ。


甲板上の船室に当たる部分は大きく破損しており、屋根も剥がれて中の物はすべて流出していた。一旦水面に上がって位置を確認すると、今度はそこを通り過ぎ、甲板下の船室に移動した。


グニャッ!


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(きゃっ!)


水没しかけた船室に入った途端、何かをいきなり踏みつけた。バランスを崩し水に倒れこむ。

側頭部をゴンっと船材に打ち付けてしまった。がぼっと口から空気がこぼれだす。

反動で大きく水を吸い込んでしまい、イェアメリスはパニックになりかけた。


溺れる恐怖・・・手足をばたつかせる。 ・・・が、苦しくない・・・薬の効果で息ができることを思い出した。


(いたたた・・・、!!)


彼女は頭をさすりながら再度ゆっくり水中に入り、改めて目を開けた。


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容赦のない光景が、水中に広がっていた。


恐る恐る見回してみると、船倉には何人もの死体が漂っている。
一つ目の船室にいた死体は、揃いの服装をしている。彼女はこの装備を知っていた。


サルモールだ。


キルクモアでは滅多に見かけることのない連中だが、白金協定の後、帝国軍とともに行動をしている姿を何度か見かけたことがある。

高圧的で嫌な奴らだ。
彼女は何年か前に、巡回交易船に同乗していたサルモールの臨検調査官に職務質問されたことがあった。エルフと人間の混血である彼女を見る蔑みの目は、なかなか忘れられるものではなかった。


ということは、先ほどの女士官もサルモールだったのかもしれない。


やはりこの船は普通じゃない。
だんだん悪い予感がしてきたが、もう少しだけ調べてみることにした。


・・・


第2船倉に入ってみる。今のところ生存者はいない。


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先ほどのサルモールとは違い、この船に似つかわしくない連中が浮いていた。

ノルド、ブレトン、オーク・・・、服装や装備もまちまちで、海賊とも違う。

ならず者のような出で立ちの死体と何回かすれ違った。


最下層・・・船底に着くころ、イェアメリスはこの船に来たことを後悔していた。


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詰め込まれた囚人らしき人々の山。
直接見たことはないが、「奴隷運搬船」という言葉が頭に浮かんできた。


ふと水の流れを感じて目を向けると、船底の端に大きな穴があいていて、その先に暗い海が姿をのぞかせていた。


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事故は一瞬で起きたようだ。


座礁して船底に穴があき、そこから一気に海水が流れ込んできたに違いない。囚人たちは何が起こったかわかる間もなく、水に呑まれて死んだのだった。


残念ながら生存者を見つけることは出来なかった。
先ほど息を引き取ったサルモールの女士官が、最後の生存者だったようだ。


イェアメリスは薬の効果が切れる前に、甲板に戻った。
倒れている女士官を一瞥し、小舟に乗りこむと固定のロープを解いた。


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波はまだ荒れ狂っている。わずかな距離だったが、慎重にオールを操り、彼女は浜に戻った。


・・・


波に流されないところまで苦労して小舟を引きずりあげると、イェアメリスは小屋に向かった。
小屋の明かりがとても頼もしく感じられる。


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後ろ手で扉を閉めると、髪から水が滴るにまかせ、ふぅ、っとため息をついた。
足下に広がってゆく水たまりを眺めたまま、気持ちと呼吸を整える。暖炉が光と熱を送ってくるのが心地よい。

彼女は、死の充満する難破船の光景を頭から払いのけると、脇でこちらを見上げている小さな家族に微笑んだ。


「ただいま、ぷーちゃん」


「ぷぅ・・・ぷぅ」


ウサギが鼻を鳴らす。


彼女はテーブルに着くと、難破船の女士官に託された品々を並べてみた。


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書簡が2通、閉じられた書物が1つ、そして、ひびの入った小瓶
どうしたものか、と、とりあえず観察してみる。


書簡2通は封が破られている。「命令書」、「任務の心得」 書物に封はない。


小瓶の・・・中身はほとんど残っていない。
危険な薬品とも限らないので、彼女は慎重に残りの中身を別の瓶に移し替えた。

量も少なく、何の薬品かうかがい知ることは出来なかった。


パチッ・・・
暖炉からは、湿気を含んだ薪が小さく爆ぜる音がする。


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イェアメリスは、持ち帰った書類のひとつを手にとって開いた。


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『サルモールの命令書』



=*=*=*=*=*=


サルモール正規軍 ラーリン指揮官


まずは昇進おめでとう!


貴官はこれから特別に用意した船で海路スカイリムに入り、ノースウォッチ砦に向かうことになる。
到着したらエランディル特務官と合流し、先に託した重要な品物を引き渡すように。
以後、特務官に随行し、作戦を監視して随時報告せよ。


これはタムリエルにおける我等の未来を定める、分水嶺ともいえる重要な作戦の一環である。
サルモールの栄光のため、心してかかるように。
貴官の活躍を期待している。


サルモール正規軍 上級司令官ウンバカノの名において記し、封をする


=*=*=*=*=*=



(なんというか・・・大げさよね・・・)


書簡を見て、なんで彼らはいつもこんなに尊大なんだろう、と感じながら、イェアメリスはため息をついた。


ざっと目を通してみて、先ほど見取った女性がサルモールの新任指揮官で、ラーリンという名のアルトマーのようだ。

そしていま彼女の前のテーブルに並べられている品々・・・というか小瓶を上級司令官の命令でスカイリムまで運ぶ途中だったということが分かった。その途中で事故に遭い、船は座礁、ラーリンは大怪我を負って命を落とした。ということらしい。


溺死していたサルモールの小隊以外の乗員たちも、どう見ても堅気の連中には見えなかった。
厄介なことにならないといいけど、と思いながら、彼女は書簡をテーブルに戻した。


コトン・・・


物音が聞こえたような気がする。


暖炉の薪が崩れて、火勢が少し落ちかけている。

脇に積んである薪をすべてくべると、火は盛り返してきた。


(地下室にの薪はまだ残っていたかしら)


首をかしげ、イェアメリスは乾きかけた髪を手で梳いた。


もし切らしていたら、晴れている間に薪を運び込んでおくんだったと、後悔する羽目になるかもしれない。
庭から補充せねばならないが、もうびしょぬれだろう。


(1日に4回もぬれるのはさすがにごめんだわ)


「ぷぅ~」


”ぷぅ”がしきりと鼻を鳴らす。

今日はずいぶんとかまってほしそうだ。


「あとでね。ちょっと待って。」


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鼻でつついて邪魔してくるのを軽く押しやると、イェアメリスは2つ目の書簡を手に取った。


(これまたまたずいぶん、重っ苦しいタイトルね・・・)


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『任務の心得』


(軍隊ってみんなこんななのかしら? それともサルモールだから?)


そんなことを考えながら、内容を確認する。



=*=*=*=*=*=


サルモール正規軍 ラーリン指揮官


任務の重要性についてはウンバカノ上級司令官から説明があったでしょうから重ねて記すまでもないものと考えますが、あえて繰り返します。
貴官の立場と尊厳をないがしろにするものでは決してありませぬが、命よりも重要な任務と心得えなさい。
アリノールからノースウォッチへ向かう偽装船を手配してあります。船長始め誰にも任務の内容に関しては明かしてはなりません。


任務の遂行が困難となった場合にのみ、黄色の書を使用することを許可いたします。


アリノール最高評議会 AN.


=*=*=*=*=*=



(偽装船・・・やっぱり、あの船は普通じゃなかったのね)


船を見て感じた違和感は、やはり当たっていた。


外装は商船だが、中に乗っていたのはどう見ても商人ではなかった。
奴隷と思わしき囚人たちも詰め込まれていた。


生存者が居たと仮定して、襲われる可能性もあったということに思い当たり、そう考えると、身震いがした。


(アリノール最高評議会・・・?)


こちらにもたいそうな署名が為されている。


アリノールはサマーセット島の南西に位置する古くからの都市で、帝国時代には首府が置かれていた地の名だ。
イェアメリスは訪れたことがないが、彼女の母の出身国でもあり、名前は聞いたことがあった。


現在はクラウドレスト、オーリドンとあわせて連合王国を形成し、アルドメリ自治領の盟主として、サルモールの本拠地が置かれているとのうわさだ。


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(こんなビンひとつを、指揮官が運ぶのかしら?)


最高評議会の者が署名しての念押しというのだから、イェアメリスには伺い知れないことだが、さぞかし大事な任務だったのだろう。
彼女は再び、謎の薬品を移し替えたビンを目の前に掲げてみたが、きらきら輝く内容物が何なのか、皆目見当がつかなかった。


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(まあ、・・・あたしには関係ないことよね)


別世界の人たちの出来事だし、サルモールの考えることも別に知りたくもない。
イェアメリスはビンを再びテーブルに戻した。


最後は黄色く染められた革表紙の本。
本というよりは冊子に近い。


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(『黄色の書』とか書かれていたわね・・・これも命令書なのかしら?)


手にとって開こうとしたとき、足元の”ぷぅ”が催促するように引っ張った。


「ぶぅ!」


ブーツに噛み付いて引っ張ろうとする。
イェアメリスは、根負けして、ウサギに振り返った。本は後で読むことにしよう。


「わかった、わかったから」


錬金台横の小物入れに書類と小瓶をまとめて放り込んで、催促するウサギにあげる餌を取ろうと樽に手を突っ込んだ。


「これでいい?」


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イェアメリスは樽から取り出したニンジンを”ぷぅ”の前に置いてやった。


ガタ・・・


また風が出てきたのだろうか。揺れる音がした。


「ぶぅ! ぶぅ!」


目の前に出されたニンジンに振り向きもせず、”ぷぅ”は伸びあがると、彼女のブーツにしがみついた。
引っ張ろうとしている。


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「えっ? ぷ、ぷーちゃん。なんなの?」


ガタン!


”ぷぅ”に話しかけたとき、大きな物音がした。
薪の爆ぜる音でも、風が家戸を揺らす音でもない。今度は彼女にも分かった。


音は地下室から聞こえてきた。


”ぷぅ”は彼女が帰ってきたときから、一生懸命これを知らせようとしていたらしい。


地下室には薪の備蓄と、ベットとタンスがあるだけのはず・・・。
音の原因を突き止めようと、ダンマーランタンに火をともすと、彼女はおそるおそる階段を降りていった。


・・・


小屋の地下室。
いつもここで寝ている場所だ。特に変わりは見られなかった。


カチャ・・・


金属が触れ合うような音がかすかに響いた。


(え? いまの音は?)


音は、部屋の反対側の隅に置かれているタンスのほうから聞こえてきたように思える。


(何かいる?!)


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イェアメリスはダンマーランタンを掲げて、タンスの後ろを覗き込んだ。


ランタンに照らされて、視界に人影が浮かび上がった。


ガチャリ・・・


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鎖の出す大きな音がして、物陰にいた人物が顔をもたげた。


「あなた・・・だれ!?」


つづく・・・



※使用mod / 他


・Blacky The Follower ・・・オークの声の少女、ブラッキーさん(ノルド)
 どくうつぎさんの個性的なフォロワーです。次回から出番増えます^^


・Sailable Ships of Skyrim ・・・自分で操作(操船)可能な小舟

 カーソルキーで操作でき、本当に乗れて視点移動もOK。とても便利です


・Wearable Lanterns ・・・装備できるランタン

 ドラゴンズ・ドグマみたいに腰にも着けれますし、手にも持てます


・サイト Skyrim Search ・・・baseID調べることのできるサイト

 呼び出したいmobはここで調べてコンソール!


・コンソール player.placeatme 71733 5 → killall

 こんな感じで、溺死体を量産しました(=゚ω゚)ノ



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